日本地下水学会会誌
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皆月地すべり地における1m深地温測定による地下水流脈調査について
竹内 篤雄
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1978 年 20 巻 2 号 p. 161-174

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抄録
皆月地すべり地上部にある湧泉と池の水の地すべり地における流動経路を調査する目的で,1m深地温調査が行なわれた.得られた資料から種々の因子による影響を取り除き,浸透速度の大きな地下水の流動によって生じたと思われる低温部を抽出した.その結果,湧泉と池を源とする低温部は地すべり地上部の平担面で合流し,そこから地すべり地北側境界付近,中央部および南側境界付近の三本に分れて地すベり未端部に向っていることが推定された.各々の低温部は浸透速度が大きく,平常1m深地温より低い水温をもつ地下水の流れによって生じた可能性が強く.多分各々の低温部の下に地下水流脈が存在する可能性がある.三本の流脈のうち,北側と中央部のものは地下水追跡調査によって,その存在がほぼ確かめられている.南側のものはその延長上に小さな崩壊と湧水があることからその存在の可能性が強められている.θz=1-y図を用いて各流脈の規模を推定したところ,いつれも地下6~7mに頂部を有し,それらの規模は北側に位置するものほど大きいことが示された.
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