1981 年 1981 巻 20 号 p. 81-85
きわめて限られた紙面のこの小論をもって、上記のテーマを全面的に論述することは不可能である。したがって、論点をStateおよびその周辺の語を考察することに絞って述べてみたい。
「イスラエル国」の英語による国号はState of Israelである。同様にStateを国号に用いた国には、State of Kuwait, State of Bahrain, State of Qatarなど中東の諸国が挙げられ、変わったところでは、「バチカン市国」Vatican City Stateがある。
これらに用いられたStateとはいったいどのような語なのであろうか。もちろん, これらの国の原語名にはStateに相当する語 (たとえば、Medinat IsraelのMedinat) が使用されている訳であるが、英語名の中で「国家」を意味するStateがどのような観念を内包しているのか、一考に値する問題であろう。そしてまた、類義語としてのCountry, Nationとの相違はどうか、などもあわせて考察してみよう。