Journal of Japan Academy of Nursing Science
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Original Articles
Development and Validation of a Nursing Practice Self-Efficacy Scale in Welfare Facilities for Older Adults
Hiroshi KuroishiMegumi NagoshiSakae Mikane
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2025 Volume 45 Pages 752-763

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Abstract

目的:介護老人福祉施設の看護職の看護実践自己効力感尺度を作成し,信頼性および妥当性を検討する.

方法:文献検討を基に,福祉施設の看護職の看護実践自己効力感尺度原案(23項目)を作成した.全国の施設から多段サンプリング法にて1,500人の看護師を対象に質問紙調査を実施し,尺度の妥当性・信頼性を検証した.

結果:分析対象は191部であった.探索的因子分析,確認的因子分析の結果,一次因子を,医療的ケア,穏やかな生活の維持,多職種連携,状況変化への対応,二次因子を看護実践自己効力感とする4因子二次因子モデルのデータへの適合度指標は良好であった.構成概念妥当性を一般的自己効力感との関連,クリニカルラダーの2群での比較で確認した.内的一貫性を示すMcDonald ω係数は.976であった.

結論:4因子23項目からなる介護老人福祉施設の看護職の看護実践自己効力感尺度の妥当性,信頼性が確認された.

Translated Abstract

Objective: This study aimed to develop a Nursing Practice Self-Efficacy scale in welfare facilities for older adults and evaluate its reliability and validity.

Methods: Based on a literature review, a preliminary version of the Nursing Practice Self-Efficacy Scale for nurses in welfare facilities (23 items) was developed. A questionnaire survey was conducted, using a multistage sampling method, selecting 1,500 nurses from facilities nationwide to assess the scale’s validity and reliability.

Results: The analysis included 191 responses. Based on the results of exploratory and confirmatory factor analyses, a four-factor second-order factor model was established. The first-order factors were Medical Care, Maintaining a Stable Life, Interprofessional Collaboration, and Adaptation to Situational Changes, while the second-order factor was Nursing Practice Self-Efficacy. The model demonstrated a good fit to the data. Construct validity was confirmed through its association with general self-efficacy and by comparing two groups based on clinical ladder levels. Internal consistency, measured using McDonald’s ω coefficient, was .976.

Conclusions: The Nursing Practice Self-Efficacy Scale in welfare facilities for older adults, consisting of 4 factors and 23 items, demonstrated strong validity and reliability.

Ⅰ. 緒言

内閣府(内閣府,2023)によると,少子高齢化がすすみ,総人口2022年1億2,494万人から2045年1億1,092万人へと減少する一方で,高齢者数は2022年3,623万人から2045年3,945万人に増加すると予測されている.このように高齢化する日本において,社会全体で高齢者を支えるという考えに基づき,2000年から介護保険法が施行されており,介護保険の認定者数も年々増加している.高齢者人口の最大をむかえる2045年には977万人が認定され,利用者数が増加していくことが予測される(経済産業省,2018).

介護保険サービスの一つに介護老人福祉施設(以降,福祉施設)がある.福祉施設では入浴,排泄,食事等の介護,その他日常生活の世話,機能訓練,健康管理および療養上の世話が提供されている(介護保険法第8条第27項).しかし,要介護認定者の増加に伴い,福祉施設の入居申し込みから入居までの待機時間が年単位となることを背景に,一日の大半をベッド上で過ごし,一人暮らしは不可能といわれるような状態にある要介護3以上の者を2015年から原則入居対象とすることになった(堀内ら,2023).その他に介護保険施設には,介護老人保健施設,介護医療院があるが,介護老人保健施設では医学的管理を受けながら在宅復帰を目指し,介護医療院は長期療養のための医療の提供を目的としている.このように,介護老人保健施設や介護医療院は,医師の常駐が施設基準となっており,提供される内容に違いはあるものの,いずれも医療が提供されている.一方で,福祉施設での医療は外部サービスとの連携により提供されている.近年では福祉施設入居者の医療ニーズは高くなり,看取りケアも期待されているため,看護職の医療的ニーズへの対応の必要性,重要性は高まっているといえる(日本看護協会,2021).その中で,福祉施設において看護職は,人員基準が常勤換算で1以上と規定されており,医療処置や外部との連携を担う役割が求められるため,実態は3名前後の勤務となっている(日本看護協会,2021).したがって医療施設に比して看護職が少なく,また看護職より介護職が多く(厚生労働省,2017日本看護協会,2021日本看護協会出版会,2024),外部との連携により医療提供がなされるという環境において,福祉施設の看護職は自らの専門性を発揮するといった看護実践能力が必要とされている.入居者の体調に変化がみられた場合,看護職がイニシアチブをとり,調整的医療管理能を活かし多職種とともにケア方法を検討していく必要がある(大村ら,2015).しかし医師が常駐しない施設での必要な臨床判断力の強化や,看護職が介護職への指導,教育することに対する自信のなさ(堀田ら,2016)などの課題が指摘されている.これまでには福祉施設の全般的な看護実践を評価する尺度(笹谷・長畑,2019)や,看取りに焦点をあてた看護実践を評価する尺度(大村・山下,2016)が開発され,看護実践力の開発に活用されることが期待されている.

このように,必要とされている看護実践力が明らかになる一方で,「思った以上の知識や技術を要する医療的な判断をしなければならないことへの恐怖」,「病院とは異なる立場で他職種連携するとまどいがある」(澄川・長畑,2020)といった心理的不安を抱えていると報告があり,その不安は自信のなさにつながっている可能性がある.

自信については,A・バンデューラの社会的認知理論に自己効力感(Bandura & Wessels, 1997)がある.自己効力感は,行動に対してどの程度うまく行うことができるかという自信の度合いを意味し,その度合いが高いほど行動が行えるとされる.そして,自己効力感は行動の先行要因であり,個人の行動や成果に大きな影響を与えるだけでなく,周囲の環境や社会的な要因からも影響を受ける.したがって,看護職が不安や戸惑いを軽減し看護実践力を発揮するためには,自己効力感の向上が必要であり,そのための支援や教育,職場環境の整備が求められる.福祉施設における看護職は,自律的な判断を求められ,他職種との協働も多くなるため,自己効力感がその実践行動を支える重要な要因となる.しかしながら,実践力が高くとも,自己効力感が低ければ行動に移すことが困難となることがある.そのため,看護職がより自信を持って判断し行動するためには,自己効力感を高めることが重要である.現状では,福祉施設における看護職の看護実践に対する自己効力感の指標や測定する尺度は開発されておらず,その関連要因も検討されていない.

以上を踏まえて,本研究では,福祉施設の看護職の看護実践自己効力感尺度を作成し,信頼性および妥当性を検討することを目的とした.

Ⅱ. 研究方法

1. 用語の操作的定義

1) 看護実践自己効力感

福祉施設の看護職に必要とされる看護実践に対して,どの程度行えるかという自信の度合いを指す.

2) スタッフ

看護職を含め,福祉施設内で働くすべての従業員を指す.

2. 看護実践自己効力感尺度原案の信頼性・妥当性の検討

1) 対象者

多段サンプリング法を用いて,全国のホームページに掲載されている福祉施設を対象とした.まず,1都道府県あたり6~7施設を無作為に抽出し,合計300施設を選定した.次に各施設から看護職5名を無作為に抽出し,計1,500名を調査対象とした.看護職は勤務形態を問わず,職員配置基準が異なる地域密着型施設は除外した.

2) データ収集方法と調査機関

郵送法またはウェブ回答法による無記名自記式質問紙調査を行った.施設代表者に対して,研究目的,調査の概要を明記した依頼文を送付し,研究協力の承認が得られた場合には看護職に依頼文書及び調査票を配布した.回答者は,質問紙またはウェブのいずれかを選択して回答し,質問紙への場合は無記名で返信用封筒にて返送した.調査期間は2024年6月より2024年7月の2か月間とした.

3) 調査内容

調査内容は,対象者の基本属性(保有資格,年齢,医療施設での経験の有無,医療施設での看護経験年数,高齢者施設または在宅系サービスでの看護経験年数,クリニカルラダーの取得)と福祉施設における看護実践自己効力感尺度,構成概念妥当性を検討するために一般自己効力尺度(Ito et al., 2005),反応性を検討するためにジョブクラフティング尺度(Eguchi et al., 2016)とした.

(1) 介護老人福祉施設における看護職の看護実践自己効力感尺度原案

看護実践自己効力感(以降,Nursing practice self-efficacy: NSE)尺度の原案は,福祉施設における看護職の自己効力感に特化した既存の尺度が存在しなかったため,現場で直面する実践内容に基づいて質問項目を構成した.自己効力感は領域特異的に形成される概念であり(Bandura, 2006),実務に即した項目を選ぶことで,対象者の実際の経験や課題を反映し,信頼性の高い尺度を作成することを目指した.また,尺度項目は効力予期を測定することを目的としており,一般的な自己効力感や結果期待とは区別される.まず,医中誌webにて,「介護老人福祉施設or特別養護老人ホーム」and「看護師」のキーワードで検索をした原著論文100件を確認した.さらに,「特別養護老人ホームでの看取りの看護実践能力尺度」(大村・山下,2016),「特別養護老人ホームにおける看護実践能力尺度の開発」(笹谷・長畑,2019),「看護師クリニカルラダー」(日本看護協会,2019)を併せて参照した.これらの文献は,福祉施設での看護職の実践的な課題や,看護実践能力に関連する尺度開発の参考とした.本研究では,2015年度に施行された介護保険制度の改正により,福祉施設への入所基準が要介護3以上に厳格化されたことを踏まえ,この制度変更以降に行われた研究を対象とした.

結果をもとに,福祉施設での看護実践に関する記述を抽出しカテゴリ化を行った.看護実践は48項目に集約でき「日常生活援助」「尊厳の保持」「組織行動」「医学的管理」「社会性維持」の5つのカテゴリに分類できた.

さらに,内容的妥当性の確保のため,専門家による評価は,老年看護学を専門とする研究者と尺度開発経験のある研究者2名にて,各項目の修正と見直しを繰り返し行った.専門職者による評価は,福祉施設に勤務する看護職5名により検討を行った.その結果,「社会性の維持」は「日常生活援助」「尊厳の保持」の二つに吸収され,「日常生活援助」「尊厳の保持」「組織行動」「医学的管理」の4つのカテゴリとなり,看護実践は最終的に23項目に修正された.なお統合された項目は意味や内容が似ているもの,削除された項目は処置方法の変更など医師または看護師の指示のもと准看護師が行う項目,看護職として実践できて当然といえる新卒看護師レベル相当のものだった.

回答と得点化はBanduraの自己効力感理論に基づき,「自信の程度」を測る文末表現を取り入れ,実践に対する自信を評価できるようにした.具体的には,「全く自信がない:1」から「非常に自信がある:6」の6段階のリッカート尺度(小野寺,2002)とした.

(2) 一般自己効力尺度

Schwarzer(1995)の開発した一般自己効力尺度は,一般的な自己効力感を測定する尺度であり,信頼性・妥当性が確認されている.多言語および日本語を対象とした信頼性の確認も行われており(Schwarzer et al., 1997Schwarzer, 1999),Ito et al.(2005)によって作成された日本語版一般自己効力質問票を使用した.回答と得点化は「全く当てはまらない:1」から「全くその通り:4」の4 段階のリッカート尺度で,10項目からなり,得点が高いほど自己効力感が高いことを意味する.

(3) ジョブクラフティング尺度

ジョブクラフティングとは,仕事上の要求と資源を,個人の能力とニーズに合わせて調整しようとする行動である(Wrzesniewski & Dutton, 2001).この概念は,Demeroutiらによって提唱されたJob Demands-Resources(JDR)モデルに基づいて発展してきた.JDRモデルでは,仕事における心理社会的要因を「仕事の要求」と「仕事の資源」の二つに大別し,それらが仕事のストレスやモチベーションに影響を及ぼすとされている(Demerouti et al., 2001).ジョブクラフティングは,個人の心理的資源である自己効力感と有意な正の関連を持つことが報告されており(Kanten, 2014Tims & Bakker, 2010),自己効力感が高い個人ほど,職務への適応や柔軟な調整行動を積極的に行うことが期待される.本研究ではTims et al.(2012)が開発したジョブクラフティング尺度をもとに,Eguchi et al.(2016)により日本語版としてその信頼性・妥当性が検討された尺度を用いた.回答と得点化は,「まったくない:1」から「とてもよくある:5」の5段階のリッカート尺度で,得点が大きいほどジョブクラフティングの使用頻度が高いことを意味する.

3. 統計解析

本尺度の尺度特性を評価するためにCOSMINチェックリスト(Mokkink et al., 2016加藤,2020佐藤・土屋,2022)を参考に,構造的妥当性,内的整合性,構成概念妥当性,反応性について検討した.

1) 構造的妥当性の検討

(1) 項目特性と項目反応理論

項目特性は,まず各変数の基本統計量を算出し,有効回答を確認した後,天井効果・床効果の確認,項目間相関,I-T相関分析を行った.天井効果(mean + standard deviation以下,SD > 6)・床効果(mean – SD < 1)を認めた場合は,採択項目に含めないこととした.次に,項目反応理論(IRT)により,各項目の識別力αと困難度βを算出した.識別力は0.2~2.0,困難度は絶対値4.0以内であることを基準(友利ら,2019)とした.

(2) 探索的因子分析

探索的因子分析は,最尤法,プロマックス回転を行い,因子負荷量,共通性を総合的に判断して項目を検討した.本研究では,0.4以上の因子負荷量を示す項目を基準とした.

(3) 確認的因子分析

探索的因子分析の結果をもとに,最尤法で確認的因子分析を行った.因子モデルのデータへの適合性は,適合度指標CFI,RMSEA,TLI,SRMRにより判断した.CFIは0.9以上およびRMSEAは0.1以下,TLIは1.00に近いほど良好であり,0.95以上でモデルはデータに適合していることを意味する.また,SRMRはモデルが実測値とどの程度一致しているかを測定し,0.08以下で非常に良好な値とした(Hu & Bentler, 1999).

2) 内的整合性の検討

尺度の内的整合性について,ω係数を算出した(清水・荘島,2017).ω係数は複数因子が関与する尺度において信頼性をより正確に評価できる指標であり,因子負荷量や測定誤差を考慮する特徴がある(岡田,2011髙本・服部,2015).ω係数が0.7以上であれば,高い内的整合性を持っているとした(友利ら,2019).

3) 構成概念妥当性の検討

(1) 併存的妥当性

併存的妥当性を確認するためにNSEと一般自己効力尺度得点とのPearson’s相関係数を算出した.

(2) 既知集団妥当性

既知集団妥当性を検討するために,クリニカルラダーレベル(I・II群,III以上の群)と資格(看護師・准看護師)のそれぞれについて,尺度得点の中央値の差をMann-WhitneyのU検定で検討した.クリニカルラダーは,看護職の臨床実践能力を段階的に評価する枠組みとして活用されており(Benner, 1984),この実践能力は自己効力感と関連が報告されている(Stajkovic & Luthans, 1998).また,在宅系施設での経験年数との相関を検討した.

4) 反応性の検討

反応性の検討は,構成概念アプローチ(他のアウトカム尺度との比較)として,ジョブクラフティング尺度とのPearson’s相関係数を確認した.

上記解析においては,有意水準を5%未満とし,項目間の相関は<0.3を弱い,0.3~0.5を中程度,>0.5を強いとした(Cohen, 1988土屋,2015).統計解析はフリーソフトR(4.4.1)を使用した.

4. 倫理的配慮

本研究は,岡山県立大学倫理委員会の承認を得た(受付番号24-17).調査施設代表者および調査対象者には,文書にて研究目的,方法,調査期間の説明とともに,研究協力は自由意思であり,研究協力者の匿名性およびプライバシーの保護,匿名のため回答後は中断ができないこと,調査により得られたデータは研究目的以外には使用しないことを説明した.回収された調査票及びデータを保存したUSBメモリは研究代表者が施錠できる研究室へ保管し,研究期間終了後破棄することとした.

Ⅲ. 結果

1. 基本属性

配布した調査票1,500部のうち,199部が回収(回収率13.3%)でき,そのうち欠損のない191部(有効回答率95.9%)を分析対象とした.欠損とした8部は,基本属性または全ての項目に回答がない調査票であった.191部のうち,看護師151名(79.1%),准看護師40名(20.9%)であった.年齢の中央値(25~75%値)は53(45~61)歳であった(表1).

表1 基本統計

n = 191)

年齢四分位(歳) 最小値 21
25% 45
中央値 53
75% 61
最大値 72
IQR 16
人数 %
資格 看護師 151 79.1
准看護師 40 20.9
医療施設での経験 あり 181 94.8
なし 9 4.7
無回答 1 0.5
クリニカルラダー 取得なし 144 75.4
I 6 3.1
II 2 1.0
III 19 10.0
IV 7 3.7
V 9 4.7
無回答 4 2.1
人数 平均年数±標準偏差
医療施設経験年数 あり 174 16.6 ± 11.8(0.2~50)
年数無回答 8
在宅系サービス経験年数 あり 158 11.6 ± 10.4(0.1~45.3)
なし 21
無回答 12

2. 構造的妥当性の検討

1) 項目特性と項目反応理論

NSEの回答分布を表2に示した.

表2 NSEの回答分布(%)

項目番号 まったく
自信がない
自信がない あまり
自信がない
ある程度
自信がある
自信がある 非常に
自信がある
1 1 9 43 109 21 8
(0.5) (4.7) (22.5) (57.1) (11.0) (4.2)
2 3 7 48 86 38 9
(1.6) (3.7) (25.1) (45.0) (19.9) (4.7)
3 5 7 40 96 38 5
(2.6) (3.7) (20.9) (50.3) (19.9) (2.6)
4 2 8 60 95 20 6
(1.0) (4.2) (31.4) (49.7) (10.5) (3.1)
5 2 1 23 106 46 13
(1.0) (0.5) (12.0) (55.5) (24.1) (6.8)
6 2 6 45 97 33 8
(1.0) (3.1) (23.6) (50.8) (17.3) (4.2)
7 1 3 36 98 41 12
(0.5) (1.6) (18.8) (51.3) (21.5) (6.3)
8 2 6 72 75 30 6
(1.0) (3.1) (37.7) (39.3) (15.7) (3.1)
9 0 5 23 108 45 10
(0.0) (2.6) (12.0) (56.5) (23.6) (5.2)
10 1 13 63 83 27 4
(0.5) (6.8) (33.0) (43.5) (14.1) (2.1)
11 3 13 61 85 21 8
(1.6) (6.8) (31.9) (44.5) (11.0) (4.2)
12 1 15 62 81 26 6
(0.5) (7.8) (32.4) (42.4) (13.6) (3.1)
13 2 7 37 91 41 13
(1.0) (3.7) (19.4) (47.6) (21.5) (6.8)
14 1 3 30 98 47 12
(0.5) (1.6) (15.7) (51.3) (24.6) (6.3)
15 1 4 20 103 45 18
(0.5) (2.1) (10.5) (53.9) (23.6) (9.4)
16 0 8 53 88 32 10
(0.0) (4.2) (22.7) (46.1) (16.8) (5.2)
17 1 8 30 90 49 13
(0.5) (4.2) (15.7) (47.1) (25.7) (6.8)
18 0 4 49 95 33 10
(0.0) (2.1) (25.7) (49.7) (17.3) (5.2)
19 0 5 55 95 29 7
(0.0) (2.6) (28.8) (49.7) (15.2) (3.7)
20 1 13 71 81 16 9
(0.5) (6.8) (37.2) (42.4) (8.4) (4.7)
21 1 7 40 114 21 8
(0.5) (3.7) (20.9) (59.7) (11.0) (4.2)
22 2 8 55 97 22 7
(1.0) (4.2) (28.8) (50.8) (11.5) (3.7)
23 1 4 37 103 32 14
(0.5) (2.1) (19.4) (53.9) (16.8) (7.3)

得点化は,「非常に自信がある」=6点~「まったく自信がない」=1点とした.

項目分析の結果,質問項目の天井効果・床効果は認められなかった.各項目間のPearson’s相関係数は,0.73~0.84であった.項目反応理論(IRT)による項目特性の検討を行った結果を表3に示す.項目9,16,18,19において困難度β1が算出されなかったが,β2~5は他の項目と近い値で偏りが少なく,重要な項目ととらえ,23項目すべてを採用した.

表3 尺度原案項目ごとの記述統計量と項目反応理論

記述統計量 項目反応理論
項目 平均 標準偏差 項目得点相関 α β1 β2 β3 β4 β5
1 3.85 0.85 0.76 1.52 –2.56 –1.62 –0.58 1.03 1.73
2 3.92 0.96 0.78 1.56 –2.15 –1.62 –0.50 0.69 1.68
3 3.88 0.95 0.76 1.51 –1.94 –1.49 –0.59 0.76 1.94
4 3.74 0.86 0.80 1.59 –2.31 –1.62 –0.34 1.10 1.86
5 4.21 0.84 0.79 1.59 –2.31 –2.15 –1.08 0.50 1.49
6 3.92 0.89 0.78 1.56 –2.31 –1.73 –0.58 0.79 1.73
7 4.10 0.87 0.84 1.68 –2.56 –2.04 –0.79 0.59 1.53
8 3.74 0.91 0.80 1.60 –2.31 –1.73 –0.20 0.89 1.86
9 4.17 0.80 0.79 1.59 –1.94 –1.05 0.56 1.62
10 3.70 0.89 0.76 1.52 –2.56 –1.45 –0.24 0.99 2.04
11 3.69 0.96 0.77 1.54 –2.15 –1.38 –0.24 1.03 1.73
12 3.70 0.93 0.82 1.64 –2.56 –1.38 –0.22 0.97 1.86
13 4.05 0.96 0.82 1.64 –2.31 –1.68 –0.69 0.58 1.49
14 4.17 0.86 0.83 1.67 –2.56 –2.04 –0.93 0.50 1.53
15 4.26 0.88 0.82 1.65 –2.56 –1.94 –1.13 0.45 1.32
16 3.91 0.90 0.76 1.53 –1.73 –0.46 0.78 1.62
17 4.13 0.94 0.74 1.48 –2.56 –1.68 –0.81 0.46 1.49
18 3.97 0.85 0.83 1.67 –2.04 –0.58 0.76 1.62
19 3.88 0.83 0.75 1.50 –1.94 –0.47 0.89 1.79
20 3.65 0.92 0.76 1.53 –2.56 –1.45 –0.13 1.13 1.68
21 3.89 0.82 0.73 1.47 –2.56 –1.73 –0.66 1.03 1.73
22 3.78 0.88 0.74 1.48 –2.31 –1.62 –0.40 1.03 1.79
23 4.06 0.89 0.76 1.53 –2.56 –1.94 –0.77 0.70 1.45

α:識別力,β:困難度

2) 探索的因子分析

まず因子数をスクリープロット,カイザー基準,MAP,平行分析,対角SMC平行分析で検討した(表4).スクリープロットでは1因子,カイザー基準で固有値1以上とすると2因子,MAPでは2因子,平行分析では1因子,対角SMC平行分析では1因子と予測された.このように,1~2因子の構造が示唆されたが,これでは実際のデータに基づく解釈が不十分であることが明らかになった.元々,先行研究に基づき,看護実践を反映させた4つのカテゴリを仮定していたが,因子分析の結果においては1~2因子の構成ではデータの解釈が難しく,実際の自己効力感の側面を十分に反映できないと考えた.そのため,解釈可能性を重視し,4因子構造を採択した.4因子を仮定し探索的因子分析を行った結果を表5に示す.因子負荷量をみると項目11と18は0.4以下であった.しかしながら福祉施設の看護実践に重要な項目として研究者間で話し合い,削除せず,項目11は第3因子,項目18は第4因子として採択した.因子間の相関係数は,0.62~0.79であった.

表4 因子数の検討

固有値 MAP 平行分析 SMC平行
Factor1 14.118 0.021 1.746 0.868
Factor2 1.315 0.017 1.606 0.726
Factor3 0.877 0.017 1.487 0.624
Factor4 0.640 0.019 1.415 0.539
Factor5 0.625 0.021 1.346 0.490
Factor6 0.559 0.024 1.273 0.419
表5 探索的因子分析の結果

F1 F2 F3 F4
NSE7 スタッフからの,ケアや業務に関する相談にのる 0.45 –0.05 0.35 0.17
NSE9 看護職の仕事の範囲を理解して,スタッフと協働する 0.49 0.09 0.39 –0.13
NSE13 入居者の状態悪化を判断し,医師や病院と連携する(連絡や受診相談など) 0.58 0.18 –0.08 0.22
NSE14 入居者の状態の変化に合わせて,処置方法(創傷処置,排泄コントロールなど)を修正し実施する 0.84 –0.06 0.16 –0.04
NSE15 医師からの包括指示に従って,投薬の開始・中止などの判断をして実施する 0.92 0.06 –0.09 0
NSE16 感染予防対策が施設内で適切に行われるよう,主体的に実践する 0.59 0.04 –0.01 0.19
NSE17 スタッフに医療的ケアの指導を行う(口腔・鼻腔吸引,経鼻経管栄養,胃ろうなど) 0.63 0.02 –0.03 0.16
NSE12 全身状態から活動と休息のバランスを判断し,入居者に適した内容・方法(体位,入浴,レクリエーションなど)でスタッフが援助できるよう意識的に働きかける 0.18 0.46 0.24 0.03
NSE19 意思を理解することが困難な入居者であっても(認知機能や言語機能の低下などの理由で),理解するための工夫をし,かかわり続ける 0.24 0.73 –0.06 –0.07
NSE20 専門職者としての倫理的判断に基づき,入居者が自己決定できるように支援する –0.04 0.69 0.27 –0.08
NSE21 本人や家族(代理人)に寄り添い,思いが尊重された生活が送れるように,スタッフと協働し体制を整える 0.01 0.80 –0.01 0.02
NSE22 入居者の生活歴から,本人らしさを大切にした生活を送れるよう工夫する –0.16 1.02 –0.12 0.11
NSE23 最期を迎える入居者をケアするスタッフの気持ち(つらい,悲しい,難しい,負担だ,など)に寄り添う 0.21 0.54 0.2 –0.11
NSE5 他のスタッフも知っていた方が良い情報を看護師が持っている時には,他のスタッフに意識的に働きかける –0.01 0.05 0.65 0.18
NSE6 看護師が持っていた方が良い情報を,他のスタッフが持っていないか,スタッフに意識的に働きかける –0.09 0 0.85 0.08
NSE8 ケアの質向上のために,ケアや業務に関する組織的な改善を提案する 0.04 –0.04 0.75 0.12
NSE10 各フロアあるいは施設全体の,日々の業務負担(質的・量的)を見極め,スタッフ間で調整できるよう提案する 0.09 0.16 0.57 0
NSE11 自施設で提供可能な医療の範囲について,スタッフや施設外の人に説明をする 0.08 0.16 0.32 0.29
NSE1 医療だけでなく生活の場も意識した意見をスタッフに伝える –0.07 0.14 0.31 0.47
NSE2 身体状態の悪化や緊急対応が必要な時,中心的役割を遂行する(一次救命処置や付随する指示など) 0.02 0.01 –0.02 0.89
NSE3 入居者の健康状態や医療的ケアに関するオンコールがあった時,他のスタッフが実施可能な対応策を提案する 0.15 –0.17 0.15 0.71
NSE4 入居者の嚥下機能に適した経口摂取について,スタッフに提案する 0.13 0.07 0.26 0.41
NSE18 入居者の医療に関する情報や病状を,本人・家族(代理人)やスタッフにわかりやすく説明する 0.39 0.25 –0.08 0.36
F1 F2 F3 F4
F1 1 0.78 0.79 0.77
F2 1 0.76 0.62
F3 1 0.76
F4 1

抽出方法:最尤法,回転法:プロマックス回転

3) 確認的因子分析

探索的因子分析の結果より,4因子を仮定し確認的因子分析を行った.4因子斜交モデルでの適合度指標は,RMSEA = 0.071,CFI = 0.943,TLI = 0.936,SRMR = 0.042,4因子二次因子モデルではRMSEA = 0.072,CFI = 0.941,TLI = 0.933,SRMR = 0.044であり,両モデルとも統計学的水準を満たしていた.二次因子から一次因子への因子負荷量は0.874~0.959と高い値を示したため,高次因子モデルを採択した.一次因子から観測変数への因子負荷量は0.640~0.794であった(図1).尺度全体の得点および下位因子ごとの得点を算出した.尺度全体の平均得点±SD(範囲)は90.5 ± 16.0(30~138)であり.下位因子の平均得点は以下のとおりであった.「第1因子」は28.8 ± 5.2(11~42),「第2因子」は23.0 ± 4.5(7~36),「第3因子」は19.3 ± 3.8(5~30),「第4因子」は19.4 ± 3.8(7~30)であった.

図1  確認的因子分析の結果

3. 内的整合性の検討

4因子二次因子モデルで構成されるNSEのω係数を算出した.尺度全体のω係数は0.976であった.下位因子ごとのω係数は「第1因子」0.950,「第2因子」0.925,「第3因子」0.948,「第4因子」0.925であった.

4. 構成概念妥当性の検討

1) 併存的妥当性

一般自己効力尺度とNSE尺度の合計得点間の相関係数はr = 0.677(p < 0.01)であった.

2) 既知集団妥当性

クリニカルラダーレベル「I・II」群と,「III以上」群に分け,NSE尺度得点の差の検定を行った.Mann-WhitneyのU検定の結果,得点中央値(四分位範囲Q1~Q3)は「I・II」群(n = 8)が84.5点(81~91),「III以上」群(n = 35)は100.0点(73~136)であった(p = 0.011).資格での有意差(p = 0.403),在宅系施設での経験年数との有意な相関(p = 0.093)は見られなかった.

5. 反応性

ジョブクラフティング尺度とNSE尺度との合計得点間の相関係数はr = 0.345(p < 0.01)であった.

Ⅳ. 考察

本研究の目的は,介護老人福祉施設における看護職の看護実践自己効力感尺度を作成し,信頼性および妥当性を検討することであった.その結果,4因子23項目で構成される看護実践自己効力感尺度が作成され,妥当性と信頼性の検討がされた.

1. 対象者の属性

本研究の対象者は,福祉施設での勤続年数が全国平均よりも長く(本研究11.6年,全国平均7年),また看護師の割合が高かった(本研究:看護師79.1%,全国調査:64.3%)(日本看護協会,2021).こうした点は,実践経験に基づく回答としての信頼性を担保する一方,一般化に一定の制限がある可能性がある.

2. 尺度原案と因子構造の対応関係

本研究では,尺度項目の作成にあたり,実践内容に基づいて「日常生活援助」「尊厳の保持」「組織行動」「医学的管理」の4つのカテゴリに分類した.ただし,これらは実践上の役割や行動の側面を整理したものであり,因子分析を前提とした構成ではなかった.

因子分析の結果,抽出された下位因子は【医療的ケア】【穏やかな生活の維持】【多職種連携】【状況変化への対応】の4因子であり,実践上の分類と概ね対応していた.具体的には,「医学的管理」は【医療的ケア】,「組織行動」は【多職種連携】,「日常生活援助」は【穏やかな生活の維持】に対応した.一方で,「尊厳の保持」に該当する項目群は【状況変化への対応】という因子に再構成され,入居者の変化への適切な対応という実践的視点が中心となった.

このように,当初の分類と因子分析の構造には一定の整合性が認められたものの,測定される自己効力感の構造は,実践項目の分類を単純に反映したものではなく,認知的・心理的な枠組みに基づいて再編成されることが示唆された.今後は,実践構造と自己効力感の因子構造との関係をさらに精緻に検討する必要がある.

3. 尺度の構成要素

第一因子は【医療的ケア】と命名した.この因子は,入所者やスタッフへの医療支援に関する自己効力感である.福祉施設における医療行為は,看護職にとって重要な役割を担っており,高い専門性が求められる(星ら,2022).特に医療的判断は看護職が行う必要があり,他職種のスタッフが知識を有していても,判断から実施まで看護職が行うことが求められる(小林ら,2018).一方で,看護職と介護職の役割境界が曖昧で,医療的ケアには看護職が主体となって医療的視点を持つことが重要である(溝江・渕田,2020).

第二因子は【穏やかな生活の維持】と命名した.この因子は入居者・スタッフの尊厳を守るために,看護職が倫理的に行動できるという自己効力感に関連する.特に,入居者に対しては,加齢や疾患に伴う心身の変化を踏まえ,入所者の意志を尊重し,生活の質を維持することで,尊厳の保持につながるとされている(日本看護倫理学会,2015).

第三因子は【多職種連携】と命名した.この因子は,スタッフ間の協働に対する自己効力感である.福祉施設では,看護職が他のスタッフと連携し,関係構築することがケアの質の向上に不可欠である(吉田,2021).また,看護職は外部の医療機関と連携して支援体制を構築する役割も担っており(鎌田・片山,2020),多職種が互いの役割や専門性を理解し合うことが求められる(溝江・渕田,2020).このような連携が円滑な調整を可能にし,入所者の生活を多面的に支える基盤となる.

第四因子は【状況変化への対応】と命名した.この因子は,入居者の生活を保つうえで,看護職が変化を的確に捉え,判断し,対応する力に対する自己効力感である.ここでの状況変化とは,バイタルサインの変動,嚥下機能の低下,急な体調不良など身体的・心理的状態や生活の質に関わる変化を指す.こうした場面では,看護職は医師の常駐しない中で,過去の指示やガイドラインを踏まえて迅速に判断・対応することが求められる(三上ら,2018).そのため,看護職は日頃から情報に注意を払い,適切に判断できるよう備える必要がある.さらに,入居者の状態や環境に応じて,急変や生活上のリスク(嚥下や医療)に柔軟に対応するためには,心理的・技術的な準備が不可欠である(緒形ら,2022田中ら,2020).これにより自己効力感が高まり,変化に即した適切なケアの実践が可能となる.

4. 看護実践自己効力感尺度の妥当性と信頼性

1) 構造的妥当性

23項目の尺度原案について,項目特性と項目反応理論の検討を行った結果,すべての項目に識別力,困難度はともに良好な値を示したため,本尺度の各項目は偏りなく,看護実践に対する自己効力感を測定できたといえる.

探索的因子分析の結果,基準を満たさない項目については研究者間で検討を行い,最終的に採用した.23項目4因子で構成される2次因子モデルを仮定し,データへの適合性を確認的因子分析で確認したところ,適合指標は統計学的許容水準を満たし,モデルはデータに適合した.この結果は,本尺度の構造的側面から見た妥当性が検証されたことを意味する.

2) 内的整合性

内的整合性をみるω係数は.925~.950,尺度全体の合計得点については.976であり,基準値を満たし,高い信頼性が確保できたといえる.本研究の尺度は複数の因子からなるが,各因子においてもω係数は基準値を満たし,内的整合性も確認された.

3) 構成概念妥当性

併存的妥当性は,本尺度の合計得点と一般自己効力尺度の合計得点の間に有意な強程度の正の相関(r = .677)を確認できた.

既知集団妥当性では,クリニカルラダー取得が「I・II」群と「III以上」群の本尺度平均値が,「III以上」の群において高い値を示した.これは,クリニカルラダーの取得状況に基づく実務能力の違いを反映した結果であり,統計的に有意な差(p < 0.05)が確認された.

看護師・准看護師間の得点差と,在宅系施設での経験年数との関連はいずれも有意ではなかった.これらの結果は,単に資格の違いや経験年数が,看護実践に対する自己効力感を必ずしも反映するとは限らないことを示唆している.

4) 反応性

構成概念アプローチは,本尺度とジョブクラフティング尺度との合計得点の比較により,中程度の正の相関(r = 0.345)を認めた.これは,ジョブクラフティングが,本尺度と一定の関連性を持っていることを示す(Bakkerら,2013).

5. 尺度の活用可能性

本尺度は,福祉施設における看護職の看護実践に対する自己効力感を評価する指標であることを確認できた.自己効力感が低い項目については,事前に教育や研修が必要性を検討し,対策することができる.福祉施設での経験年数の短い看護職においても実践前の自己評価が可能となり,事前に知識や実践スキルの習得に取り組むといったトレーニングにつなげることも考えらえる.

本研究の限界として,本調査の対象施設は通常規模の福祉施設であり,地域密着型といった小規模の福祉施設では調査を行っていない.福祉施設の規模は10数床から100床を超える施設まで様々であり,看護職の人員配置や機能には違いがある.したがって今後は地域密着型施設のような小規模の施設においても活用可能か検討する必要がある.

本調査の対象者は准看護師を含む看護職としたが,福祉施設では准看護師の就業も多いことが背景にある.一方で,准看護師は医師または看護師の指示のもと医療行為を行う規定があり,資格に応じた役割の違いが生じる可能性がある.また,本研究の対象者は福祉施設での経験年数が長く,看護師の割合が多かったことに加え,回収率も13.3%にとどまっていた.加えて,福祉施設ではクリニカルラダー取得が必須ではなく,本研究においても看護師・准看護師に関わらず取得していない者が一定数含まれていたため,結果の解釈には留意が必要である.したがって今後は資格の違いや施設別での経験年数の幅を考慮し,より多様な看護職を対象に一般化可能性を検討する必要がある.

今後,どのような介入が自己効力を高めるか,自己効力感を高める4要素(達成体験,代理的体験,言語的説得,生理的情動的喚起)をもとに,影響要因を明らかにすることで,実践力の向上が図れるものと考える.また,尺度項目は当初4つのカテゴリに基づいて作成し,因子分析の結果も4因子構成となった.概ね一致していたものの,「尊厳の保持」に該当する項目は他の要素に分かれて含まれるなど,必ずしも完全に対応していたわけではなかった.元のカテゴリは先行研究に基づいた実践的分類であり,因子分析の統計的結果と一致しないことは自然なことであると考える.今後は,この一致・不一致の背景や,自己効力感の構造のより精緻な解釈を進める必要がある.なお,本研究では既知集団妥当性としてクリニカルラダーとの関連を検討したが,取得者が限定であったことから結果の解釈には注意が必要である.今後は,対象者数を拡大し,取得状況を踏まえたさらなる分析に加え,経験年数や資格などとの関連性も含めた検討を進めることで,より多面的な妥当性の検証が求められる.本研究は,尺度開発の初期段階として,こうした指標との関係を探索的に示した点に意義があると考える.

さらに,本尺度は「自己効力感」を評価するものであり,今後の研究で実際の看護実践力との関連性を検証することが重要である.具体的には,尺度が実際の看護ケアの質やスタッフのパフォーマンスにどのように関連するかを明らかにすることが必要である.これにより,自己効力感が看護実践においてどのような影響を与えるかをより深く理解でき,今後の研究で実務との関連を明確にすることができると考える.

Ⅴ. 結論

開発した介護老人福祉施設における看護職の看護実践自己効力感尺度は,【医療的ケア】,【穏やかな生活の維持】,【多職種協働】,【状況変化への対応】の4因子23項目からなり,構造的妥当性,構成概念妥当性および内的整合性の検討による信頼性が確認された.

付記:本研究は,岡山県立大学大学院保健福祉学研究科に提出した修士論文に加筆・修正を加えたものである.

謝辞:本研究を行うにあたり,調査のご依頼にご快諾いただいた介護老人福祉施設の管理者,看護職の皆さまに厚くお礼申し上げます.なお本研究は岡山県立大学令和6年度特別研究助成費(独創的研究)を受けて遂行した.

著者資格:黒石洋史は研究の着想,デザイン,データ収集,統計分析とその解釈,論文執筆の全てのプロセスを実施;名越恵美は研究のデザイン,論文原稿に助言,加筆修正を実施;實金栄は研究の着想,デザイン,統計分析とその解釈,論文原稿に助言,加筆修正を実施.すべての著者は最終原稿を読み,承認した.

利益相反:本研究における利益相反は存在しない.

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