日本看護管理学会誌
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ワークライフバランスに取り組む病院に勤務する看護師の職務満足度
渡邊 郁子塚原 節子
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 17 巻 1 号 p. 37-47

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抄録

本研究の目的は,ワークライフバランスに取り組む病院に勤務する看護師の職務満足度を明らかにすることである.多様な勤務形態を導入している4つの一般病院の病棟勤務である女性看護師533人に自己記入式質問紙を配布した.調査内容は,個人属性,生きがい感,職務満足度である.職務満足度の質問紙は,「管理システム」「仕事上の人間関係」「専門職性」「看護師としての自己実現」の4つのスケールを使用した.看護師420人から返却を得,有効回答376人を分析の対象とした(有効回答率70.5%).

1.多様な勤務形態を選択している人(以下,選択群とする)は66人,多様な勤務形態を選択していない人(以下,未選択群とする)は,310人であった.

2.選択群は未選択群に比べ,既婚の人や,子供の有る人,雇用形態が非常勤の人が多かった.

3.選択群は未選択群に比べ,「仕事上の人間関係」,「専門職性」,「看護師としての自己実現」において,有意に得点が低かった.

4.多様な勤務形態選択群と未選択群では,生きがい感に有意な差はなかった.

ワークライフバランスに取り組んでいる病院の看護師は,多様な勤務形態選択群と未選択群で職務満足度に差があった.そのため,看護師のワークライフバランス実現に向けて,選択群が職務に満足できる取り組みの必要性が示唆された.また,生きがい感は明らかな差がなかったことから,看護師が求めるワークライフバランスを調査する必要性が示唆された.

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© 2013 一般社団法人 日本看護管理学会
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