抄録
動物の確率学習において, 迷路を用いた場合には, スキナータイプに比べてマキシマイジングまでの試行数が著るしく少ないことが報告されている。この差異が装置間で試行間間隔及び試行数が異なることによるのかどうかを調べるため, これら2変数を装置間で等しくして, T迷路とスキナー箱におけるシロネズミのパフォーマンスを比較した。結果は従来と同様のものであった。従って装置間の結果の差異は上の2変数に帰することができない。残る手続上の違いとして, T迷路では試行毎に被験体を装置から取り出したことがあげられるが, これの吟味が必要である。
また, T迷路において, 訓練前の位置偏好が著るしく大きかったネズミはこの偏好を克服できなかった。このことから, 位置偏好についてマキシマイジシグの “閾値” の存在が示唆された。