日本イオン交換学会誌
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強酸性陽イオン交換樹脂を用いたアミノ酸の分離技術
(1) イオン交換樹脂吸着工程の操作条件の最適化
川喜田 哲哉
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1998 年 9 巻 2 号 p. 81-92

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抄録

強酸性陽イオン交換樹脂アンモニウム型へのアミノ酸の選択係数を質量作用則を適用し対応するアミノ酸の物理化学的特性との相関関係を検討し, Gregor式と各アミノ酸の疎水性パラメーターの和である (12) 式の経験式を提示した。この選択係数を用い, 樹脂塔を細分化し各段において樹脂相と液相との間にイオン交換平衡が成立すると仮定した槽列モデルを構築し, 各成分の物質収支・イオン解離平衡・電気的中性条件・選択係数を書き下した連立非線形方程式をGauss-Jordan法を用いて計算した。塩基性アミノ酸であるリジンをリジン発酵液から分離回収する樹脂工程の最適化について検討した。先ず発酵液組成の内主な成分であるリジン・アンモニアの各pHに対応した吸着破過曲線およびアンモニア水でのリジン溶離曲線を槽列モデルでシミュレーションを行い実用範囲内で実験値を再現することを確認した。次に得られた各pHでの吸着破過曲線を3次スプライン関数で近似し動的計画法を適用して吸着工程での樹脂塔の最適連結塔数と最大リジン吸着量の関係を求めコスト最小になる吸着操作条件を決定できる事を示した。
この手法は, 広くイオン交換樹脂を用いた樹脂操作条件決定に適用出来ると考えている。

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