日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2018年年会
セッションID: R5-02
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R5:地球外物質
パラサイト隕石のオリビン中に含まれる微小包有物の鉱物学的特徴と形成プロセス
*高山 愛枝大藤 弘明
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抄録

パラサイト隕石は、オリビンとFe-Ni合金で構成される石鉄隕石であり、その形成メカニズムは未だ明らかにされていない。パラサイトのオリビン中には普遍的に微小包有物が含まれることが確認されている。本研究では、パラサイトの起源について鍵を握るかもしれないその微小包有物に着目し、鉱物学的記載を通してその形成プロセスと条件の推定を行った。
分析試料にはロシア産メイングループパラサイト隕石のSeymchanを使用した。SEM-EDSを用いた微細組織観察と化学組成分析の結果、本試料中のオリビンは幅広い粒径を持つが均質な化学組成を示した。TEMを用いた詳細な鉱物相の同定より、オリビン中の微小包有物は、主にトロイライト(FeS)、Fe-Ni合金から成り、一部リン酸塩鉱物やクロマイト、α-トリディマイトより構成されることが分かった。基質部においてもトロイライトやシュレイバーサイトの塊状組織が観察されたことから、包有物は基質部の部分溶融メルトの注入により形成された可能性が高く、トリディマイトの存在は包有物の形成が比較的低圧高温であったことを示唆している。

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