日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2015年年会
セッションID: R7-P05
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R7:岩石・鉱物・鉱床一般(共催:資源地質学会)
福岡城上之橋御門石垣に用いられた石材の岩石記載、および石材産地についての考察
*宮本 知治中村 啓太郎星野 惠美島田 允堯
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抄録

福岡城は広大な縄張りを有する城郭で、資材の供給源も時期によって変化したと考えられる。それゆえ、資材の供給場所を判定することは、築城履歴の詳細を解明する基礎資料となる。福岡城上之橋御門石垣に用いられていた石材は、深成岩、特に優白色花崗岩類が多く、灰色花崗岩類や閃緑岩・斑れい岩類も含まれ、若干量の玄武岩や蛇紋岩、礫岩・砂岩・珪化木を伴う。優白色花崗閃緑岩は、淡桃色粗粒カリ長石を斑状に含むことが多かった。岩石学的に詳細を解析できた石材試料としては、普通角閃石-黒雲母花崗閃緑岩・アダメロ岩が多く、次いで普通角閃石-石英閃緑岩に分類される深成岩が多かった。これらの化学組成的特徴は、志賀島花崗閃緑岩・志賀島塩基性深成岩と一致した。また、玄武岩や蛇紋岩を伴うことから、上之橋御門普請に際しては、博多湾口の糸島半島宮浦からその南側にかけての礫浜、そして志賀島を主な石材供給地としたと考えられる。

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