動物心理学年報
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ニホンザルのグルーミング関係の分析-勝山餌付け自然集団において-
安藤 明人
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1983 年 32 巻 2 号 p. 59-71

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抄録
岡山県に生息する勝山ニホンザル餌付け自然集団の3歳以上の全個体119頭を対象として約1年間にわたって観察を行い, 2467例のグルーミング関係が得られた。その63.3%が同一血縁個体間でなされたもので, その80%弱は母と雌の子の間でなされたものであった。血縁関係のない個体間でなされたグルーミングは, 非交尾期においてはそのほとんどが雌の間でなされたものであり, 全体の35.8%を占めていた。非血縁雌間グルーミングは, 交尾期になると全体の12.8%にまで減少した (Table 1) 。非血縁雌間グルーミングには, 劣位個体が優位個体に対して行う (全体の73.1%) という方向性がみられ, また優劣順位の近い個体間においてほどグルーミングが生起しやすいという傾向がみられた (Fig.1) 。個体間の年齢差から分析してみると年齢差の小さい個体間ほどグルーミングの生起率が高かった (Fig.3) 。血縁系ごとにグルーミング関係を分析した結果, 血縁系の優劣順位に関連した一定の傾向がみられたが, 中心部成体雄との関係は, 当該血縁系に追従個体がいるかいないかの要因が強く働いており, 優劣順位との関連はみられなかった (Table 2, 3) 。
以上の結果より, 血縁内グルーミングと非血縁個体間グルーミングとでは, グルーミングの果たす機能が相違していることが指摘され, また強固な血縁的まとまりを集団としてのまとまりに統合化する上で, 非血縁雌間グルーミングが大きな役割を果たしていることが考察された。
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