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企業リスクと会計
乙政 正太
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2026 年 209 巻 1 号 p. 1-10

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抄録
 本稿は,日本会計研究学会第75 回関西部会の統一論題「企業リスクと会計」における解題報告を基礎に,企業リスクに対する会計の役割を実務的・制度的・実証的な観点から検討する。まず,Penman and Pope(2025)およびBarker and Penman(2020)の議論を踏まえ,リスク(risk)と不確実性(uncertainty)の概念的区別を整理し,不確実性に対処するためには測定・表示・情報開示の複数の会計アプローチが補完的に機能する必要があるという基礎的枠組みを提示する。  そのうえで,統一論題セッションに登壇された三氏の報告を座長の立場より概観する。井上定子氏(甲南大学)のIAS21 の機能通貨アプローチに関する報告から,為替差額の表示がリスクの性質を区分して反映されている点に焦点を合わせる。次に,滝西敦子氏(京都先端科学大学)の報告に基づき,サステナビリティ開示とガバナンスを通じた企業リスクの可視化および開示の意義を検討する。さらに,吉田政之氏(近畿大学)の報告から,記述によるリスク情報開示の有用性と限界に関する実証研究の知見に基づき,その情報価値の存在を考察する。以上の検討を通じて,会計が将来の不確実性を認識・測定・表示・体系化し,情報利用者に開示・伝達するための仕組みとして機能していることを明らかにする。
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© 2026 日本会計研究学会
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