抄録
1. ヤマトヒドラ, Hydra japonica で Glutatione をUS, 水流を CS として条件づけを試み, つぎの結果を得た。
2. CS すなわち, 水流だけを刺激として与えた場合の一般の運動型は, 正常個体と著しい違いがなかった。が, 刺激後30秒以内に1~3秒間の触手の運動を示したものが, 前者には25個体中15個体あるのに対して, 後者にはみられなかった。また, 収縮と付着したまま体を動かす運動の回数も後者より多かった。
3. CSだけ与えたもの (コントロール群) の反応, すなわち, 刺激後30秒以内において10秒間以上の触手運動をつづけた個体の数は25個体中皆無であった。これに対して, CSとUSを同時にくりかえし与えたのち, さらにCSだけを与えたもの (実験群) のそれは22 個体中 5 個体であった。したがって, きわめて短時間ではあるが, 一時的結合が成立したものと考えられるであろう。
4. 実験群において, 潜刺激時間が2回目から急減している。これは, 一種の疎通によるものと思われる。さらに, ヒドラの体の大きさと潜刺激時間のあいだには積極的な相関関係はみられなかった。