蔵王火山の熊野岳火砕岩は珪長質マグマと苦鉄質マグマのマグマ混合によって形成されたことが、先行研究により明らかにされている。
累帯構造は結晶成長によるものと元素拡散によるものとがあるが、マグマ混合時に形成された累帯構造の元素拡散による変化を用いると、マグマ混合から噴出までの時間を推定することが可能である。そこで、かんらん石斑晶の累帯構造プロファイルと拡散プロファイルの比較を行って滞留時間を推定し、熊野岳火砕岩をもたらした噴火の混合から噴出に至るまでの時間スケールを解明した。
その結果、下部では250日~3年半、中部では15日~2年半、上部では15日~130日と露頭下部よりも上部の方が滞留時間が短い傾向が見られた。