日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2015年年会
セッションID: R5-11
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R5:地球外物質
衝撃を受けた隕石中の(Mg,Fe)SiO3正方晶ガーネットの発見
*富岡 尚敬宮原 正明伊藤 元雄
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抄録

Tenham隕石中の衝撃溶融脈のATEM観察から、輝石の高圧相である(Mg,Fe)SiO3正方晶ガーネット相を発見した。ガーネット相は粒径1.5 µm以下の粒子集合体である。粒内や粒間には他の鉱物は認められず、化学組成は母相のlow-Ca輝石とほぼ同じである。この産状から、(Mg,Fe)SiO3ガーネットは衝撃変成による圧力16-22GPa、温度1600°C以上の条件で、low-Ca輝石が固相反応により直接相転移して形成されたと考えられる。本研究で発見された(Mg,Fe)SiO3ガーネットは高圧合成物と同様に立方晶から対称性が低下しているものの、正方晶に固有な反射の強度は合成物より弱く、6配位席中の陽イオンの長距離秩序度は合成物より小さい。このことは、Tenhamの衝撃変成における溶融脈の冷却は、急冷法による冷却速度(103℃/秒)より早かったことを示唆する。

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