2004 年 7 巻 2 号 p. 10-18
本研究では,看護師長に期待するリスクマネジャー役割評価尺度を開発し,その信頼性と妥当性を検討することを目的とした.全国の国立大学医学部附属病院と400床以上の総合病院の看護師長1,167名を対象に郵送法による無記名自記式質問紙調査を行い,859名から回答を得た(回収率73.6%).看護師長のリスクマネジャー役割評価尺度項目として,看護師長の自由記述をもとに,ゼネラルリスクマネジャーや看護管理学の研究者と内容妥当性検討を行い,68の準備項目を作成し調査した.
Stepwise 因子分析により適合度の高い下位尺度項目検討を行った結果,GFIが0.9を割る20項目が除外され,6因子48項目が抽出された.6因子を構成する項目内容検討より,第1因子は「看護実践における事故防止の具体的な指導」,第2因子「インシデント・アクシデントレポートの活用」,第3因子「関係部門やMRM委員会等への働きかけ」,第4因子「リスクマネジメントに関する教育指導・支援」,第5因子「事故発生時の対応」,第6因子「事故防止マニュアル等の周知・活用」と解釈した.6因子に対する高い適合性と信頼性が得られたため,評価尺度としての信頼性は高いと考える.また,6因子の構成概念妥当性・内容妥当性・交差的妥当性を検討した結果,評価尺度としての妥当性が高いことも明らかとなった.
本研究で開発した評価尺度は,今後,看護師長のリスクマネジャー役割評価尺度として有用であると考える.