日本イオン交換学会誌
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進歩賞受賞論文
リン酸エステル配位高分子における特徴的なランタノイドイオン交換特性に関する研究
半田 友衣子
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2019 年 30 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

ランタノイド相互分離に有効なリン酸エステルを用いて配位高分子を合成し,その中心金属であるランタノイドイオン(Ln3+)と他のLn3+との交換反応の特性を明らかにした。低濃度のランタノイド溶液では,溶媒抽出と同程度の選択性を実現できた。反応時間は遅いが,有機溶媒を用いないという長所がある。一方で,高濃度のランタノイド溶液では,イオン交換選択性は原子番号順にならず,もともと配位高分子骨格を形成していたLn3+よりも約7%小さいサイズのイオンが最大の選択性を示した。金属-配位子間の静電力だけでなく,配位高分子骨格に対するイオンサイズの適合性が関与している可能性が示唆され,溶媒抽出とも従来の無機イオン交換体および有機イオン交換体とも全く異なる選択性の発現に成功したと言える。

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© 2019 日本イオン交換学会
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