日本看護学教育学会誌
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研究報告
実習場面における看護倫理教育に関する研究(第二報)
―倫理的課題別指導者の認識内容とその比較―
山田 聡子波多野 梗子小野寺 杜紀
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1999 年 9 巻 3 号 p. 1-13

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抄録

医療における倫理的課題が社会問題となっており、看護職者は倫理的な行動が期待されている。しかし、多くの看護職者は臨床現場でジレンマを感じており、これまで以上に看護倫理教育が重要となる。

本研究では、臨床実習指導者の認識から臨床場面における看護倫理教育の現状を探ることを目的に調査を行った。看護教員養成講習会受講生139人を対象に、倫理的な場面でジレンマを感じている事例中の学生への指導内容について自由記述回答を求めた。回収率は97.8%であった。事例に含まれる倫理的課題は、(1)病名告知、(2)ケア方針の違い、(3)対象者の差別、(4)生命の尊厳に関する問題としての脳死・臓器移植の4課題である。データは、Jametonのモデルを参考にして分類した。その結果、倫理的課題別に多少の相違はあるが、多くの指導者は学生のジレンマヘの指導の必要性を認識していなかった。また、臨床看護職者の行動を学生に模倣させようとする指導者が多かった。課題別には、対象者の差別や生命の尊厳の方が、病名告知やケア方針の違いよりも、指導の必要性が認識されていることが示唆された。

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© 1999 一般社団法人 日本看護学教育学会
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