環境共生
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学術大会
日本環境共生学会第27回(2024年度)学術大会実施報告
柴田 晃鐘ヶ江 秀彦豊田 祐輔沖森 泰行太田 貴大大和田 順子Mohacsi GERGELYFitrio ASHARDIONOPajarwati PIPITH. B. EDUARDO ESTRADA花岡 龍鷦鷯 遼林 希一郎石橋 健一
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2025 年 41 巻 1 号 p. 94-97

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〔学術大会・公開シンポジウム〕

1.はじめに

 立命館大学での開催は3度目であり,2度目の開催となる大阪府茨木市に位置する立命館大学大阪いばらきキャンパスC棟4階471・472教室(以下C471・C472と表記)にて日本環境共生学会第 27回学術大会(2025年度)は9 月 14 日(土) ,9 月 15 日(日)の両日に⼤会テーマ 「カーボンマイナスによる気候変動緩和政策」を掲げて延べ参加人数92名の参加者によって開催された.

 コロナ禍で 2020 年から遠隔中心で行われてきた学術大会であったが,昨年の愛知学院大学での現地参加を主としたハイブリッドでの開催を継承して今回もハイブリッドによって開催された.

2.公開シンポジウム

2-1 日本環境共生学会・道路生態研究会共催による「世界自然遺産登録された南西諸島における野生動物のロードキルの現状と課題」公開ミニシンポジウム

(1)ミニシンポジウムの概要

 2024年9⽉14⽇の10:30〜12:40 に,日本環境共生学会・道路生態研究会共催による無料公開ミニシンポジウム「世界自然遺産登録された南西諸島における野生動物のロードキルの現状と課題」はC472 において会場とZoomによるオンラインのハイブリッドで開催された.なお本ミニシンポジウムは日本語で開催された.

(2)ミニシンポジウムの話題提供

末次優花(日本大学)氏の司会進行により,まず,道路生態研究会会長の亀山章(東京農工大学) 氏のご挨拶および日本環境共生学会長の福田敦(日本大学)氏のご挨拶の後,各登壇者のご紹介があった.

その後,各登壇者による各話題提供が13分,加えて発表に限定した簡単な質疑応答を2分として各登壇者による話題提供が行われた.

順に先ず始めに園田陽一(学校法人群馬総合カレッジ国際産業技術専門学校)氏による「野生動物のロードキルはなぜ起こるのか?-ロードキル対策の視点-」の話題提供が行われた.続いて,内野祐弥(環境省沖縄奄美自然環境事務所)氏による「奄美・沖縄世界自然遺産におけるロードキル対策」,玉那覇彰子(NPO法人 どうぶつたちの病院 沖縄)氏と亘 悠哉(森林総合研究所)氏による「やんばる地域におけるケナガネズミの長期のモニタリングとロードキル」,伊東英幸(日本大学)氏による「ヤンバルクイナのロードキルの現状と対策」,浅利裕伸(帯広畜産大学)氏による「奄美大島におけるアマミノクロウサギと両生類のロードキルの現状と対策」,最後に,山本以智人(環境省石垣自然保護官事務所)氏による「産官学連携で進めるカンムリワシのロードキル対策」の話題提供が行われた.

本ミニシンポジウムの最後に,12時40分まで,塚田英晴(麻布大学)氏のコーディネーションによって白熱したハイブリッドと会場フロアの参画も得て全体でのディスカッションが行われた.

図1 2024年9月14日午前ミニシンポジウムの会場写真

2-2 日本環境共生学会・立命館大学日本バイオ炭研究センター共催による「バイオ炭貯留を通じたJ-クレジットと地域開発」公開シンポジウム

(1)シンポジウムの概要

 2024年9⽉14⽇の14:00〜16:50 に,日本環境共生学会・立命館大学日本バイオ炭研究センター共催,後援に日本炭化学会・日本バイオ炭普及会後援・立命館大学政策科学会・立命館大学による無料公開シンポジウム「バイオ炭貯留を通じたJ-クレジットと地域開発」がC471において会場とZoomによるオンラインのハイブリッド形式で開催された.なお本シンポジウムは日本語で開催されたものの,ZoomのAI自動翻訳を通じて英文字幕が配信された.

 なお本シンポジウムは,立命館大学日本バイオ炭研究センターの著作のもとでSpringer& Natureから出版予定であるため概要のみを掲載するに留めざるを得ない点はご容赦願いたい.

図2 2024年9月14日午後シンポジウムの会場写真

(2)シンポジウムの4基調講演の概要

まず,本大会の名誉大会会長である立命館大学日本バイオ炭研究センター長の柴田晃氏から,「バイオ炭を使った二酸化炭素除去(CO2Removal)と農村地域開発」と題した世界でも類を見ない,世界で初めてのバイオ炭の農地貯留を通じた二酸化炭素削減方式とその認証とIPCCで認められた日本政府データベースへの登録とともにESG投資や環境統合報告書に記載可能な排出量取引が開始されたというシステム全体とこのシステムがもたらす農山村の地域開発への多大な貢献について,全体の概説と解題の基調講演が行われた.

図3 2024年9月14日シンポジウムの柴田晃氏の発表スライド

次いでIPCC AR4の科学委員の岸本文紅(農研機構農業環境研究部門緩和技術体系化グループ)氏より「バイオ炭をめぐる世界の状況」の貴重な内容の報告がなされた.

図4 2024年9月14日シンポジウムの岸本文紅氏の発表スライド

その上で凌祥之(日本炭化学会会長・九州大学大学院農学研究院学術特任教員)氏より「バイオ炭,歴史と期待」と題したバイオ炭の状況と日本で産み出されたバイオ炭の農地埋設を通じたJ-クレジットと始まった日本版排出量取引への将来展望についてレジュメを下に講演がなされた.

そして最後に,竹下光雄(株式会社長大)氏より「バイオ炭を使った社会実装(バイオ炭製造から炭堆肥及び農産品販売まで)」によるより実務的な社会実装の実例と手法が詳細に紹介された.

3.学術セッション

2024年9⽉15⽇の学術セッションでは,5つの⼀般研究発表セッション(発表15分,質疑5分)と英語の一般発表セッション が開催された.

各セッションのテーマは,

1.「SDGSと意識・⾏動:松本亨(北九州市⽴⼤学)座⻑・C471会場」,

2.「エネルギーと温暖化:藤井実(国⽴環境研究所)座長・C472会場」,

3.「⾃然と農業:伊東英幸(⽇本⼤学)座⻑・C471会場」,4.「地域と社会:豊⽥祐輔(⽴命館⼤学)・C472会場」,5.「防災:⼭中英⽣(徳島⼤学研究部⻑) 座⻑・C471会場」,

6.”English session: Chair Yan, Wanglin(Keio University) Venue C472”であった.

学術セッションは2 会場での並行進行であり, 各会場 10~30 名の参加があり,重複を除く参加人数は47 名(現地 41 名,オンライン6名)と本格的な対面での学術セッションとして活発な議論で賑わっていた.

図5 2024年9月15日学術セッションの様子

4.学会賞授賞式と懇親会

9 月 14 日(土)午後に学会賞の授与式が開催された.福田敦会長から各受賞者に表彰状が授与された.受賞者は表1の方々(敬称略)となりました.受賞おめでとうございました.

表1 2024年度の日本環境共生学会賞受賞者一覧表

環境功労賞 柴田 晃,建部 好治
環境活動賞 若生 裕俊, 風見 正三, 村上 幸枝, 富谷市, NPO法人SCR, 一般社団法人東北ソーシャルデザイン研究所
著述賞 該当者なし
奨励賞 井若 和久
論文賞 林 希一郎
図6 2024年9月14日表彰式の様子1

図6 2024年9月14日表彰式の様子2

図7 2024年9月14日表彰者の記念写真

また,9 月 14 日(土)の夕刻に立命館大学大阪いばらきキャンパス内の「みなめんCafe」にて,受賞者とともに40名を超える参加者もって懇親会が開催された.

図8 2024年9月14日懇親会の様子1

図8 2024年9月15日懇親会の様子2

図9 2024年9月14日懇親会の様子3

5.おわりに

2024 年度・第 27 回学術大会・公開シンポジウムは日本環境共生学会主催,立命館大学日本バイオ炭研究センター共催にて立命館大学大阪いばらきキャンパスにて 2024 年 9 月 14 日(土)・ 15 日(日)の両日に約百名の参加を得て盛会となりました.発表や質疑・議論・聴衆,また大会運営にご参加いただいた会員の皆様,理事及び準備に活躍していただいた委員およびスタッフの皆様に感謝申し上げる次第です.

著者連絡先

鐘ヶ江秀彦

〒567-8570 大阪府茨木市岩倉町2-150号 立命館大学OIC

立命館大学政策科学部 

E-mail: hkanegae@sps.ritsumei.ac.jp

 
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