抄録
本研究の目的は,上顎骨切除患者における直接支台装置の種類が支台歯周囲に与えるひずみの影響を,ひずみゲージを用いて明らかにすることである.
左側上顎骨切除の顎模型と顎義歯を製作し,#11には3軸の,#14,15,16,17には単軸のひずみゲージを各歯の歯根相当部の顎模型に固定し,義歯離脱と咬合力荷重の2条件下でのひずみ値の測定を行った.#11の直接支台装置には0.9mmワイヤークラスプ(WC),Oリングアタッチメント(OP),マグネットアタッチメント(MA)の3種類を用いた.各ひずみの大きさ,最大主ひずみ(MPS)及びその方向を,ポストホック・ボンフェローニ検定を用いた一元配置分散分析(ANOVA)で統計的に解析した.
義歯離脱試験において,試験に用いられたほぼ全ての条件下で,OPのMPSはWC及びMAよりも有意に小さかった.咬合荷重試験では,MPS及びその方向がWCで最小だった.前方の直接支台装置の設計が顎義歯の動きと,模型における支台歯周囲の応力分布に直接影響を及ぼすことが示唆された.