日本看護管理学会誌
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新卒看護師の職場適応とその影響因子に関する縦断的研究
小野田 舞内田 宏美津本 優子
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 16 巻 1 号 p. 13-23

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抄録

新卒看護師の職場適応状態(バーンアウト得点)とその影響因子(研修体制,人的サポート,新人看護師職務ストレッサー,ストレス対処方略)について,入職後3ヶ月時と6ヶ月時の縦断的調査を行い,両方の回答が得られた64名を分析対象とした.その結果,入職後3ヶ月時から6ヶ月時に脱人格化得点が上昇し,バーンアウト状態の進行がみられた.入職時研修は,実施率50%以下の項目が全体の半数以上を占めた.新卒看護師のストレッサー得点は,3ヶ月では「自分の能力不足」「患者・家族との関係」「援助へのジレンマ」が高く,6ヶ月時には「自分の能力不足」が有意に低下し,「援助へのジレンマ」が有意に上昇した.職場における人的サポート得点は,3ヶ月時では「プリセプター」「チームリーダー・先輩看護師」「主任」が高く,6ヶ月時には有意に低下した.バーンアウト得点とストレッサー得点,人的サポート得点,ストレス対処方略との間には相関がみられ,適応状態に影響を与えていることが示唆された.中でも,職場における人間関係のストレス,回避的なストレス対処方略は職場不適応との関連がみられた.以上のことから,新卒看護師の職場適応を促進するためには,技術への自信をつける教育体制の充実,支援的な職場環境の準備,新卒看護師自身が望ましいストレス対処を学習することの必要性が示唆された.

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© 2012 一般社団法人 日本看護管理学会
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