抄録
粘土‐水系のコンシステンシー特性は地盤工学の分野では重要な指標となっている.特にモンモリロナイトは雲母やカオリナイトなどに比べて高い含水比まで,水を保持して塑性体で存在しうる.本研究ではモンモリロナイトを対象に含水比と粘度,非晶質化のされやすさの関連を考察する.含水比の増加とともに降伏応力,粘性係数が低下し,降伏応力が1 kPa程度で液状化した.これはコンシステンシー特性と調和的である.また,塩濃度が2%を超えると液性限界が200%程度に大幅低下し,わずかな塩濃度変化,含水比変化で強度弱化の可能性が示唆された.また,遊星型ボールミルを用いた粉砕実験を行い,粉砕前後のX線回折と電顕観察,赤外分光分析を実施した.含水比が0%および25%の場合は数時間の粉砕で非晶質化が進行したが,それ以上の含水比になるとほとんど非晶質化が進行しなかった.さらに600%以上になると再び非晶質化がみられた.この変化もコンシステンシー特性の変化や粘度,降伏応力の変化とも調和的である.含水比とコンシステンシー特性はモンモリロナイトを多く含む断層ガウジの力学特性を考えるうえで重要な視点である.