2007 年 11 巻 1 号 p. 20-29
看護職者が職場でいきいきと働けるような取り組みが必要とされており,そのうちの1つとしてグループ・アプローチがある.本研究の目的は,職場内エンカウンター・グループに参加した看護職者の体験を明らかにし,臨床現場においてグループ・アプローチを実施する際の示唆を得ることである.グループに参加した12名を対象に,逐語録と振り返りの記述からデータ収集を行い,以下の結果を得た.
参加者の体験は,≪場の雰囲気を感じる≫,≪自分について話す/話さない≫,≪他者が自分をどう思うかが気になる≫,≪自分のことを理解してもらえたとわかり安心・嬉しさを感じる≫,≪自分自身のありようを見つめる≫,≪他者のことがわかる≫,≪他者を気づかう≫,≪他者の変化に気づく≫,≪自分と他者のつながりを感じる≫という9つのカテゴリーに分類された.他文献との比較から,≪他者がどう思うかが気になる≫,≪他者を気づかう≫,≪他者の変化に気づく≫という体験が本研究の対象者に特徴的であった.体験には個別性がみられ,若い参加者は自分のことについて話してみようと思う気持ちに変化していた.
参加者はさまざまな体験をしながら,職位や経験年数,部署の枠を超えて≪自分と他者のつながりを感じる≫という共通した体験をしていた.以上のことから,職場内エンカウンター・グループは,自分について考えたり,他者と相互に関係しあい,看護職者同士が新たな関係を構築するための1つの方法として有用であることが示唆された.