日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2016年年会
セッションID: R2-P12
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R2:結晶構造・結晶化学・物性・結晶成長・応用鉱物
加熱によるガラス海綿の構造変化
*福島 義博奥野 正幸奥寺 浩樹水上 知行荒砂 茜
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抄録

カイロウドウケツの骨格は含水非晶質シリカで構成されている。骨針の内部は層状構造をなし、光ファイバーの性質を持つことが報告されており、物質科学的な面からも注目されている。しかし、シリカを主成分とする骨格のナノ構造は明らかになっていない。そこで、本研究では、骨格のナノ構造及び、水の挙動や結晶化を探るため加熱による構造変化を調べた。加熱変化については200℃から1200℃の温度で1時間加熱処理を行い、得られた試料について、赤外分光測定(FTIR-ATR)などを行った。未加熱の試料の赤外吸収スペクトルにおいて、水分子及びシラノール基に起因するバンドが認められる。加熱に伴い、200℃から水分子やシラノール基に由来するバンドの吸収が減少し始め、600℃で消失する。また600℃までの加熱でSi-O-Si変角振動が高波数側にシフトしている。これは水分子やシラノール基の脱水により重縮合反応が進み、Si-O-Si結合角が変化したと考えられる。加熱温度が900℃を超えると、クリストバライト構造に起因するバンドが出現することから、SiO4四面体ネットワーク構造が秩序化され、結晶化が始まるものと考えられる。

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