抄録
近年の物理探査の結果から,海洋プレートが沈み込む直前のプレート屈曲部における地形的高まり(アウターライズ)から海溝までの張力場で断層が形成され,その断層を水道として,海洋プレートが上部マントルまで大規模に加水している可能性が指摘されている.海洋プレートの加水作用は,海洋プレートの沈み込みに伴う水などの揮発性元素を含む物質供給やアウターライズ近傍で発生する地震活動解明の鍵となる.これらの背景から,北西太平洋域においてプレート沈み込みに伴う屈曲断層に伴う加水作用に関連した予備掘削提案が国際深海科学掘削(IODP)に申請中である.そこで,本発表では,東北沖での沈み込む海洋プレートに関する物理探査成果のまとめと,海洋掘削計画についての概要を中心に紹介する