Journal of Japan Academy of Nursing Science
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Current State of Monitoring Older Adults by School-Age Children’s Parents
Runa KonoJunko ToriiSatoshi IrinoMinori Tanaka
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2025 Volume 45 Pages 613-623

Details
Abstract

目的:学童期の子どもを持つ保護者における高齢者見守りの実態を明らかにする.

方法:小学校3校の保護者を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した.

結果:分析対象344名の内39名(11.3%)が「気がかりな高齢者がいる」と回答し,内16名(41.0%)が継続的に気がかりな高齢者の様子を確認していた.さらに,高齢者見守り項目の中でも「家の中から怒鳴り声がする・悲鳴が聞こえる」「歩く姿が危なっかしい,具合が悪そう」といった項目は「非常に気になる」ことが示された.高齢者見守りと関連のある項目は,地域の高齢者から受けた子育て支援,近所づきあいや地域活動を通した高齢者との交流,地域への愛着等であった.

結論:地域における世代間交流を推進するとともに地域への愛着を高めることで学童期の子どもを持つ保護者における高齢者見守りが促進される可能性がある.

Translated Abstract

Objective: This study examines the current state of monitoring of older adults by parents of school-age children.

Methods: An anonymous, self-administered questionnaire survey was administered to the parents and guardians of three elementary schools.

Results: Of the 344 respondents analyzed, 39 (11.3%) reported being concerned about an older adult, and 16 (41.0%) of them regularly checked on the well-being of the older adult they were concerned about. Among older adult monitoring indicators, items such as “yelling and screaming coming from inside the house” and “the older adult walking unsteadily, appearing unwell” were rated “very worrisome.” Items associated with older adult monitoring included childcare support from older adults in the community, interaction with older adults through neighborly relations and community activities, and a sense of community attachment.

Conclusion: Monitoring was observed regardless of kinship or roots in the community; therefore, enhancing intergenerational interaction and strengthening the sense of community attachment may encourage parents of school-age children to monitor older adults.

Ⅰ. 緒言

我が国の総人口は,少子高齢化の進展により2008年をピークに減少に転じている(国土交通省,2016).2040年には,現役世代(15~64歳)が大幅に減少し,高齢化率は34.8%まで上昇する見込みである(内閣府,2023).これは1人の高齢者に対して現役世代が1.6人という比率になることを意味し(内閣府,2023),地域で必要とされるサービスを行政や民間が全て提供することは困難になると考えられる(内閣官房,2022).さらには,価値観の多様化や核家族化などの社会環境の変化から人々のつながりが希薄になり,血縁や地縁による相互扶助を望むことが難しくなりつつある(厚生労働省,2016a).

こうした背景から国は,2016年厚生労働省に「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部を設置し,各地域の実情に応じた「地域包括ケアシステムの深化」と「地域共生社会の実現」を今後のビジョンとして掲げた(厚生労働省,2016b).地域共生社会とは,住民が役割を持ち,互いに支え合いながら活躍できる地域コミュニティを目指す社会である(地域包括ケア研究会,2017).地域共生社会の実現に向けては,既に高齢者分野を出発点とする地域包括ケアシステムの構築が進められており,地域全体での支え合いを維持・強化するため,互助の必要性が再認識されている(地域包括ケア研究会,2017).中でも,住民による高齢者見守り活動は,その効果が多く報告されている(神崎,2013舛田ら,2011桝田ら,2009)一方で課題も多い.これまで,地域における高齢者見守り活動は民生委員やボランティアを中心に展開されてきた(桝田ら,2010).こうした従来の高齢者見守りの対象は,独居高齢者・高齢者世帯・認知症高齢者であったが,現在その対象は多様化しており(東京都保健福祉局,2023),民生委員やボランティアの更なる負担増加が予測される.また,地域では民生委員の担い手不足に加えて,委員自身の高齢化が大きな課題となっている(全国民生委員児童委員連合会,2022).ボランティアについても,これまでは前期高齢者の女性が主な担い手であったが(西ら,2021),女性高齢者の就業率が年々上昇していることから(総務省,2022),今後の担い手不足が懸念される.したがって,人口減少社会に向け,高齢者見守りをはじめとする地域における支え合いを維持・強化するためには,既存の民生委員やボランティアといった役割に限らない,住民全体の力を引き出す地域づくりが一層必要になると言える.

住民による高齢者見守りを成立させるためには,地域活動を維持・確保し,地域住民同士が顔見知りになることが必要であるとされている(黒宮,2015).これまで,地域活動の主体としては,自治会・町内会が重要な役割を果たしてきた(総務省,2021).内閣府(2007)が行った調査では,自治会・町内会に「参加している」と回答した割合は,男女ともに「子どもあり」の者で高い結果であった.また,多くの子育て世代は子の就学に伴いPTA活動を経験するが,そこで得られる効果認識と内的報酬がPTA活動以外のボランティア活動・地域活動への参加動機につながることが示されている(中山,2016).つまり,学童期の子どもを持つ保護者は地域活動への参加が増加し,見守りの前提となる高齢者との交流が生まれている可能性が考えられる.そこで,本研究では学童期の子どもを持つ保護者に焦点をあて,高齢者見守りの実態を明らかにすることとした.これらが明らかになることで,地域を支える担い手を増やし,住民が互いに支え合うための地域づくりに向けた示唆が得られると考える.

Ⅱ. 研究方法

1. 研究対象

学童期の子どもを持つ保護者における高齢者見守りの実態を明らかにするため,研究組織の機縁により調査協力が得られたA県B町において,児童が保護者と離れて暮らす山村留学を行う1校を除いた3校の保護者を対象とした.家族形態の多様化を踏まえて,回答者は児童と同居する保護者に限り,各世帯1回の回答とした.

B町は,A県の県庁所在地に隣接するベッドタウンである.2020年時点での人口は約2万人,高齢化率は34%(総務省統計局,2022).2040年には人口が2割減少し,高齢化率は43%,75歳以上人口は28%になると見込まれている(国立社会保障・人口問題研究所,2023).農林水産省の農業地域類型からみて研究対象の小学校がある地域は,1つの校区が都市的地域,2つの校区が中間農業地域として特徴づけることができる(農林水産省,2023).

2. 調査方法

量的記述的デザインによる調査研究として,無記名自記式質問紙を用いてデータを収集した.配布はB町教育委員会の協力を得て実施され,児童が各クラスで配布された調査関係書類を持ち帰り,保護者が記入後個別に郵送することで回収を行った.調査期間は2023年7月5日~2023年9月15日であった.

3. 調査項目

1) 個人要因

子どもから見た続柄,年代,子どもの数,世帯構成,居住校区,現在居住している小学校区が出身地であるかどうか,居住歴,居住形態,職業,暮らし向き,「地域包括支援センターでは家族に限らず地域住民からも高齢者に関する相談を受け付けていること」を知っているかについて尋ねた.

2) 地域との関わり

近所づきあい,60~70歳代くらいの人との近所づきあいを通した交流,80歳代かそれより高齢の人との近所づきあいを通した交流,自治会(町内会)への加入,区長や民生委員・児童委員・民生委員協力委員の経験,現在の居住地区での地域活動の参加経験,参加経験のある地域活動の内容,60~70歳代くらいの人との地域活動を通した交流,80歳代かそれより高齢の人との地域活動を通した交流,第1子就学後の地域活動の増加,地域の高齢者から受けた子育て支援について尋ねた.

3) 地域社会への意識

地域への愛着と地域コミットメントについて尋ねた.どちらもソーシャルキャピタル(Social Capital,以下SC)に内包される概念である(大森ら,2014有本・田高,2021).SCとは「人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を高めることのできる,信頼・規範・ネットワークといった社会組織の特徴(Putnam, 1993/2001)」であり,地域住民間の生活支援に必要不可欠とされている(藤原ら,2018).地域への愛着については,「とても感じる」「やや感じる」「あまり感じない」「全く感じない」の4件法で尋ねた.地域コミットメントとは,地域高齢者ケアに関連する地域でのつきあいや,地域への帰属感に関する心理感覚を測定するものであり(河野,2020),高齢者見守り活動に有用な概念である(Kono et al., 2012).地域コミットメントの評価はKono et al.(2012)が開発した「地域コミットメント尺度日本語版(Community Commitment Scale,以下CCS)」を用いた.この尺度は信頼性と妥当性が確認されている(Kono et al., 2012).質問は「つきあい」4項目と「帰属感」4項目で構成されている.回答は,「とてもそう思う」3点,「ややそう思う」2点,「あまり思わない」1点,「まったく思わない」0点の4件法で評価され,0~24点の合計点が高いほど地域コミットメントが高いことを示す.

4) 高齢者見守り

本研究では高齢者見守りを「日常生活における気づきから,高齢者の安否を気にかける,高齢者に直接声をかける,手助けをする,または高齢者の家族,専門機関等に情報提供を行うこと」と定義した.調査では,現在の居住地域において,両親・義両親を除く地域の高齢者に対する意識と経験について尋ねた.

①見守り意識

日常生活における気づきから,高齢者の安否をどの程度気にかけているのかを明らかにするため,東京都健康長寿医療センター研究所の社会参加と地域保健研究チームが作成・監修した高齢者の見守り項目(野中ら,2013大田区,2024)を参考に,「身だしなみが乱れてきた(髪の毛や髭の手入れがされていない,臭くなってきた)」「歩く姿が危なっかしい,具合が悪そう」「家事や買い物が辛い,食欲がない等と本人が言っていた」「暑い日や寒い日,雨の日なのに長時間家の外にいる」の4項目を設定した.また,「高齢者等の見守りガイドブック」(東京都保健福祉局,2023)を参考に「お店などで勘定ができない,同じものを大量に購入している」「姿を見かけなくなった」「家の中から怒鳴り声がする・悲鳴が聞こえる」の3項目を設定した.さらに,東京都健康長寿医療センター研究所の社会参加と地域保健研究チームの高齢者の見守り項目(野中ら,2013大田区,2024)と「高齢者等の見守りガイドブック」(東京都保健福祉局,2023)に共通して見られた項目を参考に,「立ち話等の会話中に何度も同じ話をする」「服装が乱れてきた(服装が汚い,毎日同じ服を着ている,季節にそぐわない服を着ている)」「今まで挨拶をしてきた人が挨拶をしなくなった,表情が硬い」「新聞や郵便がポストにたまっている」「夜に電気がつかない,昼間なのに電気がついたまま」「同じ洗濯物が何日も干してある」の6項目を追加した.計13の高齢者見守り項目について「全く気にならない」「あまり気にならない」「やや気になる」「非常に気になる」の4件法で見守り意識を尋ねた.

②見守り経験

日常生活における気づきから高齢者の安否が気になり,実際に高齢者に声をかけた,手助けをした,または高齢者の家族,専門機関等に情報提供を行った経験の有無を明らかにするため,気がかりな高齢者の有無,気がかりな高齢者を継続して確認した経験の有無,高齢者の様子が気になり高齢者に声かけや手助けをした経験の有無,高齢者の様子が気になり高齢者の家族や民生委員,行政機関,警察等に連絡・相談・通報した経験の有無を尋ねた.

4. 分析方法

全調査項目に対して,記述統計量を算出し内容を概観した.高齢者見守りを見守り意識と見守り経験のそれぞれに分けて目的変数とし,個人要因,地域との関わり,地域社会への意識を説明変数としたときの関連についてχ2検定とFisherの正確確率検定によって検討した.その際,調査した全変数の回答分布を確認し,見守り意識については,「非常に気になる」と「やや気になる」「あまり気にならない」「全く気にならない」の2群に分けた.また,期待度数5未満のセルがある場合は,可能な項目を統合した.統計解析には,IBM SPSS Ver.23を使用し,有意水準は5%とした.

5. 倫理的配慮

本調査は無記名の質問紙調査である.回答は対象者の自由意思であり,回答を拒否した場合であっても不利益を受けないこと,得られたデータは本研究以外で使用しないことを対象者に文書で説明した.調査への同意の確認は,調査票に同意確認欄を設けチェックをもって同意が得られたとみなした.なお,本研究は愛媛県立医療技術大学研究倫理審査委員会の審査および承認を得た(No.23-003).

Ⅲ. 結果

回収数(回収率)は,対象765世帯に対し373通(48.8%)であった.有効回答数(有効回答率)は,同意確認欄にチェックが無かった26通を除く347通(45.4%)であった.子どもから見た続柄が父母以外,あるいは続柄の項目に欠損があるものを除いた344通を分析対象とした.

1. 対象者の基本的属性(表1

子どもから見た続柄は,父28名(8.1%),母316名(91.9%)であった.年代は40~49歳185名(53.8%)が最も多く,次いで39歳以下146名(42.4%)であった.子どもの数は2人155名(45.1%)が最も多かった.世帯構成は2世代267名(77.6%),3世代54名(15.7%)であった.現在居住している小学校区について,自身の出身地97名(28.2%),自身の出身地ではないがパートナーの出身地92名(26.7%),どちらでもない154名(44.8%)であった.居住歴は10年以上20年未満122名(35.5%)が最も多く,次いで5年以上10年未満103名(29.9%)であった.居住形態は一戸建て(持ち家)278名(80.8%)が最も多かった.職業は,パート・アルバイトが148名(43.0%)と最も多く,正社員・常勤職員119名(34.6%)が続いた.暮らし向きは,あまり余裕がない167名(48.5%)が最も多かった.地域包括支援センターについて,家族に限らず地域住民からも高齢者に関する相談を受け付けていることを知っていると回答したのは84名(24.4%)であった.

表1 対象者の基本的属性

N = 344)

n (%)
子どもから見た続柄 28 (8.1)
316 (91.9)
年代 39歳以下 146 (42.4)
40~49歳 185 (53.8)
50~59歳 11 (3.2)
60歳以上 1 (0.3)
無回答 1 (0.3)
子どもの数 1人 56 (16.3)
2人 155 (45.1)
3人 107 (31.1)
4人以上 24 (7.0)
無回答 2 (0.6)
世帯構成 2世代 267 (77.6)
3世代 54 (15.7)
その他 21 (6.1)
無回答 2 (0.6)
居住校区 X校区(都市的地域) 136 (39.5)
Y校区(中間農業地域) 124 (36.0)
Z校区(中間農業地域) 83 (24.1)
無回答 1 (0.3)
現在の小学校区 自身の出身地 97 (28.2)
自身の出身地ではないが,パートナーの出身地 92 (26.7)
どちらでもない 154 (44.8)
無回答 1 (0.3)
居住歴 1年未満 6 (1.7)
1年以上5年未満 44 (12.8)
5年以上10年未満 103 (29.9)
10年以上20年未満 122 (35.5)
20年以上 68 (19.8)
無回答 1 (0.3)
居住形態 一戸建て(持ち家) 278 (80.8)
一戸建て(賃貸) 5 (1.5)
マンション・アパート(賃貸) 52 (15.1)
その他 9 (2.6)
職業 正社員・常勤職員 119 (34.6)
自営業(家族従事者も含む) 27 (7.8)
契約社員・派遣社員 10 (2.9)
パート・アルバイト 148 (43.0)
専業主夫・主婦 34 (9.9)
その他 5 (1.5)
無回答 1 (0.3)
暮らし向き 余裕がある 11 (3.2)
やや余裕がある 115 (33.4)
あまり余裕がない 167 (48.5)
余裕がない 50 (14.5)
無回答 1 (0.3)
地域包括支援センターについて 知っている 84 (24.4)
知らない 260 (75.6)

家族に限らず地域住民からも高齢者に関する相談を受け付けていること

2. 学童期の子どもを持つ保護者における地域との関わりの実態(表2

近所づきあいは,会った時にあいさつをする程度のつきあい188名(54.7%),あまり堅苦しくなく話し合えるようなつきあい116名(33.7%)であった.近所づきあいを通した交流は60~70歳代くらいの人とでは,ときどきある124名(36.0%)が最も多かったが,80歳代かそれより高齢の人とでは全くない130名(37.8%)が最も多かった.自治会は276名(80.2%)が加入していた.地域の役職(区長や民生委員・児童委員,民生委員協力委員)については,現在役職についている20名(5.8%),過去に役職についていた21名(6.1%)であった.現在の居住地区での地域活動の参加経験については,306名(89.0%)があると回答した.参加経験のある地域活動は,自治会(町内会)行事,子ども会・愛護班に関する活動274名(89.5%)が最も多く,高齢者や障がい者,福祉施設等に対する奉仕活動6名(2.0%)が最も少なかった.地域活動を通した交流は60~70歳代くらいの人とでは,ときどきある127名(36.9%)が最も多かったが,80歳代かそれより高齢の人とでは,あまりない120名(34.9%)が最も多かった.第1子の小学校入学後に地域活動への参加が増えたかどうかについては,ややそう思う166名(48.3%)が最も多かった.地域の高齢者から受けた子育て支援のうち,子どもの安全を守り,健全な成長を促す関わりは,ときどきある154名(44.8%)が最も多く,全くない30名(8.7%)が最も少なかった.一方で親の身体的・経済的負担を軽減する関わりは,全くない139名(40.4%)が最も多かった.また,親の心理的負担を軽減し,子育て意欲を高める関わりで最も多かったのは,あまりない141名(41.0%)であった.

表2 学童期の子どもを持つ保護者における地域との関わりの実態

N = 344)

n (%) n (%)
近所づきあい なにかにつけ相談したり,たすけ合える 27 (7.8) 地域活動を通した交流(60~70歳代くらいの人) よくある 38 (11.0)
あまり堅苦しくなく話し合える 116 (33.7) ときどきある 127 (36.9)
会ったときにあいさつをする程度 188 (54.7) あまりない 105 (30.5)
特につきあいはない 11 (3.2) 全くない 35 (10.2)
無回答 2 (0.6) 無回答 1 (0.3)
近所づきあいを通した交流(60~70歳代くらいの人) よくある 46 (13.4) 地域活動を通した交流(80歳代くらいかそれ以上) よくある 13 (3.8)
ときどきある 124 (36.0) ときどきある 80 (23.3)
あまりない 119 (34.6) あまりない 120 (34.9)
全くない 55 (16.0) 全くない 90 (26.2)
近所づきあいを通した交流(80歳代かそれより高齢の人) よくある 16 (4.7) 無回答 3 (0.9)
ときどきある 83 (24.1) 第1子就学後に地域活動が増えた とてもそう思う 102 (29.7)
あまりない 113 (32.8) ややそう思う 166 (48.3)
全くない 130 (37.8) あまりそう思わない 59 (17.2)
無回答 2 (0.6) 全くそう思わない 16 (4.7)
自治会 加入している 276 (80.2) 無回答 1 (0.3)
加入していない 66 (19.2) 子育て支援①
子どもの安全を守り,健全な成長を促す関わり
よくある 86 (25.0)
無回答 2 (0.6) ときどきある 154 (44.8)
地域の役職 現在,役職についている 20 (5.8) あまりない 74 (21.5)
過去に役職についていた 21 (6.1) 全くない 30 (8.7)
役職に就いたことはない 298 (86.6) 子育て支援②
親の身体的・経済的負担を軽減する関わり
よくある 20 (5.8)
無回答 5 (1.5) ときどきある 72 (20.9)
地域活動の参加経験 ある 306 (89.0) あまりない 113 (32.8)
ない 23 (6.7) 全くない 139 (40.4)
無回答 15 (4.4) 子育て支援③
親の心理的負担を軽減し,子育て意欲を高める関わり
よくある 11 (3.2)
参加経験のある地域活動(複数回答) ときどきある 79 (23.0)
自治会(町内会)行事,子ども会・愛護班に関する活動 274 (89.5) あまりない 141 (41.0)
PTAの活動,学校行事の手伝い 243 (79.4) 全くない 113 (32.8)
道路や公園の掃除などの地域の環境をよくする活動 162 (52.9)
乳幼児期の親子を対象にした活動 96 (31.4)
スポーツ,文化,芸術,学術に関係した活動 80 (26.1)
交通安全,防犯,防災など,地域の安全を高める運動 65 (21.2)
その他の地域貢献活動・ボランティア 11 (3.6)
高齢者や障がい者,福祉施設等に対する奉仕活動 6 (2.0)

3. 学童期の子どもを持つ保護者における地域社会への意識の実態

地域への愛着は,とても感じる74名(21.5%),やや感じる196名(57.0%),あまり感じない64名(18.6%),全く感じない10名(2.9%)であった.CCSの合計点は平均12.9 ± 4.4点であった.平均値±0.5SDを基準に3群に分けたところ,上位群96名(28.3%),中位群151名(44.5%),下位群92名(27.1%)であった.

4. 高齢者見守りの実態

1) 学童期の子どもを持つ保護者の見守り意識の実態(表3

13項目のうち,非常に気になるの回答が最も多かったのは,「家の中から怒鳴り声がする・悲鳴が聞こえる」239名(69.5%)であり,「歩く姿が危なっかしい,具合が悪そう」207名(60.2%),「新聞や郵便がポストにたまっている」176名(51.2%)が続いた.一方で,非常に気になるの回答が最も少なかったのは,「立ち話等の会話中に何度も同じ話をする」33名(9.6%)であり,次点が「夜に電気がつかない,昼間なのに電気がついたまま」91名(26.5%)であった.

表3 学童期の子どもを持つ保護者における見守り意識の実態

高齢者見守り項目 N 全く気にならない あまり気にならない やや気になる 非常に気になる
n (%) n (%) n (%) n (%)
立ち話等の会話中に何度も同じ話をする 343 21 (6.1) 104 (30.3) 185 (53.9) 33 (9.6)
服装が乱れてきた(服装が汚い,毎日同じ服を着ている,季節にそぐわない服を着ている) 344 6 (1.7) 33 (9.6) 185 (53.8) 120 (34.9)
身だしなみが乱れてきた(髪の毛や髭の手入れがされていない,臭くなってきた) 344 5 (1.5) 27 (7.8) 170 (49.4) 142 (41.3)
今まで挨拶をしてきた人が挨拶をしなくなった,表情が硬い 344 6 (1.7) 24 (7.0) 181 (52.6) 133 (38.7)
お店などで勘定ができない,同じものを大量に購入している 343 5 (1.5) 40 (11.7) 167 (48.7) 131 (38.2)
新聞や郵便がポストにたまっている 344 8 (2.3) 22 (6.4) 138 (40.1) 176 (51.2)
夜に電気がつかない,昼間なのに電気がついたまま 344 21 (6.1) 86 (25.0) 146 (42.4) 91 (26.5)
同じ洗濯物が何日も干してある 344 17 (4.9) 53 (15.4) 148 (43.0) 126 (36.6)
歩く姿が危なっかしい,具合が悪そう 344 5 (1.5) 16 (4.7) 116 (33.7) 207 (60.2)
姿を見かけなくなった 344 12 (3.5) 37 (10.8) 154 (44.8) 141 (41.0)
家事や買い物が辛い,食欲がない等と本人が言っていた 342 8 (2.3) 24 (7.0) 189 (55.3) 121 (35.4)
暑い日や寒い日,雨の日なのに長時間家の外にいる 344 7 (2.0) 26 (7.6) 136 (39.5) 175 (50.9)
家の中から怒鳴り声がする・悲鳴が聞こえる 344 5 (1.5) 11 (3.2) 89 (25.9) 239 (69.5)

2) 学童期の子どもを持つ保護者の見守り経験の実態(表4

気がかりな高齢者がいると回答したのは39名(11.3%)で,そのうち,気がかりな高齢者の様子を継続して確認した経験がある者は16名(41.0%)であった.また,高齢者の様子が気になり高齢者に声かけや手助けをした経験がある者は59名(17.2%),高齢者の家族や民生委員,行政機関,警察等に連絡・相談・通報をした経験がある者は13名(3.8%)であった.

表4 学童期の子どもを持つ保護者における見守り経験の実態

n (%)
気がかりな高齢者
N = 344)
いる 39 (11.3)
いない 298 (86.6)
無回答 7 (2.0)
継続確認の経験
N = 39)
ある 16 (41.0)
ない 20 (51.3)
無回答 3 (7.7)
声かけ・手助けの経験
N = 344)
ある 59 (17.2)
ない 281 (81.7)
無回答 4 (1.2)
連絡・相談・通報の経験
N = 344)
ある 13 (3.8)
ない 331 (96.2)

5. 高齢者見守り別に見た要因

高齢者見守り別に見た要因を検討した結果,話し合える/相談ができる近所づきあいを行っている者,近所づきあいや地域活動を通して高齢者との交流がある者,地域の高齢者から子育て支援が受けた経験がある者,地域への愛着を感じている者,CCS合計点が上位群の者で,高齢者見守り項目が「非常に気になる」割合が有意に高かった.表5では13の高齢者見守り項目のうち,統計的に有意な項目が多かった4項目について示す.

表5 高齢者見守り項目別に見た各種要因

高齢者見守り項目 挨拶をしなくなった,表情が硬い
N = 344)
勘定ができない,同じものを大量に購入
N = 343)
姿を見かけなくなった
N = 344)
家事や買い物が辛い,食欲がないと本人が言っていた(N = 343)
非常に気になる
n = 133)
その他
n = 211)
非常に気になる
n = 131)
その他
n = 212)
非常に気になる
n = 141)
その他
n = 203)
非常に気になる
n = 121)
その他
n = 221)
n (%) n (%) P n (%) n (%) P n (%) n (%) P n (%) n (%) P
子どもから見た続柄 10 (35.7) 18 (64.3) .738 9 (32.1) 19 (67.9) .492 6 (21.4) 22 (78.6) .028 5 (17.9) 23 (82.1) .043
123 (38.9) 193 (61.1) 122 (38.7) 193 (61.3) 135 (42.7) 181 (57.3) 116 (36.9) 198 (63.1)
世帯構成 3世代同居 20 (37.0) 34 (63.0) .789 20 (37.7) 33 (62.3) .941 22 (40.7) 32 (59.3) .968 14 (25.9) 40 (74.1) .113
その他 113 (39.0) 177 (61.0) 111 (38.3) 179 (61.7) 119 (41.0) 171 (59.0) 107 (37.2) 181 (62.8)
現在の小学校区 自身の出身地 35 (36.1) 62 (63.9) .665 35 (36.1) 62 (63.9) .840 34 (35.1) 63 (64.9) .203 26 (26.8) 71 (73.2) .055
パートナーの出身地 39 (42.4) 53 (57.6) 37 (40.2) 55 (59.8) 44 (47.8) 48 (52.2) 40 (43.5) 52 (56.5)
どちらでもない 59 (38.3) 95 (61.7) 59 (38.6) 94 (61.4) 63 (40.9) 91 (59.1) 55 (36.2) 97 (63.8)
居住歴 10年未満 60 (39.2) 93 (60.8) .881 57 (37.3) 96 (62.7) .720 60 (39.2) 93 (60.8) .523 50 (32.9) 102 (67.1) .370
10年以上 73 (38.4) 117 (61.6) 74 (39.2) 115 (60.8) 81 (42.6) 109 (57.4) 71 (37.6) 118 (62.4)
地域活動 参加あり 118 (38.6) 188 (61.4) .380 120 (39.3) 185 (60.7) .984 128 (41.8) 178 (58.2) .508 109 (35.9) 195 (64.1) .918
参加なし 11 (47.8) 12 (52.2) 9 (39.1) 14 (60.9) 8 (34.8) 15 (65.2) 8 (34.8) 15 (65.2)
近所づきあい 話し合える/相談ができる 92 (35.4) 168 (64.6) .023 64 (45.1) 78 (54.9) .033 68 (47.6) 75 (52.4) .035 56 (39.7) 60.3 (60.3) .151
つきあいなし/挨拶のみ 41 (49.4) 42 (50.6) 67 (33.7) 132 (66.3) 72 (36.2) 127 (63.8) 64 (32.2) 135 (67.8)
近所づきあいを通した交流(60~70歳代) ある 75 (44.1) 95 (55.9) .040 70 (41.2) 100 (58.8) .259 79 (46.5) 91 (53.5) .041 72 (42.6) 97 (57.4) .006
ない 58 (33.3) 116 (66.7) 61 (35.3) 112 (64.7) 62 (35.6) 112 (64.4) 49 (28.3) 124 (71.7)
地域活動を通した交流(60~70歳代) ある 73 (44.2) 92 (55.8) .031 65 (39.4) 100 (60.6) .975 70 (42.4) 95 (57.6) .763 66 (40.2) 98 (59.8) .069
ない 45 (32.1) 95 (67.9) 55 (39.6) 84 (60.4) 57 (40.7) 83 (59.3) 42 (30.2) 97 (69.8)
子育て支援① 子どもの安全を守り,健全な成長を促す関わり ある 100 (41.7) 140 (58.3) .082 97 (40.6) 142 (59.4) .167 105 (43.8) 135 (56.3) .114 94 (39.5) 144 (60.5) .016
ない 33 (31.7) 71 (68.3) 34 (32.7) 70 (67.3) 36 (34.6) 68 (65.4) 27 (26.0) 77 (74.0)
子育て支援② 親の身体的・経済的負担を軽減する関わり ある 36 (39.1) 56 (60.9) .914 43 (46.7) 49 (53.3) .049 39 (42.4) 53 (57.6) .749 40 (44.4) 50 (55.6) .036
ない 97 (38.5) 155 (61.5) 88 (35.1) 163 (64.9) 102 (40.5) 150 (59.5) 81 (32.1) 171 (67.9)
子育て支援③ 親の心理的負担を軽減し,子育て意欲を高める関わり ある 44 (48.9) 46 (51.1) .020 44 (49.4) 45 (50.6) .011 45 (50.0) 45 (50.0) .043 43 (48.9) 45 (51.1) .002
ない 89 (35.0) 165 (65.0) 87 (34.3) 167 (65.7) 96 (37.8) 158 (62.2) 78 (30.7) 176 (69.3)
地域への愛着 感じる 109 (40.4) 161 (59.6) .214 110 (40.9) 159 (59.1) .050 120 (44.4) 150 (55.6) .013 104 (38.8) 164 (61.2) .012
感じない 24 (32.4) 50 (67.6) 21 (28.4) 53 (71.6) 21 (28.4) 53 (71.6) 17 (23.0) 57 (77.0)
CCS合計点 上位群(16~24点) 51 (53.1) 45 (46.9) .003 49 (51.0) 47 (49.0) .011 54 (56.3) 42 (43.8) <.001 47 (50.0) 47 (50.0) .001
中位群(11~15点) 49 (32.5) 102 (67.5) 50 (33.1) 101 (66.9) 58 (38.4) 93 (61.6) 50 (33.1) 101 (66.9)
下位群(0~10点) 31 (33.7) 61 (66.3) 31 (34.1) 60 (65.9) 26 (28.3) 66 (71.7) 23 (25.0) 69 (75.0)

欠損値除く,χ2検定

注)CCS:地域コミットメント尺度(Community Commitment Scale)日本語版

さらに,見守り経験のうち「高齢者の様子が気になり直接高齢者に声をかけた,何か手助けをした経験」は,話し合える/相談できる近所づきあい(p = .002)があること,60~70歳代くらいの人との近所づきあいを通した交流(p < .001)や地域活動を通した交流(p = .027)があること,地域の高齢者から子育て支援が受けた経験があることと関連があった.「高齢者の様子が気になり高齢者の家族や民生委員,行政機関,警察等に連絡・相談・通報をした経験」は地域の高齢者から受けた子育て支援のうち「親の心理的負担を軽減し子育て意欲を高める関わり」があることと関連(p = .007)があった(表6).

表6 高齢者見守り経験別に見た各種要因

気がかりな高齢者(N = 337) 継続的な見守りの経験(N = 36) 声かけ・手助けの経験(N = 340) 連絡・相談・通報の経験(N = 344)
いる(n = 39) いない(n = 298) あり(n = 16) なし(n = 20) あり(n = 59) なし(n = 281) あり(n = 13) なし(n = 331)
n (%) n (%) P n (%) n (%) P n (%) n (%) P n (%) n (%) P
子どもから見た続柄 4 (14.8) 23 (85.2) .583a) 2 (66.7) 1 (33.3) .574a) 7 (11.9) 20 (7.1) .220a) 1 (3.6) 27 (96.4) 1.000a)
35 (11.3) 275 (88.7) 14 (42.4) 19 (57.6) 52 (88.1) 261 (92.9) 12 (3.8) 304 (96.2)
世帯構成 3世代同居 9 (17.0) 44 (83.0) .180a) 3 (33.3) 6 (66.7) .700a) 11 (20.8) 42 (79.2) .477a) 4 (7.4) 50 (92.6) .130a)
その他 30 (10.6) 254 (89.4) 13 (48.1) 14 (51.9) 48 (16.7) 239 (83.3) 9 (3.1) 281 (96.9)
現在の小学校区 自身の出身地 11 (28.2) 86 (29.0) .595a) 3 (30.0) 7 (70.0) c) 23 (24.0) 73 (76.0) .117a) 6 (6.2) 91 (93.8) c)
パートナーの出身地 8 (20.5) 81 (27.3) 2 (28.6) 5 (71.4) 15 (16.5) 76 (83.5) 2 (2.2) 90 (97.8)
それ以外 20 (51.3) 130 (43.8) 11 (57.9) 8 (42.1) 21 (13.8) 131 (86.2) 5 (3.2) 149 (96.8)
居住歴 10年未満 18 (12.2) 129 (87.8) .748a) 9 (56.3) 7 (43.8) .202a) 23 (15.0) 130 (85.0) .296a) 6 (3.9) 147 (96.1) .909a)
10年以上 21 (11.1) 168 (88.9) 7 (35.0) 13 (65.0) 36 (19.4) 150 (80.6) 7 (3.7) 183 (96.3)
地域活動 参加あり 36 (12.0) 265 (88.0) 1.000a) 15 (45.5) 18 (54.5) 1.000a) 53 (17.5) 249 (82.5) .777a) 12 (3.9) 294 (96.1) 1.000a)
参加なし 2 (8.7) 21 (91.3) 1 (50.0) 1 (50.0) 3 (13.0) 20 (87.0) 1 (4.3) 22 (95.7)
近所づきあい 話し合える/相談ができる 17 (12.2) 122 (87.8) .777a) 6 (37.5) 10 (62.5) .453a) 35 (24.6) 107 (75.4) .002a) 8 (5.6) 135 (94.4) .076a)
つきあいなし/挨拶のみ 22 (11.2) 174 (88.8) 10 (50.0) 10 (50.0) 23 (11.7) 173 (88.3) 4 (2.0) 195 (98.0)
近所づきあいを通した交流(60~70歳代) ある 22 (13.1) 146 (86.9) .384a) 9 (42.9) 12 (57.1) .821a) 41 (24.3) 128 (75.7) <.001a) 8 (4.7) 162 (95.3) .373a)
ない 17 (10.1) 152 (89.9) 7 (46.7) 8 (53.3) 18 (10.5) 153 (89.5) 5 (2.9) 169 (97.1)
地域活動を通した交流(60~70歳代) ある 16 (9.8) 147 (90.2) .148a) 5 (35.7) 9 (64.3) .409a) 36 (22.1) 127 (77.9) .027a) 6 (3.6) 159 (96.4) .771a)
ない 21 (15.3) 116 (84.7) 10 (50.0) 10 (50.0) 17 (12.3) 121 (87.7) 6 (4.3) 134 (95.7)
子育て支援① 子どもの安全を守り,健全な成長を促す関わり ある 29 (12.2) 208 (87.8) .558a) 13 (46.4) 15 (53.6) .709b) 49 (20.5) 190 (79.5) .018a) 12 (5.0) 228 (95.0) .119b)
ない 10 (10.0) 90 (90.0) 3 (37.5) 5 (62.5) 10 (9.9) 91 (90.1) 1 (1.0) 103 (99.0)
子育て支援② 親の身体的・経済的負担を軽減する関わり ある 12 (13.0) 80 (87.0) .605a) 4 (36.4) 7 (63.6) .718b) 23 (25.0) 69 (75.0) .023a) 6 (6.5) 86 (93.5) .118b)
ない 27 (11.0) 218 (89.0) 12 (48.0) 13 (52.0) 36 (14.5) 212 (85.5) 7 (2.8) 245 (97.2)
子育て支援③ 親の心理的負担を軽減し,子育て意欲を高める関わり ある 14 (16.1) 73 (83.9) .126a) 7 (53.8) 6 (46.2) .393a) 28 (31.5) 61 (68.5) <.001a) 8 (8.9) 82 (91.1) .007b)
ない 25 (10.0) 225 (90.0) 9 (39.1) 14 (60.9) 31 (12.4) 220 (87.6) 5 (2.0) 249 (98.0)
地域への愛着 感じる 33 (12.4) 233 (87.6) .355a) 12 (40.0) 18 (60.0) .374b) 48 (18.0) 218 (82.0) .523a) 11 (4.1) 259 (95.9) .742b)
感じない 6 (8.5) 65 (91.5) 4 (66.7) 2 (33.3) 11 (14.9) 63 (85.1) 2 (2.7) 72 (97.3)
CCS合計点 上位群(16~24点) 12 (12.9) 81 (87.1) .866a) 5 (45.5) 6 (54.5) c) 22 (23.2) 73 (76.8) .090a) 6 (6.3) 90 (93.8) c)
中位群(11~15点) 16 (10.7) 134 (89.3) 8 (50.0) 8 (50.0) 26 (17.4) 123 (82.6) 2 (1.3) 149 (98.7)
下位群(0~10点) 10 (11.2) 79 (88.8) 3 (37.5) 5 (62.5) 10 (11.0) 81 (89.0) 4 (4.3) 88 (95.7)

欠損値除く,a)χ2検定 b)Fisherの正確確率検定 c)2 × 3で検定が出来なかった項目

注)CCS:地域コミットメント尺度(Community Commitment Scale)日本語版

Ⅳ. 考察

1. 学童期の子どもを持つ保護者における高齢者見守りの実態

本研究では,両親・義両親を除く地域の高齢者に対して,学童期の子どもを持つ保護者が高齢者見守り項目にある様子の変化を気にすることが示された.さらに,回答者の11.3%が気がかりな高齢者を認識しており,そのうち41.0%は継続的に対象者の様子を確認していた.民生委員やボランティアからなる見守りネットワークのメンバーを対象とした調査では,農村部で回答者の64.0%,都市近郊で54.3%に見守り対象者がいた(桝田ら,2010).また,40歳以上の介護認定を受けていない一般住民を対象とした調査では,回答者の47.3%が「家の外観から分かる見守り」を,48.3%が「顔を合わせて分かる見守り」を行っていた(吉田・平野,2019).こうした,対象を学童期の子どもを持つ保護者に限定しない先行研究に比べ,本研究における高齢者見守りの実施率は低い結果であったと言える.しかし,育児や仕事に忙しい,学童期の子どもを持つ保護者であっても,日常生活の中で高齢者見守りを行っていることが示された.

2. 高齢者見守りと学童期の子どもを持つ保護者の地域とのつながり

高齢者見守りと,個人要因のうち居住歴,出身地,世帯構成の間には有意な関連がなかった.このことから,学童期の子どもを持つ保護者においては血縁や地域への定着性に関わらず,高齢者見守りを行っている可能性が示された.

また,高齢者見守りは,挨拶だけでなく気軽に話し合える近所づきあいがあること,日常生活に地域の高齢者と交流があること,地域の高齢者から子育て支援を受けたことと関連があった.一方で,自治会・町内会,PTA活動といった地域活動の参加経験と高齢者見守りの間には有意な関連はなかった.以上から,回答者が参加した地域活動において地域高齢者との交流を深める機会が不足していることが推察された.先行研究(吉田・平野,2019)においても,住民による高齢者見守りと近所づきあいの有無には関連があることが報告されており,活発な近所づきあいや地域活動における世代間交流の機会を増やすことは,高齢者見守りを促進する上で重要な要素になると考えられる.

加えて,本研究において高齢者見守りと地域の高齢者から受けた子育て支援に関連があったことは,新たな知見であると考えられる.村山ら(2018)は成人期に地域の高齢者から得た育児サポートと,高齢期になってから行う若中年者へのサポート提供には関連があることを報告している.つまり,高齢者から子育て支援を受ける機会を増やすことは,現在の子育て世代と高齢者の支え合いを増大させるだけでなく,将来に渡って地域に支援の提供者を増やす可能性を含んでいる.社会の変化と共に,核家族化や人々の移動性・流動性が高まりを見せている中で(厚生労働省,2016b),血縁や地域への定着性に左右されない,世代間交流から発生する学童期の子どもを持つ保護者と高齢者の支え合いが示されたことは,地域共生社会の実現に向けて意義があると言える.

3. 高齢者見守りとソーシャルキャピタル

結果から,学童期の子どもを持つ保護者においては,地域への愛着があり,CCS合計点が高い者で見守り意識が高い傾向であった.大森ら(2014)は地域への愛着の概念分析を行い,地域への愛着とは地域に対する支持的意識であり,個人間の交流や地域活動を通した情動体験によって形成されることを報告している.また,地域への愛着が形成されることで,個人では地元に対する役割意識が増大し,地域においては地域の底力の創出,課題意識の共有,問題解決と振興の促進といった成果が期待される(大森ら,2014).本研究においても,地域への愛着がもたらした役割意識や課題意識が,学童期の子どもを持つ保護者の見守り意識の高まりに寄与した可能性が考えられる.

一方,CCSについては,高齢者の社会活動の関連要因であること(後迫ら,2021),首都圏の乳幼児の母親において社会的ネットワーク,自治会イベントへの参加と関連があること(有本・田高,2021)が報告されている.本研究において,CCS合計点と高齢者見守り項目が「非常に気になる」ことに関連があったことから,世代や地域性を問わず住民の地域コミットメントを向上させる重要性が示された.

4. 研究の限界

本研究は1つの自治体に限定した調査であり,一般化に向けては多様な地域での調査が望まれる.また,調査票の回収率は48.8%であり,回答者が高齢者見守りに関心の高い住民に偏った可能性は否定できない.加えて,高齢者見守りの関連要因については検討ができていない.しかしながら,これまで明らかにされていなかった学童期の子どもを持つ保護者における高齢者見守りの実態が示されたことは,一定の意義を有していると考える.今後さらに多変量解析等で関連要因の検討を行うなど,学童期の子どもを持つ保護者における高齢者見守りについて定量的,定性的に検証していく必要がある.

Ⅴ. 結論

小学校の保護者を対象とした質問紙調査の結果,育児や仕事で忙しい,学童期の子どもを持つ保護者であっても,日常の中で高齢者見守りを行っていることが示された.また,血縁や地域への定着性によらず,近所づきあいや地域活動を通して高齢者と交流がある者,高齢者から子育て支援を受けている者,地域に愛着を感じている者等で高齢者見守りが多く行われる傾向があった.

付記:本論文の一部は,日本地域看護学会第27回学術集会において発表した.本研究は愛媛県立医療技術大学大学院保健医療学研究科に提出した修士論文に加筆・修正を加えたものである.

謝辞:本研究にご協力くださいました皆様に,心より感謝申し上げます.

利益相反:本研究における利益相反は存在しない.

著者資格:河野瑠奈は研究の着想及びデザイン,データ収集,分析,原稿の作成に貢献した.鳥居順子,入野了士,田中美延里は原稿への示唆および研究全体への助言を行った.全ての著者は最終原稿を読み,承諾した.

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