日本原子力学会誌
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私の研究から
「挟み込み法」は収束判定の王道
内藤 俶孝
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2005 年 47 巻 9 号 p. 634-637

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抄録

 計算機の進歩に伴い, 計算結果が種々の判断の材料として使用されるようになってきています。その場合, 計算結果が真の値からどの程度離れているかを判断することが重要になります。計算結果を反復法で求める場合, 従来多くの場合, 前回の計算と今回の計算の差が小さくなったことをもって収束したと判定してきました。しかし, この方法では収束値との差を求めることができません。反復法により, 収束値に高い値から近づける場合と低い値から近づける場合の二通りを行う, すなわち, 収束値を挟み込むことができれば, 収束値はその間にあることになり, 収束値の存在する範囲が定まります。この方法をモンテカルロ法により臨界計算する場合に適用し, 従来収束判定が困難とされてきた問題を解くことに成功しました。この方法は, 従来の計算法よりも2倍以上の計算時間を要しますが, 計算機性能の進歩した現在においては, 有効な方法であると考えます。今後, 種々の計算において, この考え方が用いられることを期待します。

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© 2005 一般社団法人 日本原子力学会
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