日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2016年年会
セッションID: R1-P12
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R1:鉱物記載・分析評価
和歌山県紀の川市遠方産の阿仁鉱
*石橋 隆藤原 卓下林 典正高谷 真樹田中 陵二小原 正顕
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抄録
和歌山県北部,紀の川市遠方から阿仁鉱の産出が確認された.阿仁鉱は,紀ノ川の左岸に露出する点紋曹長石片岩に胚胎する石英-緑簾石レンズの石英に埋没し,青灰色で金属光沢の3 mm以下の板状結晶やその集合体,または不定形な結晶で産する.結晶は裂罅に沿って,一部が二次的生成と考えられる銅藍に交代されている.阿仁鉱と銅藍以外の硫化鉱物は認められず,阿仁鉱が濃集する部分には,自然金が伴われる.自然金の結晶集合体は,最大で5 mmに達する.定量分析には,EPMA(WDX)を用いた. CuとS以外の元素は検出されず,分析点9点の平均は原子比でCu:S=63.59:36.41で,阿仁鉱(63.6:36.4)によく合う.全元素数を11とした時の実験式はCu6.99S4.01となる.X線粉末回折実験で得られた回折パターンは,ICDD 33-489(Potter et al., 1976)の阿仁鉱との良い一致を示す.最小二乗法で求められた直方晶系の格子定数は,a = 7.848(4) Å,b = 7.840(3) Å,c = 11.090 (5) Å,V = 682.4(5) Å3である.
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© 2016 日本鉱物科学会
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