1990 年 44 巻 8 号 p. 1067-1073
HDTV (ハイビジョン) のスタジオ用VTRは, 画質, ダビング (複製) 性能の点からディジタル記録方式のものが期待されており, BTA規格によるハイビジョン信号を記録するディジタルVTRの仕様がNHKからガイドラインとして提案されている.今回, これに従って, 1.2Gb/sディジタルVTRを試作した.現在, 実用化されているディジタルVTRに比べ, 高速, 高密度記録のため, テープヘッド系における誤り率の確保が重要課題となる.このため, 次の検討を行った. (1) 代表的な信号検出方式の中から, 新たに開発したメタルテープ, 多層化SAFヘッドの周波数特性, 雑音周波数特性に適した方式を求め, 積分検出を採用した. (2) 積分検出の高域補償として5タップトランスバーサルフィルタを用い, 0.345μm/bitの短波長記録で発生する大きな符号間干渉を除去した. (3) シャトルモニタやスロー再生などの可変速再生に対処するため, タイミングクロック抽出用PLLのループ内にテープ走行速度情報を取込む構成とした.