Journal of Japan Academy of Nursing Science
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Factors Associated With the Implementation of Assessment by Nurses to Determine the Willingness to Eat Among “Non-Eating” Older Adults Requiring Feeding Assistance in Nursing Homes
Koji EdaMayumi KatoMiho ShogenjiYoshimi Taniguchi
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2025 Volume 45 Pages 550-560

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Abstract

目的:特別養護老人ホームにおいて,食事介助を要する「食べない」高齢者の食べたいか食べたくないかの意思(以下,食への意思)判断を目的とした看護師のアセスメント実施要因を明らかにする.

方法:790名を対象に質問紙調査を行い,アセスメント実施の有無を従属変数,属性や看護師の認識などを独立変数とし,二項ロジスティック回帰分析を実施した.

結果:回答者154名のうち74.7%がアセスメントを実施していた.実施要因には,少量でも美味しく食べてもらうことの重視(オッズ比:3.866),できるだけ多く食べてもらうことより少量でも美味しく食べてもらうことの優先(3.740),高齢者の反応から食への意思を判断できる(2.609),道徳的感受性(1.061)の4項目が関連していた.

結論:少量でも美味しく食べてもらうことを意識することが,食への意思判断を目的としたアセスメント実施と関連していた.

Translated Abstract

Objective: To elucidate the factors associated with the implementation of assessment to determine whether older adults who are not eating (“non-eating”) but require feeding assistance wish to eat (hereafter referred to as “willingness to eat”) by nurses in nursing homes.

Methods: Questionnaires were administered to 790 nurses. Binomial logistic regression analysis was conducted, with the implementation of the assessment as the dependent variable and nurses’ attributes and perceptions of “non-eating” older adults as independent variables.

Results: Among the 154 respondents, 74.7% reported conducting the assessment. Four factors were associated with implementation: placing importance on the experience of savoring food even in small quantities (odds ratio [OR]: 3.866), prioritizing the experience of savoring food over consuming larger amounts (OR: 3.740), recognizing the ability to assess willingness to eat based on older adults’ reactions (OR: 2.609), and scores on a moral sensitivity scale for nurses who work at nursing homes (OR: 1.061).

Conclusion: Nurses’ awareness of eating as a pleasurable experience, even in small amounts, was associated with the implementation of assessment to determine older adults’ willingness to eat.

Ⅰ. はじめに

口から食べることは,生理的欲求に基づく身体的な生命維持行為のみならず,楽しみや他者との交流などに関わる心理・社会的な活動でもある.特に高齢者にとっては,美味しいものを食べることは喜びや楽しみを感じる重要な要素であり,家族との団らんに次ぐ生きがいとして挙げられている(内閣府,2021).しかし,加齢変化や疾患により経口摂取が困難となり,食べたい意思があるにもかかわらず,言語的に「食べたいけれど食べない」理由を介助者に伝えられない場合,口から食べる楽しみや生きがいが損なわれる可能性がある.一方で,「食べたくないので食べない」意思があるにもかかわらず,それを介助者に伝えられない場合には,不本意な食事介助が続けられることにより苦痛が生じ得ることが報告されている(Pasman et al., 2003).このような状況は高齢者の生活の質(QOL)を低下させる懸念があり,特に認知症や終末期にある高齢者では言語的に明確な意思表示が困難となるため,看護師が高齢者の食への意思を判断することが困難な状況にある.

「食べない」意思表示には,口を開けない,顔をスプーンから背ける,食べ物や介助者を押しのける,介助者を叩く・噛むなど,多様な行動が報告されている(Rivière et al., 2002).しかし,これらの行動が食への意思表示として的確に解釈されるとは限らず,その解釈は看護師によって異なることも報告されている(Kuehlmeyer et al., 2015).そのため看護師は,高齢者の「食べない」原因を正確に把握し適切な対応を行うために,疾患や嗜好,食事環境などの要因を包括的にアセスメントする必要がある(DiBartolo, 2006).一方で,食べさせないことがネグレクトとみなされる懸念や(Meier & Ong, 2015),食事を強要できないが餓死を受容できないという葛藤(Wilmot et al., 2002),さらには食事の全量摂取が暗黙の了解という組織的背景(中村,2014)が存在することから,看護師は「食べない」高齢者への対応において困難や葛藤を抱えている現状がある.

そのような状況に対し,Palecek et al.(2010)は,認知症高齢者の食支援のあり方に対してComfort Feeding Only(CFO)の概念を提唱した.この概念は,経管栄養が延命や誤嚥性肺炎の予防に寄与しないエビデンスに基づき,経口摂取量ではなくComfortの最大化を食事介助の目標とすることを述べている.また,高齢者特有の苦痛表現や好ましい食形態,効果的な食事介助技術などを考慮した個別ケア計画の作成を推奨している.CFOは,快適と感じる以上の食べ物や水分を摂取しないことや(Wechkin et al., 2025),栄養補給による生命維持を目標とせず,高齢者が示す苦痛を食事介助の停止点とすること(Allen, 2020Meier & Ong, 2015)を意味している.さらに,Comfortの状態は状況の変化に応じて即座に変化し得るとされている(Kolcaba, 2003/2008).そのため,食事介助が高齢者のComfortにどのような影響をもたらすかについては,高齢者本人の食への意思を踏まえ,その都度適切に判断されることが望ましいと考えられる.しかし,このような判断が看護師によって実施されているかについては十分に明らかにされていない.

食事介助などの日常生活援助から看取りまでを担う特別養護老人ホーム(以下,特養)は,2015年より原則として要介護度3以上を入所条件とし,意思疎通に困難を伴う高齢者への対応に加え,終の棲家としての社会的役割も課せられている.看取り介護加算創設以前の2005年には,特養を含む老人ホームにおける死亡率は2.1%であったが,2022年には11.0%を占め(厚生労働省,2023),今後もその割合が増加すると推定されている.このような介護度の高い高齢者を最期まで看る状況にもかかわらず,常勤の医師を配置している特養は全体の1.1%に過ぎず(厚生労働省,2017a),医療的支援体制が十分ではない現状がある.そのため,看護師は高齢者本人や家族の意思を嘱託医へ伝える難しさや,介護職員への説明不足による不全感など,多くの課題を抱えていることが報告されている(小楠・萩原,2007).

看取りを行う特養では,終末期にある高齢者が一口でも食べることに楽しみや喜びを見出すことや,他者との食事が社交的関わりとなることから,食支援は重要な要素の1つとされている(上村ら,2011).一方で,高齢者の終末期の経過は多様で余命予測が困難であるため(日本老年医学会,2012),「食べない」状態が日常的な変化なのか,終末期における不可逆的な変化なのか,特に認知症高齢者では明確な線引きが困難な不明瞭な状態にある(Browne et al., 2021).終末期における生理機能の低下により,経口摂取そのものが身体的な消耗につながる可能性が指摘されている(川上,2022).さらに,最期の時期が近づくにつれて身体的な快適さが高まることや(Green et al., 2019),食事のたびに覚醒を強いられるよりも,眠って過ごす方が不快症状を軽減できるという報告もある(Pasman et al., 2005).こうした状況での経口摂取は,高齢者に心理的な安定や生きる実感をもたらす一方で,身体的負担や苦痛の増加につながる可能性もあるため,看護師には高齢者本人の意思を尊重しつつ,消耗を最小限に抑えるためのケアが求められる.

看護師が「食べない」高齢者の食への意思判断を目的としたアセスメントに基づき,個別性のあるケアを実施することにより,高齢者は自身の意思に即した適切な食支援を受けられる可能性が高まる.さらに,経口摂取量ではなくComfortの最大化を食事介助の目標とするCFOの概念は,「食べない」高齢者になんとか食べてもらおうとする使命感から看護師を解放し,食事介助に伴う葛藤の軽減にも寄与することが期待できる.しかし,「食べない」高齢者へのアセスメントツールは散見されるものの,食べたいか食べたくないかの意思(以下,食への意思)判断のためのアセスメントが看護師によって実施されているかは不明である.よって本研究は,看取りを行う特養において,食事介助を要する「食べない」高齢者への食事介助に対する看護師の認識,および食への意思判断を目的としたアセスメント実施の有無とその要因を明らかにすることとした.

Ⅱ. 用語の操作的定義

食事介助:介助者が食べ物を皿から口に運ぶこと(Amella, 1998Chang & Roberts, 2008)とし,見守りのみの対応は除外した.

食べたいけれど食べない:高齢者自身に食べたいという意思があるにもかかわらず,何らかの理由により食べられないので食べないこと,とした.

食べたくないので食べない:高齢者自身の意思により食べたくないので食べないこと,とした.

食べない:食事介助の開始時から口を開けないなどの態度を示し,食事を摂取しないこと,とした.本研究では,「食べない」理由を高齢者が明確に言語化できないことや,高齢者自身の理由や意思により「食べない」可能性を想定したため,食事拒否や抵抗といった介助者側の主観的解釈を排した記述的表現を用いた.

Ⅲ. 研究方法

1. 研究デザイン

本研究は,無記名自記式構成的質問紙を用いた横断調査研究とした.

2. 研究対象者

北陸地方3県(福井県,石川県,富山県)が公表している定床数30床以上の全広域型特養250施設のうち,看取り介護加算を取得している163施設の公表データを基に看護師数を集計し,全看護師790名を対象とした.適格基準は,本研究への協力に同意した18歳以上の看護師であり,除外基準は設けなかった.

3. データ収集方法

対象施設の施設長宛てに研究説明書や無記名式の質問紙を郵送し,施設長が本研究への協力に同意した場合,対象者に書類一式を渡してもらった.対象者が書類一式受領後,2週間以内を目途に回答,研究者宛てに個別に返送してもらった.

4. データ収集期間

2023年9月13日から同年10月31日までであった.

5. 調査内容

1) 対象者の属性

属性は年齢,性別,看護職に関わる保有資格,経験年数,「食べない」高齢者への対応経験と経口摂取に関する卒後研修受講歴の有無,道徳的感受性とした.「食べない」高齢者への認識や対応は,個人の価値観や倫理観,道徳規範などに影響されると想定したため,看護師の道徳的感受性を測定する「介護保険施設で働く看護職の道徳的感受性尺度(moral sensitivity scale for nurses who work at nursing homes: MSS-NH)」(藤野ら,2014)を用いた.本尺度は,介護老人保健施設(以下,老健)と特養の看護職を対象として開発され,4因子17項目から成り,【高齢者の尊厳を守る体制づくり】【その人らしい生活を支える】【高齢者の能力を活かす】【栄養摂取法の意思決定】から構成される.回答は「全くあてはまらない:1」~「かなりあてはまる:6」の6段階で評価し,得点範囲は17~102点で得点が高いほど道徳的感受性が高いことを示す.本尺度の信頼性・妥当性は確認されており,開発者から許可を得たうえで使用した.

個人の属性に加え,施設の特性も食への意思判断を目的としたアセスメント実施に関わると想定したため,施設形態,定床数,令和4年度における平均要介護度に加え,食事介助マニュアル,経管栄養や点滴の導入目安,個別的な経口摂取目標量,個別的な工夫,「食べない」高齢者へのアセスメントツールやチェックリスト,開口しない高齢者に対するシリンジ使用の有無を尋ねた.

2) 「食べない」高齢者への食事介助に対する看護師の認識・アセスメント

「食べない」高齢者への食事介助に対する看護師の認識の設問は,CFOの概念(Palecek et al., 2010)を基に作成した.できるだけ多く食べてもらうことの重視,少量でも美味しく食べてもらうことの重視,食事介助を中断することの重視は「していない」~「している」(4択),食べさせるべきかの迷い,食事介助の中断による食支援の放棄感,なんとか食べてもらうことによる食事摂取の強要感は「ない」~「ある」(4択)で尋ねた.「できるだけ多く食べてもらうことと,少量でも美味しく食べてもらうことのどちらを優先していますか?」(以下,できるだけ多くと少量でも美味しくの優先順位)は,優先する方を選択してもらった.

「食べない」高齢者へのアセスメントの迷いの有無を「ない/ある」(2択)で,「高齢者の反応から食への意思判断をできますか?」(以下,高齢者の反応から食への意思の判断可否)を「できない」~「できる」(4択)で尋ねた.

3) 食への意思判断を目的とした看護師のアセスメント実施の有無と未実施の理由

「『食べない』高齢者が,『食べたいけれど食べない』のか『食べたくないので食べない』のかを判断するためのアセスメントをしていますか?」(以下,食への意思判断を目的としたアセスメント実施の有無)を問い,「していない/している」(2択)で尋ねた.「していない」回答者には,複数回答で理由を尋ねた(「時間がない」「人手がない」「必要性を感じない」「その他(自由記載)」).

6. 分析方法

質問紙の4段階回答は分析のために「ない/ある」の2区分に再分類し,全項目について記述統計量を算出した.次に,「食べない」高齢者の食への意思判断を目的としたアセスメント実施の有無を従属変数とし,属性や「食べない」高齢者への食事介助の認識などを独立変数として,Pearsonのχ2検定およびFisherの正確確率検定を行った.経験年数やMSS-NHについてはShapiro-Wilk検定により正規性を確認し,Mann-WhitneyのU検定およびt検定を実施した.

単変量解析において有意差が認められた変数について,看護職の総経験年数が交絡因子として影響を及ぼす可能性を除外する目的で調整変数に加え,変数間の多重共線性に問題がないことを確認したうえで,強制投入法による二項ロジスティック回帰分析を実施した.ロジスティック回帰モデルの適合度はHosmer-Lemeshowの検定を用いて算出した.有意水準は5%未満とし,統計解析にはIBM SPSS Statistics ver. 29.0を使用した.

7. 倫理的配慮

本研究は,金沢大学医学倫理審査委員会から承認(承認番号:111106-1)を受けて実施した.対象者には,研究の趣旨・方法,任意性や匿名性,成果の公表などを明記した文書を配布して説明し,回答済み質問紙の返送をもって研究協力への同意を得たものとした.

Ⅳ. 結果

161名(回収率20.4%)から回答が得られ,看護師ではない3名と従属変数の設問に無回答であった4名を除いた154名(有効回答率95.7%)を分析対象とした.

1. 回答者の特質(表1

1) 属性

全回答者において,50歳代が最多で53名(34.4%),女性が137名(95.1%),正看護師は115名(74.7%),看護職の総経験年数の平均値 ± 標準偏差は26.3 ± 12.4年,MSS-NHの合計得点の平均は72.5 ± 8.3点であった.「食べない」高齢者への対応経験ありは144名(96.6%),経口摂取に関する卒後研修受講歴ありは75名(49.7%)であった.

表1 「食べない」高齢者の食への意思判断を目的としたアセスメント実施の有無の比較

項目 判断目的でのアセスメント p
総数(N = 154) 実施(n = 115) 未実施(n = 39)
n (%) n (%) n (%)
【属性】
年齢(歳) 20代 5 (3.2) 4 (3.5) 1 (2.6) .948a
30代 19 (12.3) 15 (13.0) 4 (10.3)
40代 35 (22.7) 27 (23.5) 8 (20.5)
50代 53 (34.4) 39 (33.9) 14 (35.9)
60代 36 (23.4) 25 (21.7) 11 (28.2)
70代以上 6 (3.9) 5 (4.3) 1 (2.6)
性別 女性 137 (95.1) 103 (95.4) 34 (94.4) 1.000b
男性 7 (4.9) 5 (4.6) 2 (5.6)
保有資格 正看護師 115 (74.7) 90 (78.3) 25 (64.1) .079a
准看護師 39 (25.3) 25 (21.7) 14 (35.9)
介護支援専門員の資格 あり 12 (7.8) 7 (6.1) 5 (12.8) .181b
なし 142 (92.2) 108 (93.9) 34 (87.2)
看護職の総経験年数(Mean ± SD) 26.3 ± 12.4 26.9 ± 12.6 24.4 ± 11.6 .272c
特養における総経験年数(Mean ± SD) 9.9 ± 8.5 10.3 ± 8.7 8.8 ± 8.0 .399c
現勤務施設における経験年数(Mean ± SD) 9.1 ± 8.4 9.3 ± 8.6 8.5 ± 7.8 .770c
MSS-NH(Mean ± SD) 72.5 ± 8.3 73.7 ± 8.1 68.9 ± 7.8 .002d
経口摂取に関する卒後研修受講歴 あり 75 (49.7) 59 (52.7) 16 (41.0) .210a
なし 76 (50.3) 53 (47.3) 23 (59.0)
勤務施設の形態 従来型 76 (49.7) 55 (47.8) 21 (55.3) .505a
ユニット型 52 (34.0) 39 (33.9) 13 (34.2)
混合型 25 (16.3) 21 (18.3) 4 (10.5)
【施設における食支援】
食事介助マニュアル あり 75 (49.3) 59 (51.8) 16 (42.1) .303a
なし 77 (50.7) 55 (48.2) 22 (57.9)
経管栄養や点滴の導入目安 あり 94 (61.4) 70 (61.4) 24 (61.5) .988a
なし 59 (38.6) 44 (38.6) 15 (38.5)
個別的な経口摂取目標量 あり 79 (51.3) 59 (51.3) 20 (51.3) .998a
なし 75 (48.7) 56 (48.7) 19 (48.7)
個別的な食支援の工夫 あり 148 (96.7) 112 (98.2) 36 (92.3) .105b
なし 5 (3.3) 2 (1.8) 3 (7.7)
「食べない」高齢者に対するアセスメントツールやチェックリスト あり 18 (12.0) 16 (14.3) 2 (5.3) .245b
なし 132 (88.0) 96 (85.7) 36 (94.7)
開口しない高齢者へのシリンジ使用 あり 25 (16.3) 19 (16.7) 6 (15.4) .852a
なし 128 (83.7) 95 (83.3) 33 (84.6)
【「食べない」高齢者に対する看護師の認識】
できるだけ多く食べてもらうことの重視 している 46 (36.8) 23 (26.7) 23 (59.0) .125a
していない 79 (63.2) 63 (73.3) 16 (41.0)
少量でも美味しく食べてもらうことの重視 している 121 (78.6) 100 (87.0) 21 (53.8) <.001a
していない 33 (21.4) 15 (13.0) 18 (46.2)
できるだけ多くと少量でも美味しくの優先順位 できるだけ多く 50 (32.5) 26 (22.6) 24 (61.5) <.001a
少量でも美味しく 104 (67.5) 89 (77.4) 15 (38.5)
食べさせるべきかの迷い あり 124 (80.5) 91 (79.1) 33 (84.6) .455a
なし 30 (19.5) 24 (20.9) 6 (15.4)
食事介助を中断することの重視 している 131 (85.6) 100 (87.0) 31 (81.6) .413a
していない 22 (14.4) 15 (13.0) 7 (18.4)
食事介助の中断による食支援の放棄感 あり 47 (30.7) 32 (28.1) 15 (38.5) .225a
なし 106 (69.3) 82 (71.9) 24 (61.5)
なんとか食べてもらうことによる食事摂取の強要感 あり 118 (77.1) 88 (77.2) 30 (76.9) .972a
なし 35 (22.9) 26 (22.8) 9 (23.1)
アセスメントの迷い あり 134 (87.6) 97 (85.1) 37 (94.9) .159b
なし 19 (12.4) 17 (14.9) 2 (5.1)
高齢者の反応から食への意思の判断可否 できる 85 (55.9) 70 (61.4) 15 (39.5) .018a
できない 67 (44.1) 44 (38.6) 23 (60.5)

Mean:平均値SD(Standard deviation):標準偏差

MSS-NH:moral sentitivity scale for nurses who work at nursing homes(介護保険施設で働く看護職の道徳的感受性尺度)

a)χ2検定 b)Fisherの正確確率検定 c)Mann-WhitneyのU検定 d)t検定

回答者の勤務施設の形態は,従来型76名(49.7%),次いでユニット型52名(34.0%)であった.平均要介護度は4.0 ± 0.3,平均定床数は83.3 ± 25.9床であり,回答者の72.7%が100床未満の施設で勤務していた.

2) 施設における食支援

回答者の勤務施設における食支援において,個別的な食支援の工夫は148名(96.7%)がありと回答し,「食べない」高齢者に対するアセスメントツールやチェックリストは18名(12.0%)がありと回答した.

3) 「食べない」高齢者に対する看護師の認識

「食べない」高齢者に対する看護師の認識においては,食べさせるべきかの迷いを124名(80.5%)がありと回答し,アセスメントの迷いを134名(87.6%)がありと回答した.また,食事介助を中断することの重視を131名(85.6%)がしていると回答し,食事介助の中断による食支援の放棄感を47名(30.7%),なんとか食べてもらうことによる食事摂取の強要感を118名(77.1%)がありと回答した.

4) 食への意思判断を目的としたアセスメントの実施有無・未実施理由

「食べない」高齢者の食への意思判断を目的としたアセスメントを115名(74.7%)が実施していると回答(以下,実施群)し,39名(25.3%)が実施していないと回答(以下,未実施群)した.アセスメントを実施しない理由は,「時間がない」12名,「人手がない」11名,「必要性を感じない」6名であった.「その他」の回答者は16名であり,うち「アセスメント方法が分からない」(8名)が最も多く,次いで「栄養士がいるため」(3名)であった.

2. 食への意思判断を目的としたアセスメント実施の有無の群間比較および関連要因

1) 各項目における群間比較(表1

属性ではMSS-NH(p = .002)のみ有意差を認め,実施群は73.7 ± 8.1点で未実施群の68.9 ± 7.8点に対し有意に得点が高かった.施設における食支援において有意差を認めた項目はみられなかった.「食べない」高齢者に対する看護師の認識においては,少量でも美味しく食べてもらうことの重視(p < .001),できるだけ多くと少量でも美味しくの優先順位(p < .001),高齢者の反応から食への意思の判断可否(p = .018)で有意差がみられた.

2) 二項ロジスティック回帰分析(表2

アセスメント実施の関連要因のオッズ比はMSS-NH 1.061(95% confidence interval [CI]: 1.001~1.124, p = .048),少量でも美味しく食べてもらうことの重視 3.866(95%CI: 1.392~10.735, p = .009),できるだけ多くと少量でも美味しくの優先順位3.740(95%CI: 1.498~9.340, p = .005),高齢者の反応から食への意思の判断可否 2.609(95%CI: 1.048~6.498, p = .039)であった.モデル全体の有意性は,モデルχ2検定p < .001,モデルの適合度はHosmer-Lemeshow検定の結果p = .269,判別的中率は77.0%であった.調整変数とした看護職の総経験年数を除外した結果においても,関連要因は同様であった.

表2 「食べない」高齢者の食への意思判断を目的としたアセスメント実施の有無の関連要因

変数 調整なし 調整あり
オッズ比 95%信頼区間 p オッズ比 95%信頼区間 p
下限 上限 下限 上限
MSS-NH 1.060 1.000 1.124 .049 1.061 1.001 1.124 .048
少量でも美味しく食べてもらうことの重視 3.661 1.339 10.012 .011 3.866 1.392 10.735 .009
できるだけ多くと少量でも美味しくの優先順位 3.475 1.432 8.435 .006 3.740 1.498 9.340 .005
高齢者の反応から食への意思の判断可否 2.482 1.011 6.095 .047 2.609 1.048 6.498 .039
看護職の総経験年数 0.987 0.951 1.024 .485
モデルχ2検定 p < .001 p < .001
Hosmer-Lemeshowの検定 p = .702 p = .269
判別的中率 77.0% 77.0%

検定方法:二項ロジスティック回帰分析(強制投入法)

従属変数:食への意思判断を目的としたアセスメント実施(0:未実施,1:実施)

独立変数:単変量解析で有意差がみられた項目

     少量でも美味しく食べてもらうことの重視(0:していない,1:している)

     できるだけ多くと少量でも美味しくの優先順位(0:できるだけ多くの優先,1:少量でも美味しくの優先)

     高齢者の反応から食への意思の判断可否(0:できない,1:できる)

調整変数:看護職の総経験年数

MSS-NH:moral sentitivity scale for nurses who work at nursing homes(介護保険施設で働く看護職の道徳的感受性尺度)

Ⅴ. 考察

看取りを行う特養において,食事介助を要する「食べない」高齢者の食への意思判断を目的とした看護師のアセスメント実施要因を明らかにした.

1. 回答者の特性

回答者は,50歳代以上が6割,女性が9割以上を占め,正看護師の割合が7割以上,看護職の平均総経験年数は26.3年であり,特養の看護師を対象とした全国調査の属性(日本看護協会,2016)と類似していた.MSS-NHの平均得点は72.5点であり,藤野ら(2014)による老健と特養に勤務する看護師対象の先行研究における,看護倫理に関する研修受講歴ありの74.3点と近似していた.しかし,同研究では対象者の約7割が老健の看護師であったことに対し,本研究は全員が特養所属の看護師であり,施設の人員配置基準,在所期間,要介護度などの施設特性の違いが得点に影響していた可能性がある.また,北陸地方に限定した本研究では,根付いている仏教や(国土交通省,2009),豪雪地帯の厳しい環境下で形成された勤勉さや忍耐強さなどの地域性(田林・林,2007)も,得点に影響していた可能性がある.したがって,本研究の回答者は,特養看護師を対象とした全国調査と属性は類似していたが,施設特性や地域性の相違が回答者の特性に影響を与えていた可能性は否定できない.

2. 食への意思判断を目的としたアセスメント実施の関連要因

食への意思判断を目的としたアセスメント実施には,少量でも美味しく食べてもらうことの重視,できるだけ多く食べてもらうことより少量でも美味しく食べてもらうことの優先,高齢者の反応から食への意思の判断ができる,道徳的感受性の4項目が関連していた.

少量でも美味しく食べてもらうことの重視と,できるだけ多く食べてもらうことより少量でも美味しく食べてもらうことの優先が,食への意思判断を目的としたアセスメント実施と関連していた背景には,食事介助に伴う高齢者の苦痛を回避し,食の喜びを提供したいという看護師の思いが根底にあると考えられた.少量でも美味しく食べてもらうことの重視や優先に関する質問項目は,CFOの概念に基づいて作成された設問である.Palecek et al.(2010)は,CFOにおいて丁寧な食事介助による経口摂取が高齢者にとって最も低侵襲かつ食の満足をもたらし,経口摂取量の最大化ではなくComfortの最大化を目標とすべきであると述べている.このことから,看護師は高齢者に美味しく食べてもらうために,苦痛なく食べることができる許容量や食形態,嗜好などについてのアセスメントを実施していたと考えられる.

実施群のうち,9割が少量でも美味しく食べてもらうことを重視し,8割が少量でも美味しく食べてもらうことを優先しており,未実施群と比較して有意差がみられた.これらのことから,実施群の看護師は,「食べない」高齢者への食支援において,Comfortを重視していたことが想定される.Kolcaba(1992, 2003/2008)は,Comfortが状況によって即座に変化する特性をもつため,その変化や主観的表現などを状況に応じてアセスメントする重要性を述べている.Comfortの概念分析では,「個人特有の表現方法と変動性」や「表現の困難化の可能性とケア提供者による観察可能性」が主要な属性として抽出されている(出貝,2014).また,言語的な意思表示が困難な認知症高齢者が,Comfortの状態でなければ経口摂取をすることができなかったことが観察研究から報告されており(湯浅・小川,2007),言語的に訴えることが難しい高齢者であっても,看護師は表情や行動からComfortの状態か否かを見極めていると考える.したがって,食への意思判断を目的としたアセスメント実施により,「食べたいけれど食べない」高齢者には食べられない原因を特定し,それに対する介入を通じて再び食べる喜びを得る支援が可能となる.一方,「食べたくないので食べない」高齢者に対しては,食べたくないからとただちに食事介助を中断するのではなく,食事介助の継続に伴う苦痛と美味しいと感じる喜びの可能性,および中断による苦痛の回避を見極める支援が可能となる.このような状況依存的な性質をもつ高齢者のComfortの状態を見極め,それを最大化するために看護師はアセスメントを実施していたと考えられる.

次に,高齢者の反応から食への意思の判断ができることは,食への意思判断を目的としたアセスメント実施と関連していた.この関連性は,高齢者特有の反応を意図的に観察し,その真意を見極めようとする看護師の実践に基づくものであると考えられる.高齢者の反応は,スプーンを押しのけることや介助者を叩くなど能動的なものだけでなく,口を開けないことや飲み込まないといった,終末期の身体機能の低下に伴う変化と類似するため,意識的な観察がなければ食への意思表示が見逃される可能性がある.石飛(2010, 2012)は,本当のケアとは本人の望みをいかに察知し叶えるかであり,経口摂取が困難となった高齢者に対しては食べさせない勇気も必要であると述べている.また,高齢者の死の約1ヶ月前の変化には,食事介助の際に口腔内に食物を溜め込み,飲み込まずに吐き出すことや,しかめっ面や苦しそうな顔を示すことなどがあり,特養看護師は高齢者の身体面のみならず,表情の変化まで観察・察知していたことが報告されている(Iwase, 2018).同様に,終末期にある高齢者の咀嚼や嚥下状況,覚醒状態,食欲の変化などを総合的に評価し,その都度摂食能力やタイミング,摂取可能な限界を見極める特養の熟練看護師の実践も報告されている(鎌田ら,2023).このような高齢者の非言語的な反応や状態の変化を意図的に観察する特養看護師の実践は,CFOの概念における食事介助の停止点の見極めや,食への意思判断を目的としたアセスメント実施に密接に関係していたと考えられる.

一方で,高齢者の反応から食への意思の判断ができると回答したのは全回答者の6割に限られ,その判断が容易ではないことも今回の結果より明らかとなった.この背景には,明確な意思表示が困難な高齢者の特性として,「食べない」原因となり得る様々な器質的・機能的障害を有していることが考えられる.特養の高齢者の9割以上が認知症を有し,7割が要介護4以上,6割が寝たきりであることや(厚生労働省,2017b),6割以上が不良な口腔状態や神経系疾患などによる摂食嚥下障害を有することが報告されている(Roberts et al., 2024).高齢者がスプーンから顔を背ける動作に対し,認知症に伴う失認や,嚥下困難により窒息を恐れているためではないか,または生への諦念による食事拒否なのではないかと,看護師は異なる解釈をしていたという報告がある(Pasman et al., 2003).看護師が食への意思を判断できないことにより,高齢者の真意と異なる望まない対応が行われる可能性が示唆されるため,高齢者の反応や状態と食への意思の関連性を見出すための意図的なアセスメントが求められる.

食への意思判断を目的としたアセスメント実施と道徳的感受性が関連していたことは,看護師の道徳的感受性の特性に起因していたと考えられる.Fry & Johnstone(2008/2010)は,道徳的感受性は,ある状況に内在する道徳的課題を見出す能力を必要とし,個人の言語的・非言語的行動を解釈し,その人の望みや必要とするものを見出し対応することなどが関係すると述べている.一方でLutzen et al.(2006)は,「道徳的負担の感性」「道徳的強さ」「道徳的責任」を道徳的感受性の主要な3要素とし,中でも「道徳的負担の感性」は対象への益と害のバランスに対する自己認識や,自身の行為が不適切ではないかと客観的に捉える能力を示している.CFOにおける対象への益と害のバランスについて,Davies et al.(2016)は経口摂取によるComfortや喜びと,誤嚥リスクのバランスを考慮すべきと述べている.道徳的感受性の高い看護師は,倫理的課題を敏感に察知し倫理的に適切な行動をとれることから,高齢者が「食べない」状況を倫理的な問題と認識し,高齢者の意思を汲み取るためのアセスメントを実施していたと考えられる.

MSS-NHにおいては,実施群の得点が未実施群より有意に高く,9割が「食べない」高齢者に対する食事介助の中断を重視していた一方,8割がなんとか食べてもらうことによる食事摂取の強要感を抱いていた.この背景には,「強要はしたくないが食べて欲しい」という思いから,食事介助を継続していることが推察される.このような状況は,高い道徳的感受性を有する看護師は多くの倫理的問題に直面しながらも,必ずしもすべてを解決できているわけではないと認識している報告(水澤,2009)と合致していると考える.また,食事介助の中断による食支援の放棄感を3割が有していた.生命維持を優先した食事介助の継続は,Comfortの阻害や誤嚥・窒息による苦痛などの意図しない結果を招く懸念がある一方,苦痛回避を優先した食事介助の中断は,高齢者の生命予後への重大な影響や,看護師としての療養上の世話の放棄につながる懸念がある.看護師が抱く「食べない」高齢者への食事介助継続による食事摂取の強要感と,中断による食支援の放棄感は,「食べる楽しみを感じて生きて欲しい」善行の尊重と,「苦しませたくない」無危害の尊重との間に倫理的な対立が生じ,倫理的葛藤につながり得ると考えられる.また,施設における食支援がアセスメント実施と関連しなかった結果より,アセスメントの実施は看護師個人の経験や判断に依拠している可能性を示唆している.看護師は,経口摂取に対する自身の意思や価値観が高齢者本人と同じであるか確信が持てず,迷いや葛藤といった複雑な感情を抱くことがある(米村・堤,2015).価値観が異なる他者の意思を推し量ることの困難さや,食事介助の継続・中断のいずれの判断も一義的に適切と断定できる指標がないことにより,看護師は倫理的葛藤や役割葛藤といった心理的負担を抱えつつ,アセスメントや対応を行っていることが推察される.

施設における食支援がアセスメント実施と関連しなかった理由として,マニュアルやチェックリストなどの保有の有無に着目して調査をしたが,実際の運用状況や活用頻度,有用性などが含まれておらず,質問が現場の実態を十分に反映していなかった可能性がある.また,食支援に携わる多職種に関する質問を設けなかったことも理由として考えられる.特に言語聴覚士は,認知症高齢者への緩和ケアにおいて,Comfort Feedingの概念に基づく食事介助と嚥下管理を最も頻繁に提供していたとの報告があり(Fong et al., 2020),今後の調査では療法士との連携状況を把握する質問項目を加える必要がある.

3. アセスメントを実施していない理由

アセスメント未実施群は25%であり,主な理由は時間的・人的資源の不足であった.特養看護師は,健康管理,急変対応,服薬管理などの重要な医療・療養業務を担っている(日本看護協会,2016).本研究における特養の平均要介護度は4.0であり,日常生活援助も含む看護師の業務負担の大きさが,アセスメント実施の障壁となっている可能性がある.一方,アセスメント方法が分からない,必要性を感じないなどの回答もみられた.前者はアセスメントに関するマニュアルやツール不足が背景と推察されるが,後者の詳細は把握できていないため,必要性を感じない理由の解明が今後の課題である.

4. 看護への示唆

アセスメントの実施には,少量でも美味しく食べてもらうことの重視,できるだけ多く食べてもらうことより少量でも美味しく食べてもらうことの優先,すなわちCFOの概念が関連していた.CFOはComfortの最大化を目標としており,高齢者の示す苦痛が食事介助の停止点であるとされている(Palecek et al., 2010).看護師がCFOを認識する教育の機会を得ることで,個々の高齢者が美味しいと感じる嗜好や苦痛表現を意図的に把握し,食事介助の継続・中断の適切な判断につながると考える.アセスメント実施には,高齢者の反応から食への意思判断ができることも関わっていた.意思判断ができるためには,高齢者の特異的な反応から,「食べない」理由を的確に推論できること,またそれが日常的な変化なのか,終末期の不可逆的な変化なのかを見極める必要もある.そのため,日頃から高齢者が示す個別的な反応や食事摂取量・内容,食に関わる体調などを意図的かつ継続的に観察することが求められる.さらに,道徳的感受性もアセスメント実施と関連していた.看護倫理に関する研修を受講した看護師は,未受講者に比べてMSS-NHの得点が有意に高いという報告や(藤野ら,2014),道徳的感受性の構成要素の1つに,ケア対象者に対する有益性と無危害とのバランスを客観的に認識する能力を備えることが含まれることから,倫理研修の提供が必要であると考える.一方で,「食べない」高齢者へのアセスメントツールやチェックリストの保有は1割程度,食事介助マニュアルも5割に限られていたことから,アセスメントの実施を促進するためには,ツールやマニュアルの整備に加え,それらを介護職,療法士,栄養士などの食支援に携わる多職種間で共有可能な記録様式の導入など,組織的なアプローチが求められる.

5. 研究の限界

本研究の分析対象は北陸3県に限定され,さらに回収率が2割程度と低かったため,本研究結果の一般化には限界があると考えられる.また,1施設につき複数の回答が含まれているため,施設ごとの特性に起因する偏りが結果に影響を及ぼしている可能性も否定できない.加えて,対象者が認識する「食べない」高齢者の基準が一様でなかったことから,結果の再現性や解釈に課題があり,実践への応用には一定の制約があると考えられる.

アセスメント実施の有無に関する回答は,あくまで回答者による主観的な評価に基づいて行われており,実際にどのような情報を収集し,それをどのように分析・解釈しているかは明らかにしていない.また,アセスメント実施により個別的なケア計画の立案や提供,高齢者にとってComfortな食支援へとつながるかの探求もできていないため,今後の課題として明らかにする必要がある.

Ⅵ. 結論

看取りを行う特養において,食事介助を要する「食べない」高齢者の食への意思判断を目的とした看護師のアセスメント実施要因には,少量でも美味しく食べてもらうことの重視,できるだけ多く食べてもらうことより少量でも美味しく食べてもらうことの優先,高齢者の反応から食への意思を判断できる,道徳的感受性の4項目が関連していたことが明らかとなった.少量でも美味しく食べてもらうことを意識することや,高齢者の反応を意図的に観察する看護師の実践が,アセスメント実施に関わることが示唆された.

付記:本論文の内容の一部は,日本老年看護学会第29回学術集会,日本老年看護学会第30回学術集会,第44回日本看護科学学会学術集会において発表した.

謝辞:本研究にご協力いただいた特別養護老人ホームの看護師の皆様に,心より感謝いたします.

利益相反:本研究における利益相反は存在しない.

著者資格:枝晃司は,研究の着想およびデザイン,データ収集,分析,原稿作成の全研究プロセスに貢献した.加藤真由美は,研究プロセス全体への助言および原稿作成に貢献した.正源寺美穂は,データ分析および結果の解釈に貢献した.谷口好美は,研究デザイン,結果および考察に関する助言に貢献した.すべての著者は最終原稿を読み,承認した.

文献
 
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