2012 年 22 巻 1 号 p. 47-58
〔目的〕本研究は、看護基礎教育卒業時に身につけているべき態度の構成要素を探索し、看護教員と病院の師長、副師長、主任など新卒看護師の教育に責任を持つ看護師(以下、新人教育責任者)の認識を比較することにより、態度の教育についての示唆を得ることを目指すものである。
〔方法〕看護師の態度の構成要素をもとに質問紙を作成し、看護教員430人と新人教育責任者353人に郵送調査を行った。分析は項目分析および因子分析を行い、因子構造を検討した。
〔結果〕看護基礎教育卒業時に身につけているべき態度の因子は、〈専門職としての行動を支える心構え〉、〈社会人としての行動を支える心構え〉、〈人間関係の基盤となる心構え〉の3因子であった。Cronbach α係数は0.954であり、内的整合性は保たれていた。態度に関する両者の認識の比較では、看護教員は、新人教育責任者よりも卒業時に身につけているべき態度の必要性を有意に高く認識していた。
〔考察〕患者と共にあることが重要視される看護においては、専門職としての心構えはもちろん、豊かな人間性や社会人としての心構え、そして、人間関係の基盤となる心構えの育成が必須であることが示唆された。