2020 年 24 巻 1 号 p. 22-31
本研究の目的は,看護師のローテーションがキャリア発達に及ぼす影響と看護部長が行うキャリア発達につながるローテーションの決定と支援について明らかにすることである.公的病院の看護部長10名に半構造化面接を実施し,質的に分析した.看護部長が考えるローテーションが看護師のキャリア発達に及ぼす影響は,【人間関係構築力の向上】【看護実践能力の向上】【問題解決能力の向上】【自ら変化する力が身につくことによる成長】【困難を乗り越えることによる成長】【組織社会化を通した自己の確立による成長】【新たなキャリアの方向性の獲得】【自己像の発見】【ワーク・ライフ・バランス保持で可能となる仕事継続】【ネガティブな感情による精神的な落ち込み】【キャリア中断の危機】の11カテゴリーであった.看護部長による看護師のキャリア発達につながるローテーションの決定は,【ローテーションへのキャリアニーズの反映】【キャリア発達を支援するための部署の選択】【ライフイベントに合わせた部署の選択】の3カテゴリー,ローテーション前後の支援は,【ローテーションを受け入れるための対話による支援】【新しい部署で組織社会化が促進するよう働きかける】【困難を乗り越えられるよう働きかける】の3カテゴリーが抽出された.看護部長が行うローテーションがキャリア発達につながるためには,看護部長の決定と支援が重要である.