本研究では地球の外核の主成分である鉄と、外核を構成する軽元素の一つとして考えられている水素について、高温高圧下での鉄水素化物(FeHx)の水素の含有量とその体積を定量化するため、J-PARC高圧ビームライン(BL11-PLANET)を利用して中性子回折法によりFeHx中の水素の直接観察を行った。高温高圧中性子回折実験は~4、6、8、11GPaの各等圧条件下において300-1200Kの温度範囲で行われ、FeHxの高圧および高温相である二重六方最密充填(dhcp-FeHx)相および立方最密充填(fcc-FeHx)相の中性子回折パターンを観察した。FeHxの構造と水素の含有量はリートベルト法によりGSAS Softwareを用いて最適化が行われた。fcc-FeHx相における水素含有量と体積増加の関係、およびdhcp-FeHx相におけるx>1を超える水素の取り込みについて報告する。