日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2017年年会
セッションID: R5-P01
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R5:地球外物質
パラサイト隕石のオリビン中に含まれる微小包有物
*高山 愛枝大藤 弘明
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抄録
パラサイト隕石の起源と形成メカニズムを解明するため、パラサイト隕石の微細組織観察と化学組成分析をSEM‐EDSとTEMを用いて行った結果、隕石中のカンラン石中に液滴状包有物の存在が確認された。この微小包有物は、その産状からカンラン石の二次包有物(メルト包有物)であり、主にFe‐Ni合金とトロイライト(FeS)から成る。また、マイナー相としてスタンフィルダイトやクロマイト、α‐トリディマイト(SiO2)を含む。包有物中のFe‐Ni合金の化学組成は、Ni含有量の点においてパラサイト隕石の基質を構成するFe‐Ni合金と異なる。また特徴的なマイナー鉱物を含むことも考慮に入れると、包有物を生成したメルトは、基質部とは異なる起源のものか、もしくは基質部の部分溶融によって生じたものと推測される。一方、トリディマイトの存在から、包有物の形成は比較的高温(>870 ℃)かつ低圧(<0.15 GPa)であった可能性が高く、液滴状包有物の形成メカニズムを検討することは、パラサイト隕石が形成時もしくは形成後に経験した熱史を議論する上で重要である。
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© 2017 日本鉱物科学会
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