2025 Volume 45 Pages 784-797
目的:前立腺全摘除術を受ける患者と共に暮らすパートナーの体験に焦点を当てて国内外の研究を概観すると共に研究知見を統合して明示する.
方法:統合的文献レビューの手法を用い,26文献を分析した.
結果:大部分が海外文献で,パートナーと患者の両者を研究対象とした文献が多くを占めた.パートナーの体験は「性的関係の変化に向き合う」「患者の尿漏れが自分の生活を脅かすことに不満をもつ」「がんの診断や患者の心身の健康状態に自身の心身が影響を受ける」「サポート役を担い二人で難局を乗り越える」「病気や術後合併症のことは患者に任せる」「ソーシャルサポート・専門的サポートを欲する」に統合された.
結論:性交がなくとも愛情確認を通してパートナーと患者とが豊かな関係性を構築でき,尿漏れが生活に及ぼす影響を一時的なものと捉えて対処できるための支援や,パートナーのニードや心情に配慮した支援が必要と示唆された.
Purpose: This study aimed to provide an overview of relevant studies within and outside Japan focusing on the experiences of partners living with patients undergoing radical prostatectomy while integrating and clarifying research findings.
Methods: Using the integrative literature review method, 26 manuscripts were analyzed.
Results: Most studies were from outside Japan. Many of the reports focused on both partners and patients. The identified partner experiences included “Navigating changes in sexual relationships,” “feeling dissatisfied that the patient’s urine leakage will threaten one’s own lifestyle,” “one’s physical and mental health being impacted by the cancer diagnosis and the patient’s state of physical and mental health,” “taking on a supportive role and overcoming this difficulty together,” “leaving the illness and postoperative complications up to the patient,” and “wanting social support and specialized support.”
Conclusions: Clearly, a rich relationship between the partner and patient should be encouraged whereby loving feelings can be confirmed without sexual intercourse, and helping them view the effects of urine leakage on lifestyle to be temporary. Moreover, partners’ needs and feelings should be considered.
前立腺全摘除術後の患者は,尿漏れや勃起不全による屈辱感(掛屋・掛橋,2008;岡田ら,2014),それによる男性としてのアイデンティティの危機(Gannon et al., 2010)を感じながら,新たな生活様式の獲得や生き方の模索など,様々な困難に立ち向かっている.尿漏れにはパッド使用や骨盤底筋体操を行い(平松ら,2009;川口ら,2016;中嶋ら,2005),勃起不全を不本意でも受け入れ(稲垣ら,2015;黒鳥ら,2009),同病者との交流で情報を得ている(川口ら,2016).また,尿漏れや勃起不全はあれど自分らしく生きられることや自己の社会的存在価値を自覚することで,男性としてのアイデンティティを再構成し前向きに生きている(金澤・黒田,2018).これらの過程で患者は,術後の尿漏れに対するパートナーの楽観性により気楽になれ(川口ら,2016),パートナーの性機能障害の捉え方から自尊感情に大きな影響を受ける(掛屋・掛橋,2008).また,術後生活のなかでパートナーとの相互扶助の高まりを感じ,恩返しを決意し,改めてパートナーの存在価値を実感する(金澤・黒田,2018).このように,手術を受ける前立腺がん患者が困難を乗り越え,自分らしく前向きに生きるうえで,共に暮らすパートナーから受ける影響は大きく,パートナーは患者を支える重要な役割を果たしている.
一方,パートナー自身も患者のがん罹患や手術により心理的負担を抱え,生活の変更を余儀なくされている(Maliski et al., 2001;Oba et al., 2017).パートナーの心理的苦痛が和らぎ生活の変更にうまく対処できることは,パートナーのみならず,共に暮らしを営む中でパートナーからの影響を大きく受ける患者を含めた双方のQuality of Life(以下,QOL)の向上や心理的安寧の確保につながると考えられる.したがって,看護師はパートナーもケアの対象とし,患者との相互作用にも着目しながら,術後生活にうまく適応していけるよう支援する役割を担う必要がある.しかし,パートナーへの効果的な看護支援に対する研究知見は見当たらない.
本研究は,パートナーに対する看護実践への示唆を得るために,前立腺全摘除術を受ける患者と共に暮らすパートナーががん診断時から術後にかけて,どのような思いや考えを抱き,生活などへの影響にどう対処しているのか,すなわち,パートナーの体験に焦点を当てて国内外の研究を概観し,パートナーの体験に関する研究知見を統合して明示することを目的とする.なお,本研究では,パートナーを「患者と生活を共にしている婚姻関係または恋愛関係にある者で,性別を問わない」,体験を「思ったことや考えたこと,行ったことなど,感覚的・身体的・知覚的な認識や反応」と定義する.
Whittemore & Knafl(2005)による統合的文献レビューの手法を用いた.統合的文献レビューは,特定の現象や関心のある現象について,メタアナリシスやシステマティックレビューなどの特定の方法論のみを採用する文献レビューと比べて,多様な研究方法論の組み合わせを可能とする唯一のアプローチであり,エビデンスに基づく看護実践においてより大きな役割を果たす可能性が示唆されている.
1. 文献検索方法医中誌Web,EBSCO社のCINAHL Plus with Full Text,MEDLINE,Academic Search Eliteの同時検索システムを用いて検索した.医中誌Webでは,検索式を「前立腺がん」AND「手術 OR 前立腺切除」AND「パートナー OR 妻 OR 配偶者 OR 夫婦 OR カップル」AND「体験 OR 思い OR 気持ち OR 不安 OR 心配 OR 苦痛 OR 困難感 OR 考え OR 認識 OR ニード OR 要望 OR 課題 OR 対処 OR 生活 OR 人生」とし,絞り込み条件を「原著論文」「抄録あり」とした.CINAHL, MEDLINE,Academic Search Elite では,検索式を「Prostate cancer OR Prostatic cancer」AND「Surgery OR Operation OR Prostatectomy」AND「Partner OR Wife OR Spouse OR Husband and wife OR Couple」AND「Experience OR Narrative OR Narration OR Thoughts OR Desire OR Mind OR Sensation OR Feelings OR Mood OR Anxiety OR Uneasiness OR Insecurity OR Fear OR Concern OR Worry OR Care OR Pain OR Suffering OR Distress OR Agony OR Difficulty OR Thinking OR Ideas OR Intention OR Recognition OR Cognition OR Cognisance OR Need OR Request OR Wish OR Demand OR Issue OR Problem OR Deal with OR Cope OR Counter-measure OR Life OR Living OR Daily life OR Everyday life」,絞り込み条件を「査読あり」「抄録あり」,言語を「英語」に限定した.なお,前立腺全摘除術には,開腹手術,腹腔鏡下手術,2010年頃から主流のロボット支援手術があるが,術後の排尿機能や性機能は術式による差がない(Yaxley et al., 2016)ことから,術式と発表年は限定しなかった.
2. 分析対象文献の選定プロセス包含基準を「前立腺全摘除術を受ける患者と生活を共にするパートナーの体験に関する記述がある」,除外基準を「事例報告,文献検討」とした.まず,検索で得られた文献のタイトルと抄録を読み,包含基準,除外基準に沿って文献を選定した.その後,全文を精読し,包含基準,除外基準による判断に加えて,Mixed Methods Appraisal Tool(MMAT)Ver. 2018を用いて論文の質評価を行い,採用文献を決定した.これらのプロセスは,研究者2名が独立して行い,相違が生じた場合はもう1名の研究者を加えて協議し決定した.
3. 分析方法研究の概要として,研究実施国,研究デザイン,研究内容(目的,結果),パートナーの属性(性別,年齢,婚姻の有無),発表年を整理した.パートナーの体験に関する研究知見は,各文献の研究結果から該当する記述を抽出し,その意味内容を端的に表現し直し,同類性に従って分類した.なお,量的研究の記述を端的に表現し直す際は数値的な意味を含めた.
検索の結果,338件(和文献16件,英文献322件)が抽出され(最終検索日2025年4月1日),26件が採用された(図1).以下,表1の文献番号を[ ]内の数字として説明する.

| 文献No. | 著者 | 研究タイトル | 国 | 研究デザイン | 目的 | 主な結果 | 対象者 | パートナーの性別 | パートナーの平均年齢(歳) | 婚姻の有無 | 発表年 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Gray et al. | Presurgery experiences of prostate cancer patients and their spouses | カナダ | 探索的-記述的質的研究 | 前立腺がんの男性とパートナーの診断から手術までの経験を記述する | ・前立腺がんの診断は,当初は患者とパートナーの両者にとって衝撃的であったが,時間とともに緩和された. ・前立腺がんという新たな現実によりカップルは関係性を見直すことが必要になり,多くの場合,もう一度新たにつながり合いコミットする感覚をもつに至っていた. ・がんという危機により,治療決定の助けになる多くの情報を探し求めた. ・がんの診断について誰に知らせるか,どの程度話すかをカップルで決める必要があった. ・特に手術が決定した後は,手術に向けて特別なことをせず普段通りに生活することを大切にしていた. ・手術前に通常通りの生活をしようと努力しても,夫婦のどちらか,または両方が不安を常に抱えていた. |
患者とパートナー 34組 |
女性 | 57.1(42~72歳) | 有・無混在 | 1999 |
| 2 | Butler et al. | Behind the scenes: partners’ perceptions of quality of life post radical prostatectomy | カナダ | 探索的-記述的質的研究 | 前立腺がん患者のパートナーが根治的前立腺全摘除術を経験することによる影響を明らかにする | ・多くのパートナーは,前立腺がんの診断を生命を脅かす予期せぬ出来事であると認識していた. ・治療法の選択に関して,大多数のパートナーは,手術を受けるという決定はカップルで下したものであり,治療や回復を含め,その経験のすべての段階に自分たちも関わるべきだと考えていた. ・性交渉の欠如を問題と指摘したパートナーはおらず,パートナーの多くは,親密さと性交渉を個別の概念として捉えており,患者との性的関係は夫婦関係の1つの要素にすぎないと認識していた. ・パートナーは,患者の前立腺がんの診断が,患者だけでなく自分たちの生活にも直接かつ重大な影響を及ぼしていると認識し,根治的前立腺全摘除術の経験は家族の問題であることを示していた. ・パートナーは,カテーテルケアと失禁に関する教育プログラム(特に退院計画)には,家族も含めるべきと考えていた. |
パートナー 21名 |
女性 | 59(43~75歳) | 有 | 2000 |
| 3 | Phillips et al. | Early postsurgery experience of prostate cancer patients and spouses | カナダ | 探索的-記述的質的研究 | 前立腺がん患者とそのパートナーの術後初期の経験を記述する | ・手術後の医師からのがんが取りきれたか取り切れなかったかの説明は,その後のカップルの生活に影響を及ぼした. ・患者は身体能力の回復を自分自身と生活を取り戻すことと同義と考え,非常に重視していた. ・カップルは,ケアのルーチンを決めたり,患者の苛立ちの時期をうまく乗り越えたりすることで,互いに支え合っていた. ・カップルは医療従事者に対して手術の合併症(尿失禁・勃起不全)への対処法について情報提供を希望しながらも自分たちで様々な対応をしていた. ・ほとんどのカップルはがんの経験を「一時的な出来事」と捉えていた. |
患者とパートナー 34組 |
女性 | 57.1(42~72歳) | 有・無混在 | 2000 |
| 4 | Maliski et al. | Mastery of Postprostatectomy Incontinence and Impotence: His Work, Her Work, Our Work | 米国 | グラウンデッドセオリー研究 | 前立腺全摘出術後の失禁と勃起不全に関するカップルの経験を記述する | ・患者は,「がんを治すこと」を最優先と考え,尿失禁と勃起不全は共存し管理できると述べていた. ・患者はネットワーキングを通じて,前立腺手術を経験した人々からの情報から回復を早めるための方法を模索していた. ・パートナーは,患者と自分の不安に対処し,患者の失禁への対処をサポートし,見通しを立てて安心させることで患者を支えた. ・カップルは,術後の確立されたルーチンにより,親密さを強めながら,一緒に困難に立ち向かったという感覚を経験した. ・標準化看護介入プロトコル(SNIP)を提供されたカップルは,看護師が相互関係の強化を肯定してくれたと感じた. |
患者とパートナー 20組(SNIPを受けた10組,SNIPを受けなかった10組) |
女性 | 54.3(28~70歳) | 有 | 2001 |
| 5 | Fergus et al. | Active Consideration: Conceptualizing Patient-Provided Support for Spouse Caregivers in the Context of Prostate Cancer | カナダ | グラウンデッドセオリー研究 | 前立腺がんという状況下で,患者がパートナー介護者に提供する支援という現象を帰納的に探究し,その特徴を明らかにする | ・パートナーに負担をかけないよう,前立腺がんの治療に伴う処置を患者自身で行った. ・多くのパートナーは,患者の意気消沈した姿をみると心配するが,患者がポジティブな性格であるため,余計な心配をしなくて済んだ. ・病気により共に過ごす時間が増えたことで,夫婦の親密さが増し,患者からの愛情表現が増えた. ・患者は,前立腺がんは男性の病気ではあるが,ある意味パートナーにも影響を及ぼすことを理解し,ただ見守ることしかできないと感じているパートナーの気持ちに共感していた. ・術前からの関係性から患者はパートナーがサポートを必要としていることに気づかなかった. ・患者は,パートナーの負担軽減のために,自らの苦悩をパートナーに表出せずに我慢したり,パートナーに感謝の言葉や態度を示したりした. |
患者とパートナー 34組 |
女性 | 57.1(42~72歳) | 有・無混在 | 2002 |
| 6 | Maliski et al. | From ‘death sentence’ to ‘good cancer’: Couples’ transformation of a prostate cancer diagnosis | 米国 | グラウンデッドセオリー研究 | 前立腺がんと診断された男性とその妻の診断時から病期分類,根治的前立腺全摘除術完了までの経験を記述する | ・前立腺がんの診断により,患者は自身のコントロールを喪失する体験をした. ・カップルは前立腺がんに関する集中講座を受けることで,前立腺がんは「良いがん」であると結論づけた. ・カップルは手術の準備として「最善の」治療と「最善の」外科医を探し求め,手術の際には外科医と病院スタッフに全権を委ねることができた. |
患者とパートナー 20組 |
女性 | 54.3(28~70歳) | 有 | 2002 |
| 7 | Perez et al. | Sexuality and intimacy following radical prostatectomy: Patient and partner perspectives | 米国 | 相関研究 | 根治的前立腺摘出術を受けた患者とそのパートナーの性的行動と心理社会的適応の関連を判定する a.疾患特異的,一般機能的,および器質的変数をコントロールしながらセクシュアリティの様々な側面が患者の適応において果たす役割 b.パートナーのセクシュアリティと親密さの結果とこれらの変数がパートナーの幸福において果たす役割 |
・患者の精神的苦痛と生活の質(QOL)は,一般的男らしさの感覚と全体的な肯定的自己イメージと関連していた. ・患者の尿失禁や勃起不全の経験と患者の精神的苦痛やQOLの低下は関連していなかった. ・パートナーの性的満足度は,患者のQOLに影響していた. ・パートナーの性的満足度は,パートナー自身のQOLに影響していた. |
患者とパートナー 134組 |
混在 | 記載なし | 記載なし | 2002 |
| 8 | Giarelli et al. | Caring for a spouse after prostate surgery: The preparedness needs of wives | 米国 | 準-実験研究 | 前立腺がん手術後6か月間における夫の身体的および精神的なニーズのケアに関する妻の準備状況に対する認識を調査する | ・前立腺全切除術後の患者への標準化看護介入プロトコル(SNIP)において,がん患者と前立腺全摘除術後の患者のケアについて専門的な訓練を受けた上級実践看護師(APN)による電話連絡と家庭訪問を受けた介入群と受けていない対照群について,患者のケアに対するパートナーの準備状態を比較した結果,急性期の手術創と切開部の疼痛の評価と指導,ストレス管理,役割適応に関する支援,介護者が行う複雑な治療作業に関する支援などについて,両群とも準備ができていたと評価しており,大きな差はみられなかった. ・パートナーが介護に対する準備が不十分だと感じていたのは,①創傷ケア,痛みや出血などの症状管理,合併症の管理など,患者の身体的ケアの方法に関する具体的かつ実用的な情報,②家族の介護という新しい役割に対する抵抗,患者からのサポートの喪失,家庭と仕事に対する義務の衝突,未知なるものへの恐怖などに関連した苦痛に対する備え,③社会的支援の確認,霊的な力への信頼,時間管理の指導,個人の強さと弱さの認識など,内的および外的資源への備えであった. |
パートナー 110名(介入群57名,対照群53名) |
女性 | 対照群51.6(32~69歳) 介入群56.6(42~73歳) |
有 | 2003 |
| 9 | Petry et al. | Responses and experiences after radical prostatectomy: Perceptions of married couples in Switzerland | スイス | グラウンデッドセオリー研究 | 根治的前立腺全摘除術後のスイス人男性とその親密なパートナーが認識する反応と経験,期待および嗜好を記述する | ・患者は,前立腺がんの診断,手術,およびその結果に対処する上で,生活と排尿・勃起機能のコントロールを取り戻す努力をしていた. ・パートナーは,がんという診断と手術,手術の合併症によって中断された日常生活を取り戻すために,介護を通じて合併症に対処する患者の努力を積極的に支援するとともに,回復が徐々に進み,通常の生活に戻るまで精神的に寄り添うことに重点を置いた. ・術後の患者とパートナーは,手術前に医療者から提供された情報を覚えておらず,また,情報が提供されていても日常生活に与える影響を理解しておらず,さらには,医療者から情報がまったく提供されず十分な情報や指導を受けなかったと感じていた. |
患者とパートナー(ペア) 10組 |
女性 | 記載なし | 記載なし | 2004 |
| 10 | Thornton et al. | Patient and Partner Quality of Life and Psychosocial Adjustment Following Radical Prostatectomy | 米国 | 準-実験研究 | 根治的前立腺全摘除術後の患者およびパートナーのQOLと心理社会的適応の違いを検討する | ・患者は,身体機能が悪化したにもかかわらず,手術直後から感情的苦痛や否定的感情から解放されていた. ・パートナーのQOLと心理社会的適応のスコアは,術前から術後まで一定であり,1年後には改善が認められた. ・患者,パートナーともに,がん特異的ストレス症状は1年間で徐々に減少した. ・患者のがん特有の社会的/家族的幸福およびパートナーの一般的ストレスに対する短期のコミュニケーション介入は部分的に有効であった. |
患者とパートナー(カップル以外も含む) 65名 |
女性 | 57.23(SD = 8.89,37~77歳) | 有・無混在 | 2004 |
| 11 | Mason | Information Needs of Wives of Men Following Prostatectomy | 米国 | 量的記述的研究 | 根治的前立腺全摘除術を初めて受けた前立腺がんと診断された男性の妻の情報ニーズを特定・評価し,そのニーズがどの程度満たされたかを測定する | ・「最善のケアが提供されているという安心感」,「夫が受けている治療を知る」,「医療従事者が夫を気遣ってくれていると感じる」,「わかりやすい言葉で説明を受ける」,「夫のために何が行われているかを正確に知る」の5項目について,どの回答者(パートナー)も「満たされていない」ニーズとは評価しなかった. ・「自宅で夫のために何をすればよいかの情報を得る」,「夫の能力に何が期待できるかを知る」,「夫にどう触れればよいかを知る」,「問題解決できる人について教えてもらう」の4項目については,少なくとも30%の回答者(パートナー)が「満たされていない」と考えていた. ・ニーズが「満たされていない」と評価するかどうかにはパートナーの年齢が関係しており,高齢のパートナーほど「満たされていない」ニーズが多かった. ・「私の健康を心配してくれる人がいる」というニーズが満たされているかどうかの評価はパートナーの教育レベルと有意な関係があった. ・診断から治療までの期間と「夫の治療に関する具体的な事実を知る」「治療による合併症を知る」のニーズとの間には有意な関係がみられた. |
パートナー 66名 |
女性 | 55.6(SD = 7.97) | 有 | 2005 |
| 12 | McCorkle et al. | Effects of Advanced Practice Nursing on Patient and Spouse Depressive Symptoms, Sexual Function, and Marital Interaction After Radical Prostatectomy | 米国 | 準-実験研究 | 根治的前立腺全摘除術後の患者とその配偶者に対する標準化された看護介入(SNIP)による抑うつ症状,性機能,カップル間の相互作用の達成度への経時的な効果を明らかにする | ・抑うつ症状は,介入群(SNIP)か対照群かに関係なく,パートナーの方が患者よりも有意に強く,患者とパートナーのどちらも時間の経過とともに改善した. ・性機能に関する苦痛があると答えたパートナーの割合は,介入群(SNIP)よりも対照群の方が時間の経過とともに著しく低下した. ・性機能に関する苦痛は,介入群(SNIP)・対照群ともに患者の方がパートナーよりも有意に強かった. ・夫婦関係に関する苦痛は,介入群(SNIP)・対照群ともに,パートナーの方が患者と比較して有意に強かった. |
患者とパートナー 107組 |
女性 | 56.0(SD = 7.10) | 記載なし | 2007 |
| 13 | Tsivian et al. | Altered male physiologic function after surgery for prostate cancer: couple perspective | 米国 | 量的記述的研究 | 前立腺がん手術から回復中のカップルの観点から,男性の生理学的機能に関する視点と患者とパートナー両者の術後の変化に対する心理的負担を調査する | ・自らの/相手の性的関心のレベルに満足しているのは男女とも40%程度で,カップルの一致率は82%であった. ・患者の43%がオーガズムの最中に尿失禁を報告しているにもかかわらず,パートナーは32%しか気づいておらず(一致率75%),患者の58%,パートナーの60%がそれを不快に感じていた. ・患者とパートナーの半数以上が,患者の陰茎の外観が変化したと報告しており(一致率71%),そのうち29%の患者と14%のパートナーがその変化を気にしていた. ・勃起/興奮に関しては,手術後の性行為の回数が大幅に減少したと両者が報告しており,一致率は,手術前93%,手術後80%であった. ・射精の変化は,患者の96%,パートナーの89%(96%の一致)で観察され,ほとんどの患者は射精がないことを経験したが,このことを気にかけるのは患者の19%,パートナーの12%のみであった. ・患者の68%が少なくとも部分的に性的能力があると自覚しており,勃起改善薬を使用していると答えたのは,患者が32%,パートナーが85%であった(一致率は50%). ・射精に変化があったにもかかわらず,大多数の男女はオーガズムに達する能力に満足していた. |
患者とパートナー 28組 |
女性 | 記載なし | 記載なし | 2009 |
| 14 | Evertsen et al. | Female partners of patients after surgical prostate cancer treatment: Interactions with physicians and support needs | 米国 | エスノグラフィック研究 | 女性の医師(プライマリケアと泌尿器科医)との相互作用と,パートナーの前立腺がんの診断と治療に関連するサポートニーズを探究する | ・パートナーは,より多くの情報に加えて,家族や友人,同じ診断を受けた人からの精神的なサポートを強く望んでいた. ・パートナーは,医師に対して親身になってくれないと感じたり,情報やサポートが得られないことに失望したり,手術後の患者に対して,継続的なサポートが得られないことに不満を感じたりしていた. ・診断と治療の過程で,多くのパートナーは,自分が主な介護者の役割を担うことで,患者の唯一の精神的支えになったかのように感じていた. ・情報不足とカップルではなく介護者としての時間が増えることで,パートナーのストレスは高まり,時にはカップルの関係に大きな打撃を与えることもあった. ・患者の勃起不全と家族を養うという生来の本能の喪失により「男らしさの喪失」を感じていたパートナーもいた. |
パートナー 14名 |
女性 | 61.6(47~77歳) | 有・無混在 | 2010 |
| 15 | Knoll et al. | Changes in reciprocal support provision and need-based support from partners of patients undergoing radical prostatectomy | ドイツ | 相関研究 | 根治的前立腺全摘除術と患者の尿失禁を含む術後合併症に直面しているカップルに対するニーズに関連したサポートの提供と相互サポートの提供を検討する | ・パートナーが患者に提供した精神的サポートと実質的サポートのスコアは,術前に双方とも高い状態から始まり,精神的サポートは術後12か月で低下したが,実質的サポートは術後2週間の時期に高くなっていた. ・パートナーが患者から受けた精神的サポートと実質的サポートのスコアは,双方とも術前に比べて術後の方が低かったが,実質的サポートは術後の経過期間が長くなると再び高くなった. ・患者がパートナーからサポートを得るための努力は,術後12か月で低下しており,それには尿失禁が影響していた. ・尿失禁はパートナーが患者に提供する精神的サポートと実質的サポートとは関連していなかったが,患者がパートナーに提供する精神的サポートと実質的サポートには関連していた. |
患者とパートナー 141組 |
女性 | 59.33(SD = 7.81) | 有・無混在 | 2011 |
| 16 | Chambers et al. | Couple distress after localised prostate cancer | オーストラリア | 量的記述的研究 | ①限局性前立腺がんに対する手術を選択した,または最近手術を受けた男性およびその女性パートナーにおける不安およびうつ病,がん特有の苦痛,QOLの有病率を記述する ②社会人口統計学的変数,臨床的変数,前立腺特異的症状変数,および男性的自尊心や親密さなどの心理社会的変数が,これらの適応の結果に及ぼす影響を評価する |
・患者とパートナーの双方が夫婦関係に対する苦悩は低いと報告したが,パートナーが報告した過去1週間の不安のレベルは患者よりも有意に高かった. ・患者は,年齢が低く,診断を受けてからの期間が短く,男性としての自尊心が低いほど,不安が大きく,うつ病のリスクが高かった. ・患者の良好な身体的QOLに関連していたのは,診断時のPSA値が低いこと,尿失禁が少ないこと,であった. ・患者の良好な精神的QOLと関連していたのは,高齢であること,男性的な自尊心が高いこと,であった. ・患者の心理的苦痛の程度は,パートナーの心理的苦痛の程度と有意に関連していた. ・パートナーの身体的QOLに最も強く関連していたのは,社会的親密性の高さであった. |
患者とパートナー 186組 |
女性 | 59.72(SD = 7.39) | 記載なし | 2013 |
| 17 | Sato et al. | Dissociation between patients and their partners in expectations for sexual life after radical prostatectomy | 日本 | 量的記述的研究 | 患者およびそのパートナーにおける根治的前立腺全摘除術後の性生活への期待およびそれが術後の性的意欲や悩みに及ぼす影響を分析する | ・患者の方がパートナーよりも「性生活は重要である」と考え(患者35.2%,パートナ13.0%),「勃起機能の維持」を望み(患者66.0%,パートナー33.3%),「ホスホジエステラーゼ5阻害薬の使用」を受け入れていた(患者65.4%,パートナー43.2%). ・パートナーの性的態度が否定的である場合,患者は手術から1年後には性欲を失っていたが,協力的である場合は性的な悩みを強く感じていても性欲を維持していた. |
患者とパートナー 162名 |
女性 | 63.5(SD = 6.3) | 記載なし | 2013 |
| 18 | Yiou et al. | Sexual Quality of Life in Women Partnered with Men Using Intracavernous Alprostadil Injections after Radical Prostatectomy | フランス | 相関研究 | 根治的前立腺全摘除術後の勃起不全に対してアルプロスタジル海綿体内注射を受けている男性の女性パートナーにおける性的QOLを調査する | ・患者の年齢,陰茎痛(視覚的アナログスケール(VAS)),国際失禁質問票(ICIQ),UCLA前立腺がん指数(UCLA-PCI)スコアは,パートナーのISL(性生活指数)のいくつかの項目と負の相関があった. ・勃起機能と患者の性交満足度はパートナーの性生活満足度に最も影響していた. ・パートナーの性欲は,患者の性交時の満足度,全般的な性的満足度,勃起の硬さに最も影響を受けていた. ・パートナーの性生活の質に関する指標はアルプロスタジル海綿体内注射に対する患者の治療状況と強い相関があったが,スコアは全体的に低かった. |
患者とパートナー 104組 |
女性 | 59.8(SD = 7.3) | 記載なし | 2013 |
| 19 | Hartman et al. | Exploring Gay Couples’ Experience With Sexual Dysfunction After Radical Prostatectomy: A Qualitative Study | カナダ | 探索的-記述的質的研究 | 根治的前立腺全摘除術後の性機能障害に関する同性カップルの経験を探索する | ・術後の同性カップルは,性体験が変化したと認識し,性体験の変化に適応し,性体験の変化を受容していた. ・性機能のレベルにかかわらず,すべての同性カップルが,性的リハビリテーションの必要性を強調した. |
患者とパートナー 3組 |
男性 | 41.3(40~42歳) | 記載なし | 2014 |
| 20 | Williams et al. | Purposeful Normalization When Caring for Husbands Recovering From Prostate Cancer | 米国 | 探索的-記述的質的研究 | 前立腺がんに対する根治的前立腺全摘除術から回復する夫を持つ低所得のラテン系女性たちの経験を縦断的に記述する | ・パートナーの生活への影響は,診断直後から始まり,初期のショックや恐怖,合併症への対処に対する懸念は時間の経過とともに軽減したが,勃起不全や患者のうつや苛立ちに対する懸念は時間の経過とともに増強した. ・落ち込んだ患者を励まし,短気な暴言には忍耐と冷静さをもって対応したり,年齢,患者の命,すでに子がいるという状況を理由に勃起不全を正常なものとして受け入れたり,患者の健康のために食生活を改善したり,家族のサポーを受けたり,より親密な関係を築いたりすることは,パートナーが「入院前の生活に戻った」と感じるのに役立った. |
パートナー 28名 |
女性 | 55.1(36~63歳) | 記載なし | 2014 |
| 21 | Wittmann et al. | Exploring the role of the partner in couples’ sexual recovery after surgery for prostate cancer | 米国 | グラウンデッドセオリー研究 | 前立腺がん手術後のカップルの性的回復におけるパートナーの役割に関する患者とパートナーの認識が一致しているかどうかを明らかにする | ・患者とパートナーの両者とも,パートナー自身の性的関心(機能ではなく)が,カップルの性的回復にとって重要であると認識していた. ・患者は依然として勃起機能を何よりも重視していたが,パートナーは勃起不全を受け入れていた.あるカップルは愛し合う際のレパートリーを増やすことで対処していた. ・一部の患者は,パートナーからの性的な求めにプレッシャーを感じ,パートナーを満足させられるかと性的パフォーマンスに不安を感じていた. ・すべてのパートナーは,勃起の回復における自分の役割は,精神的なサポートを提供し,患者がリハビリテーション活動に参加するよう励ますことだと考えていた. |
患者とパートナー8組+患者2名+パートナー1名 | 混在 | 58.3(SD = 2.3) | 有 | 2014 |
| 22 | Wittmann et al. | What Couples Say about Their Recovery of Sexual Intimacy after Prostatectomy: Toward the Development of a Conceptual Model of Couples’ Sexual Recovery after Surgery for Prostate Cancer | 米国 | 混合研究 | 性機能の機能的側面,心理的側面,関係的側面,手術に関連する性的損失,回復過程としての悲しみや喪失感などを含む,カップルの性的回復に関する生物心理社会的概念モデルを検討する | ・術前,カップルは性的回復を重視しながらも,がんの転移と手術の合併症を心配していた. ・患者自身と担当医への信頼から,術前は90%のカップルが勃起機能回復の見込みを過大評価していたが,術後はほとんどの患者が勃起不全を患い,男性としての自信を失い,カップルの性行為が減少した. ・カップルが意図的に性行為を行うこと,患者が勃起補助具を受け入れること,パートナーが性行為に興味を持つことが,カップルの性的な親密さの回復に役立った. ・気兼ねなく性行為ができること,勃起機能がベースラインに戻ることが,カップルの最終目標と見なされた. |
患者とパートナー 20組 |
混在 | 57.6 | 有 | 2015 |
| 23 | Wittmann et al. | A Pilot Study of Potential Pre-Operative Barriers to Couples’ Sexual Recovery After Radical Prostatectomy for Prostate Cancer | 米国 | 混合研究 | 根治的前立腺全摘除術後の性的回復を妨げる可能性のある障害を特定する | ・約3分の2のカップルが,術前に性的喪失を報告した.パートナーは更年期の変化や併存疾患により性的活動への関心を失っていた.患者の中にも加齢に伴う勃起不全を経験する者がいたが,性的欲求は保たれており,ホスホジエステラーゼ阻害薬を使用することで勃起を強化することができており,カップル間で性的欲求に相違が生じていた. ・術前から性的活動の不一致や不満があったカップルの大部分は,術後にもそれらについて語り合うことはなかった. ・術後に患者が焦燥感やフラストレーションを抱える可能性について,パートナーは術前から術後にかけて患者よりも強く認識しており,パートナーは患者よりもがんが根絶されないことへの不安を強く抱えていた. |
患者とパートナー 28組 |
女性 | 58.4(SD = 7.4,38~70歳) | 有 | 2015 |
| 24 | Ross et al. | Effects of physical and mental health on relationship satisfaction: A dyadic, longitudinal examination of couples facing prostate cancer | 米国 | 相関研究 | 診断時から治療後1年までのカップルの心身の健康と夫婦関係満足度との関係を調べる | ・患者とパートナーは,術後1か月の時点で精神的・身体的健康が低下していた. ・患者の身体的健康状態は,術後1か月時にパートナーの夫婦関係満足度に最も強く影響し,診断時・術後1か月・術後6か月・術後1年のすべての時点において,自身の夫婦関係満足度に影響していた. ・患者の精神的健康状態は,術後1か月を除くすべての時点において,患者自身の夫婦関係満足度に強く影響し,診断時と術後6か月において,パートナーの夫婦関係満足度に最も強く影響した. ・術後1か月時点では,パートナーの身体的健康状態が,患者の夫婦関係満足度に影響していた. ・術後6か月では,パートナーの身体的健康状態のみが,パートナーの夫婦関係満足度に影響していた. ・パートナーの精神的健康は,術後1か月・6か月の時点において患者の夫婦関係満足度に強く影響したが,術後6か月ではその影響が弱まり,また,術後のすべての時点において,パートナー自身の夫婦関係満足度に強く影響した. |
患者とパートナー 159組 |
女性 | 60.14(SD = 8.67) | 有・無混在 | 2016 |
| 25 | 岡本 | 根治的前立腺全摘除術後の性機能障害を抱える夫と暮らす妻の思い | 日本 | 探索的-記述的質的研究 | 根治的前立腺全摘除術後の性機能障害を抱える夫と暮らす妻の思いを明らかにする | ・対象者の平均婚姻期間は39年であり,患者の手術前から性交がなかった者が3名いた. ・パートナーの思いは,【手術により夫と性交ができなくなっても支障はない】,【手術による性機能障害よりも夫のがんの根治を優先したい】,【手術後の性生活について夫と話し合いたいとは思わない】,【性生活以外は変わらない夫との関係をよいと思う】,【性機能障害を抱え落胆している夫を支えたい】の5つのカテゴリーに集約された. |
パートナー 6名 |
女性 | 63.2(56~69歳) | 有 | 2017 |
| 26 | Geese et al. | Patients’ and partners’ experiences with prostate cancer and advanced practice nurse counselling | スイス | 探索的-記述的質的研究 | 根治的前立腺全摘除術を受けた前立腺がん患者とそのパートナーが,診断からフォローアップケア,上級実践看護師(APN)サポートプログラムに至るまでの経験を調査する | ・患者とパートナーは,PSA検査,治療法の選択肢,失禁や勃起不全など手術による合併症の管理について,より多くの情報を望んでいた. ・医師から満足のいく情報提供がなかったため,数組のカップルは診断と治療の選択肢についてセカンドオピニオンを求めて別の医師に相談していた. ・ほとんどのカップルは共に一連の状況を克服したが,一部の患者はパートナーを関与させなかった(患者から診断についてさえ知らされなかった). ・入院中,患者は十分なケアを受けていると感じており,パートナーも同意していた. ・患者の退院後の第一の課題は尿失禁であり,その次の課題は,勃起不全であった. ・患者とパートナーが,入院中およびフォローアップケア中の継続的な連絡担当者として上級実践看護師(APN)を高く評価していた. |
患者とパートナー6組+患者4名+パートナー2名 | 女性 | 66.0(52~77歳) | 有 | 2021 |
※研究デザインの分類は,Grove et al.(1987/2015)を参考にした.
研究実施国は,米国14件,カナダ5件,日本,スイス,各2件,オーストラリア,ドイツ,フランス,各1件,研究デザインは,質的研究13件,量的研究11件,混合研究2件であった.パートナーの性別は,異性23件,同性1件,混在2件で,平均年齢は41.3~66.0歳(未記載の3件除く),婚姻関係は,有り9件,有り・無し混在7件,記載なし10件であった.データ収集時期は,術前のみ2件,術前から術後にかけて8件,術後のみ16件であった.
研究内容は,がん診断や術後合併症への対処[1, 2, 3, 4, 5, 9, 14, 15, 20, 21, 22, 23],術後の勃起不全や性生活に対する認識[13, 17 ,19 ,25],術後合併症と性的QOL・夫婦関係満足度との関連[7, 24],医師・看護師の関わりの評価[8, 12, 26],手術に対するニーズと満足度[11],などであった.
6文献はパートナーのみを,20文献はパートナーと患者を研究対象とし,カップルの場合とそうでない場合とがあった.パートナーのみを対象とした研究では,手術による影響やサポートニーズを調査していた[2, 8, 11, 14, 20, 25].患者とパートナーを対象とした研究では,各々の体験[1, 3, 4, 5, 6, 8, 9, 10, 13, 15, 21, 23, 26]やカップルの体験[3, 4, 6, 9, 10, 19, 21, 22, 23, 26]を明示したもの,両者の比較や関連性を検証したもの[7, 12, 16, 17, 18, 24]があった.比較や関連性の検証では,抑うつ症状や夫婦関係に関する苦痛はパートナーの方が強く,性機能に関する苦痛は患者の方が強く[12],患者の方が性生活を重要と考え,勃起機能の維持を望み,勃起治療薬の使用を受け入れている[17]と示されていた.また,患者の心理的苦痛はパートナーの心理的苦痛と関連し[16],勃起機能と患者の性交満足度はパートナーの性欲や性生活満足度に影響し[18],患者とパートナーの身体的・精神的健康状態は,互いの夫婦関係満足度に影響を与え[24],パートナーの性的満足度は,患者・パートナー双方のQOLに影響する[7]と報告されていた.
2. パートナーの体験に関する研究知見 1) 性的関係の変化に向き合う (1) 患者の勃起不全により性的満足感が低下する患者の勃起機能が回復しない[22],性交時の患者の陰茎痛により性生活満足度が低下する[18],膣のオーガズムが消失する[22],性的欲求が満たされない[7, 18, 21]ことに不満を抱いていた.また,性行為ができないことによるQOLへの影響は患者よりも大きい[7]と報告されていた.
(2) 性的満足感を追求する患者の勃起機能の回復[17, 18, 22]やそのための患者の努力[22]に期待する,性行為を望む[7],挿入以外で性的満足感を得る方法を患者と模索する[21, 26],自慰行為をする[21]と報告されていた.また,勃起治療薬を希望するパートナーが多いこと[13],逆に,人工的で人間らしくないと否定的なこと[23],医療者に勃起不全に関する情報[8]や性的関係回復のための支援[21]を求めること,他者に性的事情を話したくないと考えること[21]が報告されていた.
(3) 性交以外の愛情確認で心が満たされるスキンシップで愛情を確認する[4, 13],挿入しない性行為で親密さを維持する[4, 21],気持ちの共有で親密さを強化する[4, 5, 22],性生活以外は変わらない患者との関係に満足する[9, 25]と報告されていた.
自身が勃起不全経験者である同性パートナーは,患者の対処や適応に共感しやすく,異性パートナーよりも感情的親密性が強い[22]と報告されていた.
(4) 性行為のない関係に順応する患者の勃起不全を甘受する[18, 26],勃起不全に悩む患者への配慮から自身の性的欲求を放棄する[19, 20],性的満足のない性行為を許容する[23],性欲を趣味や遊びで発散する[20],性行為のない関係にいずれ適応する[21]と報告されていた.一方では,術前と同じなので性交がなくても支障はない[20, 21, 22, 25, 26],性生活について患者と話す必要を感じない[2, 23, 25, 26]と認識していた.
(5) 勃起不全を契機に患者への否定的感情が生まれる性生活について話したいのに患者が応じないことに不満を持つ[12],術後の性行為の大変さから患者に失望する[22],患者の性機能の低下に男らしさの喪失を感じる[14],患者の勃起不全により愛情が冷める[9]と報告されていた.
(6) 尿漏れが性行為を妨げることに悩まされる性行為の際の患者の尿漏れに悩む[21],3割のパートナーが患者の尿漏れが性行為を妨げると感じている[22]と報告されていた.
2) 患者の尿漏れが自分の生活を脅かすことに不満をもつトイレがある場所にしか行かない患者のせいで活動範囲が狭まり,尿漏れにより患者の家事分担を引き受けざるを得なくなる[14],患者の尿漏れに対処しなければならない[20],患者の尿漏れにより生活が変化する[26]ことへの不満を抱いていた.一方,これらの不満は時間の経過により解消する[3],患者主体で尿漏れに対処できるようになるにつれ日常を取り戻す[4, 20]と報告されていた.
3) がんの診断や患者の心身の健康状態に自身の心身が影響を受ける患者のがん診断により不安・恐怖[2, 3, 6, 8, 20, 22, 23, 26]や死への不安[20]を抱く,勃起不全よりも患者の命が大事と考える[4, 20, 25],手術によるがん消滅に期待する[3, 6, 20, 26],がんが根絶されないことへの恐怖は患者より強い[23]と報告されていた.術前後にわたり心理的苦痛[10, 16]を抱く,自分を心配してほしいと思う[11],術後は患者よりもひどい抑うつ症状を呈する[12]という報告がある一方,がんを甘受すること[2, 26]や,将来を不安がっても仕方がないから前に進むだけ[1],人生を楽しもう[3]と前向きに切り替えることが報告されていた.精神的・身体的健康状態の低下は,時間の経過とともに徐々に改善した[10]場合と,1年後でも元に戻らなかった[24]場合とが報告されていた.
また,患者のストレスが夫婦関係に亀裂をもたらすと感じる[1, 3, 5, 7],患者の身体的健康が夫婦関係満足度に影響する[24]と報告されていた.
4) サポート役を担い二人で難局を乗り越える (1) 苦悩・苦慮する患者を慮りサポート役を引き受ける患者のために強くあらねばと自身を鼓舞する[6, 20, 22],患者と過ごす時間を増やす[1],積極的に手を差し伸べる[9],共に困難に立ち向う[4],手術を拒否する患者を説得する[26],情報収集に奔走する[1, 6, 8, 11, 14]と報告されていた.また,うつ状態の患者を励ます[20],患者のイライラを和らげる[9],敏感で感情的な患者に冷静さと忍耐で対応する[4, 20],患者の唯一の精神的支えになったと感じる[14],患者を世話する中心的役割を担う[14],役割を順調にこなす[26]ことに満足していた.
術後合併症に対しては,尿漏れや性に対する喪失感・苦悩を抱える患者を気遣う[2, 3, 4, 20, 21, 22, 23, 25],共に尿漏れに対処する[2, 4, 9, 26],勃起不全に関する話題や性行為を避ける[19, 21],性機能回復に努める患者を支える責任を感じる[22, 23],患者が性交を試みたいときに応じることが自分の役割と認識する[21]と報告されていた.
一方で,患者ががんを明かさないこと[26]や,治療やケアに関する決定に自分を含めないこと[2]に孤立感を抱く,患者に感情を表してほしいと感じる[5],勃起不全によりスキンシップさえしようとしない患者に自分の性的役割をどう果たせばいいのかわからず苦悩する[21]ことが報告されていた.
(2) 術後を乗り越えることで二人の絆を再確認する・強まりを感じるパートナーが,二人でがんを克服した[26],術後合併症に対処することで二人の関係が改善した[20],二人で問題を乗り越えて絆が深まった[2, 5, 9, 14],術後に患者が家事に貢献してくれた[5]と感じていること,また,家事遂行のために新しいルーチンに二人で取り組んでいること[3],二人の役割を再構築していること[5, 15]が報告されていた.
(3) 病気や術後合併症のことは患者に任せる患者が尿漏れにうまく対処しているため自分に影響はないと感じる[4],患者が他者に頼らず治療から日常生活まで対処しようとすることに誇りを感じる[5],7割のパートナーは患者に術後合併症があっても自分の生活に影響はないと感じる[7]と報告されていた.
5) ソーシャルサポート・専門的サポートを欲する (1) 他の家族員や同じ境遇にいる人の存在に助けられる患者と二人きりだと落ち込むが孫がいると気が楽になる[20],娘の存在が助けになる[9],自分と同じ境遇の女性や友人からの精神的支援を強く望む[14],受診の送迎など他の家族員や友人から実質的な支援を受けている[4]と報告されていた.
(2) 専門家を頼りにする,あるいは不満を抱くパートナーは,医師に信頼を寄せており[14],術後合併症回復への専門的支援を希望していた[8, 11, 14].看護師に対しては,術前教室に参加して手術と回復への期待が高まった[6],看護支援プログラムが患者の助けになり二人のコミュニケーションが円滑になった[26],看護師に相談して悩みが解決した[4]と感じていた.
一方で,医師の対応への不信[3, 14, 26],患者の病気は自分の健康にも影響するのに医療者から十分な説明がないという不満[9],術後合併症への対処法に対する情報提供不足[2, 3, 26],医療者から十分な説明がないまま介護者という不慣れな状況に置かれた不満[14]を感じていた.
大部分が海外研究であり,前立腺全摘除術を受ける患者と生活を共にするパートナーの体験に関する研究は日本では十分に進んでいないことが明らかとなった.日本の医療現場では,前立腺全摘除術後の性機能障害への対処について患者が話題にすることが少なく(掛屋,2007;望月ら,2016),医療者側の介入も限定的(酒井ら,2012)と指摘されている.このように患者への支援に課題があるため,パートナーへの支援が発展せず,研究も進みにくい状況にあると考えられる.研究の乏しさは,林・大石(2017)が行った前立腺がん治療に伴う性機能障害と看護に関する和文献レビューにおいて,パートナーを対象とした研究が1件であったことからもいえ,今後の取り組みが求められる重要な課題といえる.
研究内容は,術後合併症への対処に関するものが26件中12件であるのに対し,性生活や夫婦関係に関するものが6件,医療者の関わりの評価が3件であった.パートナーを対象とした性的問題や夫婦関係に関する研究,ならびに支援方法を開発・評価する研究が今後必要になることが示唆される.なお,分析対象文献は患者とパートナーの両者を対象者とした研究が多く,健康状態や性的満足度が相互に影響を及ぼし合うことが示されていた.このことから,支援方法を開発・評価するうえでは,患者とパートナーの相互作用に着目することが重要といえる.
2. パートナーの体験に関する研究知見と看護実践への示唆研究知見の多くが海外文献由来であり,性や夫婦観に関する文化的相違がある日本に本研究結果を直接適用することはそぐわない可能性がある.特に,日本において性機能障害や尿漏れといった課題は,羞恥心や語りにくさ,医療者との関わり不足から支援につながりにくい傾向があるといわれる(Hayashi et al., 2023).ここでは,日本の文化的背景を踏まえ,また,パートナーの年代が前立腺がんの好発年齢と同様に60歳代以降であると推測して,得られた結果から考えうる支援への示唆について述べる.
1) 性的関係の変化に向き合う性行為ができないなかでも性的満足感を追求し,勃起治療薬を希望するパートナーが多いという報告があった.高齢の男女共に性行為が二人の関係性と幸福に関連すると捉えており(DeLamater, 2012),オーガズム時に分泌されるホルモンは高齢女性の健康に良い影響を与える可能性が示唆されている(Liu et al., 2016).そのため,勃起不全はパートナーの性的満足感の欠如,それによる性の健康の低下をもたらし,患者との関係性やパートナー自身の健康に影響を及ぼす可能性がある.このことより,パートナーの性の健康に目を向けることは重要であるが,高齢者が性的問題を医師にあまり相談しない(Lindau et al., 2007)ことより看護師からの働きかけが求められるといえる.また,性行為を阻むのは勃起不全だけではないことから,パートナーが患者の勃起機能回復や性行為再開のための支援を求める場合は,尿漏れの性行為への影響や尿漏れの消失時期についての情報提供も必要である.一方,日本の中高年女性は,配偶者との性交渉を望まない,あるいはなくても満足している者が多いと報告されている(荒木ら,2016).このことより,日本人パートナーに性に関する働きかけを行う際は,性行為への関心の低さを念頭に置くことが不可欠といえる.
パートナーは,性行為以外の愛情確認で満足している場合や元より重要視していなかった場合,性行為のない関係に順応していた.日本において,50歳代以降は性交渉が減り,スキンシップや精神的な愛情が大半を占め(荒木,1999),60歳以上の有配偶男性の半数以上は妻との性交渉を望むが,妻の約8割が精神的な愛情や労りのみを求めているといわれる(荒木ら,2016).すなわち,性交を重要視していないパートナーは,加齢に伴う自然な反応とも相まって精神的な愛情確認に重きを置くと推察される.高齢者には,人生の後半という長期間のQOLを考慮して触れ合いを取り戻す努力が必要であり,会話のある豊かな関係性を築き,セックス=挿入ではなく,性的な触れ合いを重視し,双方が満足できる性生活を作り上げる必要があるとされる(荒木,2020).これらより,男女の性に対する認識の違いも踏まえながら,挿入以外の性的なスキンシップや言葉による愛情表現を通して豊かな関係性が構築できるよう支援する必要がある.一方,このような介入は,性交を重要視するパートナーにとって,希望通りに勃起機能が回復しなかった場合やそれにより患者への否定感情を抱いている場合の関わりとしても有用と考えられる.人は年齢を重ねる中で,生物学的な変化と内的・外的状況に対する適応反応を繰り返しており,性的機能の変化やこだわりや信念をどう評価し,どう対処していくかが自尊心や満足度の維持に関連するといわれる(Schiavi, 1999/2001).性的満足感を追求してもそれが充足しない状況に二人で適応できるよう支援することが重要である.
2) 患者の尿漏れが自分の生活を脅かすことに不満をもつパートナーは,患者の尿漏れで自分の生活が変化し,活動範囲が狭まったと感じていた.これは海外文献から得られた知見であるが,日本人の前立腺がん術後患者が尿漏れによる生活範囲の狭小化(稲垣ら,2015)や社会活動の制限により,術前とは生活様式を変更している(金澤・黒田,2018)ことから,日本人パートナーも尿漏れに伴う生活上の負担感を抱いていると推察される.手術適応となる60~70歳代は子どもの独立に伴い夫婦二人世帯が多いと考えられ,術後の尿漏れによる患者の生活範囲の狭小化が共に暮らすパートナーに影響を与えることは必然といえる.また,患者の尿漏れのために処置や家事分担が増えることへの不満があったが,前立腺がんの好発年齢に鑑みると,同年代にあるパートナーが身体の衰えを自覚するなかで生活上の負担増にストレスを感じることは容易に想像できる.なお,パートナーは尿漏れの対処法に対する医療者からの情報提供不足を感じており,心構えのないまま術後生活が開始されたことがストレスを増大させた可能性もある.
一方,パートナーは,時間の経過に伴い日常を取り戻せた感覚に至っていた.これには,術後の尿漏れが概ね6か月で解消し(国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス,2020a),一般的には,術後3か月で約4割が,術後12か月で約8割がパッドなしで生活できるようになる(Namiki et al., 2014)ことも関連すると考えられる.患者は尿漏れが期限付きであると認識し,尿漏れからの順調な開放により従来の生活に戻ると感じており(金澤・黒田,2018),共に暮らすパートナーも同様の感覚をもつに至ったと推察される.
以上より,看護師には,パートナーが尿漏れへの心構えをもてるよう,一時的な症状であることや,生活に及ぼす影響と対処法について予め説明することが求められる.
3) がんの診断や患者の心身の健康状態に自身の心身が影響を受ける前立腺がんの予後は良好であり,手術適応のステージI~IIIの5年生存率は98%を超える(国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス,2020b).患者はこの特徴を理解して「いのちを取られるがんじゃない」と認識し,術後の適応を促進させる(金澤・黒田,2018).対してパートナーは,生命の危機を想起し,患者以上に患者の身を案じて不安に苛まれ,自分への心理的ケアを求めていることが報告されていた.これは,がん患者の家族が自分への気遣いを求め(佐藤ら,2012),女性パートナーは不安やうつ病のリスクが高く,時間が経過しても苦痛が増大するリスクが残る(Moser et al., 2013)という報告とも一致する.また,家族は,がん患者の要求に応えねばと義務を負う(Lim et al., 2014)ため,これがパートナーの心理的負担を増大させている可能性がある.さらには,家族は自分のつらさを誰かにわかってもらいたいと思う一方,取り込む傾向にある(森本・井上,2006)ため,周囲に表出していない可能性もある.看護師は,家族の気持ちの表出を助け,その心情やおかれている苦境に理解を示し,共感する姿勢で関わる必要があり(明智,2003),前立腺がんの予後に対するパートナーの理解を促しつつ,家族の心理面に積極的に介入することが重要である.
4) サポート役を担い二人で難局を乗り越えるパートナーは,患者のサポートに意欲的で,自身が患者の唯一の精神的支えであると感じていた.がん手術を受けた患者の家族は,患者をかけがえのない存在として再認識し,回復に向けて役に立ちたいという強い意志をもつ(浅野・佐藤,2001).先述の通り患者とそのパートナーは二人世帯が多いと推測されることから,生活を共にする唯一の家族員として,パートナーがサポート役を一手に担うことは自然な成り行きといえる.がん患者の家族の前向きさには,できることをしてあげられたという達成感が影響し(安永,2015),看病は家族に満足感や自信を与え,成長をもたらす(吉田・佐藤,2000).ゆえに,サポート役を担っているパートナーが達成感や有意味感を味わい,さらには成長を感じられるように支えることが重要である.一方,患者もパートナーと相互に助け合う意識を強め,パートナーの役に立ちたいと考えるようになり,パートナーからの言葉や態度を支えとし,感謝の気持ちを抱く(金澤・黒田,2018).看護師は,このような患者とパートナーの相互作用に着目し,互いを大事な存在と改めて気づけるよう働きかける必要がある.パートナーは,自分の仕事や生活を調整して患者をサポートしてきた労をねぎらってほしいと感じている(安永,2015)ことより,患者に心の内にある感謝の思いをパートナーに伝えるよう促すことも重要である.一方,患者が自分を頼らないと苦悩する場合もあったことから,患者と思いを共有する場を設けたり,患者に代弁することも必要である.
パートナーは,患者が自己対処できていれば任せようとしていた.先述の通り,パートナーは患者以上の心理的負担を感じ,生活上の困難を抱え,場合によっては自身のセクシュアリティの問題を抱える.家族は患者中心に回る生活や患者の苦悩する姿を見守り続けることに疲弊しており(鈴木ら,2012),患者と家族との間には,互いに気遣いつつ気遣いしすぎない対等な関係が必要とされる(高山・藤田,2021).このことから,患者を気遣いつつも任せる姿勢は,パートナー自身の心理的安寧をもたらし,二人で営む術後生活の安定につながると考えられる.
パートナーは,勃起不全に苦慮する患者に配慮して性に関する話題を避け,患者が望んだときに応じることを自身の役割と認識していた.日本においても,荒木(2020)が,中高年の妻の49%が「いつでも夫の求めに従うのが妻の役割だ」と考えていることを報告している.性に対してもサポートしたいというパートナーの思いを尊重しつつ,負担になっていないかを確認する必要がある.
5) ソーシャルサポート・専門的サポートを欲するパートナーは,他の家族員や自分と同じ立場の人から支えられていた.新田ら(2014)は,がん患者の配偶者のレジリエンスの要素として,家事を負担し情緒的に支えてくれる家族の存在や,直接情報を提供してくれるがん体験者の存在を示している.患者のケアを一手に引き受け,患者以上に心理的負担を感じているパートナーの心理的適応のためには,ソーシャルサポートの存在が重要といえる.一方,周囲との関係性変化への恐れと現実の受け入れがたさから,患者のがんを開示できずにいる配偶者もいる(青柳,2012)ことから,パートナーの支えとなる存在の有無を把握し,周囲に支援を求めるよう勧めることも重要といえる.
また,パートナーは専門家を頼り,逆に,支援不足への不満を抱いていた.パートナーが求める専門的支援を把握しつつ,ニーズに沿った支援を提供することが重要である.
術後の排尿機能や性機能は術式による差がないことから術式と発表年を限定せずに文献を検索したため,医療の進歩に伴う術後回復過程や在院日数の違いがパートナーの体験に与える影響については,十分な検討ができていない.
謝辞:本研究はJSPS科研費22K10790の助成を受けたものです.
利益相反:本研究における利益相反は存在しない.
著者資格:MKは研究の着想,デザイン,文献の収集,分析,解釈,原稿の作成;SKは研究の全過程への助言,分析と考察,原稿作成;MSは文献の採用と内容の抽出,分析を行った.全ての著者は最終原稿を読み,承認した.