産業ストレス研究
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【特集 ウェアラブルツールやデジタルテクノロジの産業ストレス研究への応用の可能性】
デジタルメンタルヘルスと音声感情解析
谷 直道
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2025 年 32 巻 3 号 p. 209-216

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抄録

近年,デジタルフェノタイピングを活用したメンタルヘルス研究が増加している。デジタルフェノタイピングは,一般的に Active 型データと Passive 型データに分類されている。Passive 型データには,顔表情や心拍数,加速度などの様々なバイオマーカーが含まれており,とりわけ音声データは重要なバイオマーカーとして注目されている。

 2003 年以降,音声データを使った感情分析(音声感情解析)の研究が急増している。この波はメンタルヘルス研究にも及んでおり,世界中の研究者が機械学習や深層学習を用いてメンタルヘルス疾患の診断,モニタリング,治療を行うことを模索している。

 本稿では,音声感情解析の基本的な仕組みと,メンタルヘルス研究におけるその応用について概説する。産業保健の分野では,音声感情解析を取り入れたデジタルメンタルヘルス研究はまだ黎明期にあり,音声感情解析の役割を探求する必要がある。本稿では,音声感情解析の産業保健応用の現在地と今後の研究課題について述べる。

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