抄録
大分県木浦鉱山産の鉄砒酸塩鉱物parasymplesite、Fe3(AsO4)・8H2O、のX線単結晶構造精密化を行った。この鉱物は化学式M3(TO4)2・8H2Oで表される藍鉄鉱グループに属している。藍鉄鉱とこの鉱物の構造研究は歴史的に森、伊藤(1949)によって始められた。その後精密化されておらず、今回水素原子位置を決定し、他の藍鉄鉱グループと結晶化学的な比較を行った。木浦鉱山産の鉄砒酸塩鉱物はa=10.3519(10), b=13.6009(12),c=4.7998(4),β=104.816(6), V=653.32, Z=4の空間群C2/mであった。この構造グループ独特な水分子―陽イオン結合距離を有している。また、層間の水素結合についての比較も行った。