TiO2ルチルの高圧多形であるα-PbO2型TiO2は、隕石衝突による衝撃圧縮を受けた岩石や超高圧変成岩中に発見されており、衝撃の温度圧力や変成岩の温度圧力履歴を議論する際にルチル-α-PbO2相境界が用いられている。熱力学的にルチル-α-PbO2相平衡境界線を計算するためには、それら2相の定圧熱容量やエントロピーの情報が必要となる。これまでに報告されているα-PbO2型TiO2の定圧熱容量は、十分に制約されていなかった。そこで、本研究では示差走査熱量測定(DSC)および熱緩和法を利用した物理特性測定システム(PPMS)による熱量測定を2-630 Kの範囲で行い、定圧熱容量とエントロピーを決定した。測定された低温定圧熱容量から、298.15 Kにおける標準エントロピーは46.6±0.3 J/mol.Kと求められた。