日本看護管理学会誌
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原著
若手看護師における退職の予測要因の検討
渡邊 里香荒木田 美香子清水 安子鈴木 純恵
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2011 年 15 巻 1 号 p. 17-28

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抄録

本研究の目的は,看護師経験5年未満の看護師の1年以内の退職の有無を予測する要因を個人要因,組織要因,健康関連要因から検討することにより,若手看護師の退職予防について示唆を得ることであった.2007年9月に個人要因,組織要因,健康関連要因について自記式質問紙調査を行い,1年後に退職の有無を調査した.初回調査では1430部を回収し(回収率63.7%),分析対象者は1307名であった.1年以内の退職者(以下,退職群)は182名(13.9%),勤続者(以下,継続群)は1125名であり,以下のことが明らかとなった.

1. 経験年数5年未満の看護師では経験年数が高くなるほど1年以内に退職する割合が高くなっていた.

2.1‒2年目では退職群で心身の不調の自覚症状が有意に多く,また心身の不調による労働遂行能力の低下が1年以内の退職の予測要因であったことより,健康管理と労働遂行能力の低下に注意して見守ることが重要である.

3.3‒5年目では話し合う場,医師との良好な関係,設備,超過勤務が退職の予測要因として有意となり,役割や立場の変化に応じた教育やチーム医療メンバーの相互理解,労働時間の管理,作業環境管理が重要である.

4.退職群では継続群に比べて不調に伴う労働遂行能力の低下が認められたことより,組織的な労働安全衛生管理の実施,特に健康管理が重要であると考えられた.

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© 2011 一般社団法人 日本看護管理学会
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