2006 年 9 巻 2 号 p. 58-64
転倒予測に関した看護師の直観の構造と類型を明らかにするために,高齢患者の移乗場面と排泄場面を題材としたビデオを作製し,これを観察した看護師に患者の転倒に関する判断予測をインタビューで語ってもらい,質的帰納的に分析した.対象は臨床看護師24名とエキスパート1名である.
1.患者の転倒を予測する看護師の直観を構成する局面として,観察点(①可視的と②不可視的),③危険予測の視点,④介入の4側面が取り出され,このプロセスを看護師は直接的・瞬間的に捉えていた.
2.局面にそって事例ごとに分析したところ,看護師には静的要因探索型,多面的探索予測型,動的相互作用型,統合介入型と4つの類型パターンが抽出された.
以上より,看護師の直観は経験や個別な特性によって瞬間的に描くものが静的から動的に,可視的から不可視的となり,経験豊かな看護師やエキスパートナースはそれらを自由に駆使して介入までを捉えているというプロセスが示唆された.