抄録
HEBB-WILLIAMS知能検査法の成熟効果, 及び繰返し効果が, シロネズミを用いて再検討された。動物は, Group A, B, Cに分割され, Group Aには1ヵ月の間隔で.本検査が4回繰返し施行され (T1, T2, T3, T4), Group Bには, Group AのT1, T4に対応する時期に2回繰返され, Group Cには, Group AのT3, T4に対応する時期に2回繰返された。
1. 成熟による成績の上昇がみられず, その傾向があるというHEBBとWILLIAMS の結果と矛盾するとも考えられる。しかし, 探索動因とハンドリング効果のいずれか, または, 両者が成熟群の成績を悪くする要因であったかも知れない。この点は, 将来の研究を必要とする。
2. Group A は 4 回の, Group Cは2回の繰返しにおいて, 各回とも有意な繰返しによる成績の上昇を示し, HEBBの主張と矛盾した。
3. Group B においては, 3ヵ月間の休止によって, 繰返しの効果は消失した。
4. 信頼性は, 折半法によれば高いが, 再検査法によれば一般に低く, 且つ極めて不安定であった。
5. 個体を, 本実験で行ったようなrestrictionの条件で飼育したとき, その期間が長くなるにつれ, 動物の成績は悪くなり;同時に, 探索的行動stopping (locomotion), VTE, 及び情緒的反応の増大を示し;更に検査, 及び一般的活動性の潜時, 及び走行時も増大を示した。