1991 年 45 巻 8 号 p. 1008-1012
Barnsleyらは, 画像に内在する自己相似性を抽出して, その自己相似パラメータからランダム反復関数システム (IFS) により, 元の画像を復元する画像データ圧縮方式を提案した.しかし, 画像からランダムIFSを決定する具体的処理方法や, 自然画像がどの程度ランダムIFSによって近似できるかについての報告はほとんどない.本文は, 2乗誤差基準を用いたランダムIFS推定方法と, ランダムIFSによる濃淡画像復元特性の評価結果について述べる.画像ブロックの回転, 移動, 縮小率を変数とするアフィン変換係数と, 各アフィン変換を選択する確率からなるランダムIFSを, 最小2乗誤差で決定する処理方法を示す.次に, ランダムIFSによる濃淡画像復元特性をS/Nの観点から評価し, ブロックサイズが8×8画素のときS/Nは約22dB, S/Nが一定となるランダムIFS反復回数は約104回, S/N改善に対する回転角の寄与は少ない, 等の点を明らかにした.