抄録
本研究ではコーサイト・スティショバイト相転移境界の精密な再決定を試みた。 高圧実験では、マルチアンビル型装置を用い、放射光X線回折実験を行った。過去の研究の中で比較的信頼性が高いと思われるデータと比べて、相転移圧力に関しては大きな矛盾はなかった。注目すべき点は、相転移境界の傾きが、過去の放射光実験と若干食い違っていることである。一方、熱力学データから見積もられた相転移境界の傾きは、我々の実験データと良い一致を示している。傾きに関する食い違いは、相転移カイネティクスの効果が原因であると考えられる。今回、再決定された相転移境界は、X不連続面の深さと良い一致を示した。したがって、コーサイト・スティショバイト転移がX不連続面の成因であるというモデルを支持する。