抄録
画像データの符号化効率は, 符号化しようとする白・黒画像の属性が, (a) 2値, (b) 多値のいずれであるかにより左右される.しかしながら, 量子化された濃度は光電変換系やインクの拡散などに起因したぼけを含み, 計算機処理による属性の判別を困難にしている.本論は, 画像データに2次微分処理を施して得られるラプラシアンヒストグラムに基づいた画像の属性, すなわち2値・多値の分類について検討したものである.まず, 差分参照画素を固定せず, その近傍画素にまで拡張して得られるラプラシアンヒストグラムの持つ性質に着目した.次に, 属性の分離に貢献すると思われる変量の中から, 因子分析により分布の分散および累積ヒストグラムの2種類を導出した.また, ディザや網点などによる擬似階調画像の拡大・縮小入力に対する属性の定量的な扱いを定義した.最後に, 類似性を測る尺度としてマハラノビス距離による判別シミュレーションを行った結果, 本手法の有効性が確認できた.しかし, 一部の細い直線群からなる2値画像や輪郭成分を多く含んだ多値画像などに対して正解が得られなかった.