日本原子力学会誌
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粒子・重イオン輸送コードPHITSが開く世界
中村 尚司仁井田 浩二岩瀬 広佐藤 達彦
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2006 年 48 巻 12 号 p. 949-954

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抄録

 加速器の工業, 医療等の幅広い分野での利用に伴い, 施設の放射線遮蔽設計に粒子輸送モンテカルロシミュレーションが重要な役割を果たしている。 J-PARCの建設に向けて開発されたPHITS (Particle and Heavy Ion Transport code System) は, 高エネルギー粒子の輸送に加えて, 重イオン (原子核) の輸送をも扱えるコードとして, 加速器分野だけでなく, 航空宇宙分野, 粒子線がん治療などの医療分野でも広く利用されている。最近, PHITSではミクロな領城での放射線挙動に重要な強度分布などの観測量を扱えるようになった。この試みは世界でも初めてのものであり, これにより, 放射線影響のよりミクロな視点からの解明や, 物質, 生命のマイクロドシメトリー的なアプローチへの橋渡しが可能となる。エネルギーと輸送粒子の拡張によってもたらされたPHITS担う原子力の幅広い分野をつなぐ横糸としての役割と, マクロとミクロをつなぐこの新しい縦糸として役割について展望する。

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© 2006 一般社団法人 日本原子力学会
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