抄録
MNOS型メモリーゲートをもつ12×12画素の固体撮像素子を試作し, 通常の撮像デバイスの動作範囲に等しい光量の画像1青報を撮像面上に記憶できること, 任意の時間にその情報を高速で読出せることを確かめた.また, この記憶信号の存在が, 素子の撮像動作に及ぼす影響を実用上無視できる素子の駆動条件を明らかにした.この結果, 記憶情報をかならずしも消去することなく, 新しい撮像出力を取り出すことが可能となる.
さらに, 画像処理への応用として, あらかじめ記憶させた画像情報と新たに素子に入射する画像情報間の乗算を, 撮像面上で実現する乗算器の構成を提案した.5×5画素の乗算器を試作して, 書込み過程で生じるMNOSゲートのフラットバンド電圧の変化ΔVFBが, 4.5Vより小さな範囲では良好な乗算特性を示すことを確かめた.