抄録
モノハイドロカルサイト(MHC)は含水カルシウム炭酸塩の一種であり、CaCO3. H3Oの化学組成をもつ。MHCは自然界では塩湖における生成が一般的であるが、淡水湖であるモンゴル・フブスグル湖やウギー湖から採取された湖底堆積物コア中での産出も報告されている。MHCの結晶構造に従うとCaの配位数は8であり、8配位をとらないMgは構造内のCaを置換しないはずであるが、自然界で見いだされるMHCは普遍的にMgを含む。本研究では、様々なMg含有量のMHCに対する放射光を利用したX線吸収端近傍構造(XANES)測定からMHCと共存するMgの存在状態を検討した。