2026 Volume 46 Pages 653-666
目的:脳卒中患者対象の介入研究におけるセルフモニタリング法(SM法)とその結果,研究ギャップを明らかにした.
方法:JBIガイドラインに基づくスコーピングレビューを実施した.
結果:SM法はセルフマネジメント介入の一部として,身体・活動・行動・心理指標を複合的に測定,観察,記録し,フィードバックを行う方法が用いられた.その結果,知識・技術の獲得,身体・活動・行動・心理・社会的指標の改善,QOL向上,入院日数減少が報告された.一方で,モニタリング項目は標準化されておらず,脳卒中特異的な生理学的指標・症状は含まれなかった.また,結果の不均一性があり,エビデンスは未確立であった.
結論:セルフマネジメント介入の一部として,複合的指標のモニタリングとフィードバックの有用性が示唆され,研究ギャップは,SM法単一の効果は不明確で,モニタリング項目は標準化されておらず,エビデンスが未確立と特定された.
Objective: To clarify self-monitoring strategies and their outcomes in intervention studies targeting stroke patients, and to identify research gaps.
Methods: A scoping review was conducted based on the Joanna Briggs Institute (JBI) guidelines.
Results: Self-monitoring strategies were implemented as a component of comprehensive self-management interventions. These strategies involved multidimensional assessment, observation, and documentation of physical, activity-related, behavioral, and psychological indicators. Data were shared with healthcare professionals and feedback was provided. Reported outcomes included improvements in knowledge and skill acquisition, physical and psychological functioning, behavioral and social indicators, enhanced quality of life, and reduced hospitalization duration.
However, monitoring items were not standardized, and stroke-specific physiological indicators or symptoms were not included. In addition, outcome heterogeneity was observed across studies, and the evidence remains inconclusive.
Conclusion: As part of self-management interventions, the usefulness of self-monitoring strategies involving multidimensional monitoring and feedback was suggested. However, research gaps were identified, including the unclear effects of self-monitoring strategies alone, the lack of standardization of monitoring items, and insufficient evidence for self-monitoring strategies.
慢性疾患患者の健康状態,QOL(quality of life)の向上を果たすためには,セルフマネジメントが求められる.セルフマネジメントには,医学的マネジメント(medical management),役割マネジメント(role management),感情マネジメント(emotional management)の3つの概念が包含され,医学的マネジメントにおいては,セルフモニタリングが必要とされる(Van de Velde et al., 2019).セルフモニタリングとは「自らの病気や健康を適切に管理するために,身体症状,感覚,日常活動,認知プロセスを自覚し,測定,記録,観察すること」と定義される(Wilde & Garvin, 2007).セルフマネジメントを高めるためには,健康状態とその管理状態の継続的モニタリングが必要であり(Miller et al., 2015),セルフモニタリングは,慢性疾患患者の健康状態,QOLの向上において不可欠な要素である.
セルフモニタリングはその定義から,患者本人の健康管理行動を意味する.一方で,先行研究では,医療従事者の支援を含む介入研究が報告されている.本研究では,このような支援を含む,セルフモニタリングの方法を示す用語として,「セルフモニタリング」とは区別して「セルフモニタリング法」という用語を用いる.
セルフモニタリングにおける測定・観察・記録項目(以下,モニタリング項目)については,その定義からは,身体症状,感覚,日常活動,認知プロセスを含むことが望ましい.しかし,実際には身体指標や身体症状に特化した方法が多数報告されている.また,身体指標,症状については,疾患特異性がある.その効果については,高血圧症患者を対象とした介入研究のメタアナリシスで降圧効果が検証されている(Khoong et al., 2021;Tucker et al., 2017).また,高血圧症,心不全,慢性閉塞性肺疾患のメタアナリシスでは,入院・再入院の減少が報告されている(McBain et al., 2015).しかし,どのようなセルフモニタリング法で患者アウトカムの改善を果たすかについては,十分なエビデンスがない.
特に,脳卒中患者を対象としたセルフモニタリング法についての知見は少なく,PubMed,CINAHL with Full Text,APA PsycINFO,医学中央雑誌Webにおいて,メタアナリシス,システマティックレビューは検索されず,その方法と効果は不明確であった(検索日:2024年12月24日).脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2025]では,脳卒中の「危険因子の管理」における生理学的指標として,高感度C-reactive protein,ヘマトクリット,凝固・線溶系が示されているが(伊藤,2025),健康状態やその管理状態を反映する疾患特異的な生理学的指標に乏しい.また,脳卒中は急性期以降の自覚症状の変化にも乏しい.さらに,複数の危険因子の管理に加えて,うつ,意欲低下,疲労などの脳卒中に合併する症候の管理が同時に求められ,脳卒中後の健康状態とその管理状態のモニタリングは極めて難しく,脳卒中患者を対象としたセルフモニタリング法の確立の必要性がある.
そこで,本研究では,Review Questionを「国内外の脳卒中患者を対象とした介入研究におけるセルフモニタリング法とその結果,および,無作為化比較試験(randomized controlled trial: RCT)で患者アウトカムの改善が報告された研究において,どのようなセルフモニタリング法が用いられていたか」と設定した.研究目的は,Review Questionに対する答えを導き,研究ギャップを特定することである.なお,予備検索において,患者のみで実践されたセルフモニタリング法は検索されず,介入研究においてセルフモニタリング法が報告されていたため,本研究では介入研究に限定した.本研究は,脳卒中における疾患特異性を考慮したセルフモニタリング法の確立において意義がある.
用語の定義セルフマネジメント
積極的で,責任感があり,情報に通じ,自律的な個人が,ソーシャルネットワークや医療従事者と協働して,慢性疾患による医学的,役割的,感情的な影響とともに生きるための,本質的にコントロールされた能力(Van de Velde et al., 2019).
セルフモニタリング
自らの病気や健康を適切に管理するために,身体症状(symptoms),感覚(sensations),日常活動(activities),認知プロセス(cognitive processes)を自覚し,測定,記録,観察すること(Wilde & Garvin, 2007).
セルフモニタリング法
「セルフモニタリング」とは区別して,本研究では,患者および医療従事者等支援者による健康管理の方法として,Wilde & Garvin(2007)のセルフモニタリングの定義を引用して,以下の操作的定義を行う.
セルフモニタリング法とは,患者が自らの病気や健康を適切に管理するために,身体症状,感覚,日常活動,認知プロセスを自覚し,測定,記録,観察する健康管理方法および,医療従事者等によるその支援方法.
脳卒中患者を対象とした介入研究におけるセルフモニタリング法について,先行するメタアナリシスやシステマティックレビュー,その他のレビューは確認されなかったこと,研究デザインや介入の多様性から定量的統合が困難であったこと,先行研究で明らかになっていることを整理し,研究ギャップを特定する段階にあると判断されたことから,スコーピングレビューを採用した.
2. レビュープロトコル本研究はThe Joanna Briggs Institute(JBI)のガイダンス(Peters et al., 2020;沖田ら,2021),報告ガイドラインthe Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses extension for Scoping Reviews(the PRISMA-ScR)(Tricco et al., 2018;友利ら,2020)に基づいて実施し,プロトコルはOpen Science Framework(https://osf.io/utd3n/)に事前登録した(Sato, 2025).
3. 文献検索データベースPubMed,CINAHL with Full Text,APA PsycINFO,医学中央雑誌Webを用いた.各データベース開設年から2024年12月までに登録されている文献を検索対象とした.データベースの選択においては,医学,看護学,行動科学分野の研究を,時間と資源の制約の中で実現可能な範囲で最も網羅的に検索できる方法を選択した.
4. 検索語・検索式検索語は「セルフマネジメント(self-management)」「セルフモニタリング(self-monitoring)」「脳卒中(stroke)」とした.予備検索でセルフモニタリング法は,セルフマネジメント介入の一つとして用いられることがあり,「セルフマネジメント」を検索語に加えることで,網羅的に文献を検索できることを確認した.
検索式は「セルフマネジメント」と「脳卒中」,「セルフモニタリング」と「脳卒中」で,それぞれAND検索を行った.検索条件は,PubMed,CINAHLでは「Clinical Trial」「Randomized Controlled Trial」,PsycINFOでは「Clinical Trial」,医学中央雑誌Webでは「原著論文」に限定した.
JBIのガイダンス(Peters et al., 2020)では,検索戦略は時間と資源の制約の中で,できるだけ網羅的であることが推奨される.検索条件を限定しないことが望ましいが,ガイダンスに基づき,研究の実現可能性,必要性,重要性,研究倫理の観点から総合的に判断して,検索条件を限定した.なお,限定による該当文献の脱落を防止するため,同様の検索語で網羅的検索が行われた先行研究(佐藤ら,2019)と,それ以降に発行された文献の予備検索から,本研究のスクリーニングに含まれると推定されるキー論文を12件抽出し,検索条件を限定しても,キー論文の全てが検索結果に含まれることを確認した.なお,「Clinical Trial」は,研究参加者が1つ以上の介入を受ける臨床研究の結果を報告した文献であり,研究プロトコルによって割り当てられるため,Feasibility Studyや質的記述的研究等,多様な研究デザインが含まれる.
5. 適格基準「Participants」は18歳以上の脳卒中患者,「Concept」はセルフモニタリング法が用いられている介入研究,「Type of source」は学術論文,「Context」は国内外とした.
6. 除外基準除外基準は,灰色文献(学術集会抄録,学位論文,報告書等),商業雑誌,総説,レビュー論文,事例・症例報告,プロトコル論文,実態調査,文献タイトルに「脳卒中/stroke」「脳梗塞/cerebral infarction」「脳出血/cerebral hemorrhage」「くも膜下出血/subarachnoid hemorrhage」を含まないとした.除外理由は,セルフモニタリング法の具体的な方法論とその結果を明らかにするという研究目的を果たすため,また,文献の一定の質を保障するためである.なお,タイトルに上記用語を含まないために除外された文献の中に,該当文献が含まれないことを確認した.
7. 文献抽出方法各文献データベースで検索された文献から重複文献を削除した.次いで,除外基準に該当する文献を削除した.続いて,一次スクリーニングとして,2名の著者が独立して,文献のタイトルと抄録を読み,適格基準に合致すると思われる文献を抽出した.さらに,二次スクリーニングとして,2名の著者が独立して,フルテキストを読み,適格基準に合致する文献を抽出した.文献選択においては,2名の著者の見解が一致するまで検討することで,全ての不一致を解消した.
8. データ抽出方法文献から,2名の著者が共同して,著者名,出版年,国,研究デザイン,研究目的,および,研究対象者(対象数,年齢,重症度),介入(介入方法,介入時期,介入場所),対照,セルフモニタリング法(モニタリング項目とその方法),アウトカム,結果を抽出し,要約して記述した.
各データベースから検索された文献549件のうち,重複文献を削除すると486件となった.このうち,除外基準に該当する文献を削除すると136件となった.この文献から,適格基準に該当する文献をスクリーニングした結果,36文献が抽出され,これを分析対象とした(図1)(付録1)(付録2).

分析対象文献の抽出過程度示す.
データベースから549件の文献が検索され,適格性の評価の結果,36件の文献が採用された.
文献は2004年以降に出版されていた.出版国は,アメリカ,イギリス,中国,日本が最も多く,各7件(各19.4%),次いで,オーストラリア3件(8.3%)等であった.研究デザインは,RCT 17件(47.2%),Feasibility study 7件(19.4%),Pilot RCT 6件(16.7%),比較群をもつプレテスト-ポストテスト2件(5.6%),1群プレテスト-ポストテスト2件(5.6%)等であった.介入の焦点は,療養生活対する包括的介入16件(44.4%),運動機能障害8件(22.2%),高血圧5件(13.9%),低身体活動3件(8.3%),体重管理2件(5.6%),情動機能障害1件(2.8%),呼吸機能障害1件(2.8%)であった(付録3).
3. 脳卒中患者を対象とした介入研究におけるセルフモニタリング法とその結果 1) 研究対象者研究対象者の年齢下限は「18歳」が17件(47.2%)と最も多かった.年齢上限は「85歳」3件(8.3%),「80歳」1件(2.8%),「99歳」1件(2.8%)であり,「設定なし」または論文中に記述のないものが31件(86.1%)であった.
障害の重症度は,modified Rankin Scale(mRS),Functional Ambulation category,National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)等の様々な基準で評価され,主として,軽度から中等度の障害をもつ者が対象とされた.中には,中等度から重度の障害も含まれた.
2) 介入方法セルフモニタリング法単一の介入はなく,全てにおいて,包括的なセルフマネジメント介入の一部としてセルフモニタリング法が取り入れられていた.
介入内容には,セルフモニタリング法に加えて,教育,情報提供,コーチング,動機づけ,自己効力感の向上支援,医療従事者とのパートナーシップ形成,目標設定,行動計画の立案・実践・評価・修正,医療従事者またはアプリケーションを活用した計画進捗状況確認,意思決定支援,医療従事者またはアプリケーションを活用したフィードバック,家庭訪問,遠隔ビデオ訪問,電話相談,薬剤の分包,薬剤の調整,ピアサポート,セルフマネジメント支援ツールの提供(教材,ワークブック,日誌・手帳,ステッカー,血圧計,身体活動計,リハビリテーション用具,計量カップ,巻尺,タブレット端末,アプリケーション),介護者によるセルフマネジメント支援,介護者負担への対処,緊急時等のホットラインが含まれた.
介入時期は,脳卒中治療ガイドライン(日本脳卒中学会脳卒中ガイドライン委員会,2025)等の時期区分を参考に,発症から1か月以内で主として入院中の時期を「急性・亜急性期」,発症後1~3か月程度で在宅移行の時期を「回復期」,発症後3か月以降で主として在宅療養の時期を「生活期」と区分すると,運動機能障害に対する介入は急性・亜急性期から生活期まで,低身体活動に対する介入は回復期・生活期,呼吸機能障害・情動機能障害・体重管理・高血圧に対する介入は生活期,療養生活に対する包括的介入は退院前後の在宅移行期を含む時期が最も多かった(図2).

モニタリング項目は,生体指標については「血圧・脈拍」18件(50.0%)が最も多く,次いで「体重」3件(8.3%)等であった.症状については「自覚症状・慢性症状」4件(11.1%)であった.身体活動については「歩数」5件(13.9%),「麻痺側上肢使用状況」3件(8.3%),「身体活動・活動時間・活動強度」7件(19.4%)等であった.生活習慣・ライフスタイルについては「食事内容・脂質量・摂取カロリー」3件(8.3%),「座位中心生活スタイル」2件(5.6%)であった.行動指標については,「トレーニング実践状況」5件(13.9%),「課題遂行状況・計画進捗状況・目標達成進捗状況」6件(16.7%),「コンプライアンス行動」2件(5.6%)であった.心理指標については「課題・計画遂行の難易度」1件(2.8%),「主観的健康観」1件(2.8%)であった(表1).
n = 36
脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2025](伊藤,2025)には,危険因子の管理における生理学的指標が示されているが,これらはモニタリング項目に含まれなかった.また,脳卒中に特異的な症状は含まれず,「自覚症状・慢性症状」と,抽象度の高い項目であった.
測定・観察・記録方法は,測定機器(血圧計,体重計,身体活動計,録画機器),測定用具(質問紙:尺度,主観的評価法,チェック表),アプリケーションを用いて測定,観察し,記録媒体(紙,電子)に手動または自動で記録され,定期的またはリアルタイムに医療従事者と共有される.そして,面談時やアプリケーションを通して,定期的またはリアルタイムにフィードバックを与える方法であった.測定・観察・記録に加えて,医療従事者とのモニタリングデータの共有,フィードバックを含む方法が明記されていた研究は18件(50%)であった.近年は,セルフモニタリング法へのアプリケーションや電子記録媒体の活用,リアルタイムなモニタリングとフィードバックを可能にする方法が報告されていた(Brouns et al., 2021;Doogue et al., 2023;Fusari et al., 2022;Ifejika et al., 2020;Kim et al., 2024;Lakshminarayan et al., 2018;Lam et al., 2024;Lo et al., 2023b;Naqvi et al., 2023;Towfighi et al., 2021).
4) アウトカムアウトカムは,療養生活管理に関連する知識・技術・行動,身体機能(上肢機能,歩行機能,言語機能,呼吸機能,嚥下機能),身体活動,生活習慣・ライフスタイル,心理機能(自己効力感,不安,うつ,心理的well-being),社会機能(参加),生体指標(血圧,体重,ウエスト・腕周囲径,HbA1c,血糖値,血中脂質,メタボリックシンドローム,心血管イベント発症リスク),症状(疼痛,疲労,睡眠障害),QOL,入院回数・日数と設定されていた.
5) 結果介入の結果,受容性と実現可能性が検証され,療養生活管理に関連する知識・技術・行動の獲得,身体機能の改善,身体活動増加,生活習慣・ライフスタイル改善,心理機能の改善,社会機能の改善,生体指標の改善,症状の改善,QOLの向上,入院回数・日数の減少が報告されていた(表2).ただし,分析対象文献のうちRCT 17件(47.2%),Feasibility study 7件(19.4%),Pilot RCT 6件(16.7%)等と,研究のフェーズや研究デザインは様々であった.
n = 36
有害事象として,不安,抑うつ,倦怠感・疲労感,筋肉痛,皮膚障害,骨折が報告されていた.また,課題として,セルフモニタリング法の実践において支援を要すること,意欲低下によるセルフモニタリング法の中断,測定機器の紛失,車いす利用者における活動測定の困難さ,自己申告の不確実性,介入が高コストになる可能性等が報告されていた.
4. 患者アウトカムの改善が報告されたRCTにおけるセルフモニタリング法RCT 17件において,主要評価項目に統計学的有意差が認められた研究は11件(64.7%),副次評価項目のみに有意差が認められた研究は4件(23.5%),その両方に有意差が認められなかった研究は2件(11.8%)であった(表3).
| 著者名(出版年) | 研究対象者 | 介入 | 対照 | 介入期間 | セルフモニタリング法 | アウトカム | 結果 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 対象数 | 年齢 | 障害の重症度 | 測定・観察・記録項目 | 測定・観察・記録方法 | (主要評価項目・副次評価項目) | 主要評価項目・副次評価項目の結果 | ||||
| 【運動機能障害に対する介入研究:8件中RCT 1件】 | ||||||||||
| McClellan et al.(2004) | 介入:15名 対照:11名 |
45歳以上 | Motor Assessment Scale(Item 5):0~6(歩行障害あり) | 【在宅mobility program】 ・運動処方:立位・歩行改善を目的とした処方 ・運動指導:ビデオ録画で指導 ・運動実践:在宅でビデオ録画を見ながら実践 ・実践状況の記録 ・セラピストからのフィードバック |
【上肢運動プログラム】 上肢機能改善を目的とした運動処方 |
6週間 | トレーニングの実践状況 | 実践状況を記録し,セラピストからフィードバックを受ける. | ・立位;Functional Reach Test ・歩行機能;Motor Assessment Scale ・QOL;Stroke-adapted 30-item version of the Sickness Impact Profile(SA-SIP30) |
・介入群の立位(Functional Reach Test)改善. ・歩行機能,QOLに有意差なし. |
| 【低身体活動に対する介入研究:3件中RCT 2件】 | ||||||||||
| Ashizawa et al.(2022) | 介入:30名 対照:31名 |
50歳以上 | 軽症 | 【sedentary behavior(SB)を低減させる介入】 ・教育 ・座位中心行動の改善を目的としたステッカーの配布 ・目標設定 ・身体活動計の装着,座位中心行動・歩数のセルフモニタリング ・電話支援:励まし ・フィードバック |
・教育 ・身体活動計の装着 ・歩数のセルフモニタリング ・フィードバック |
3か月間 | ・sedentary behavior(SB) ・歩数 |
身体活動計で測定,記録,理学療法士からフィードバック | 主要評価項目 ・sedentary behavior(SB)割合(1.5 METs以下) 副次評価項目 ・低強度身体活動(1.6~2.9 METs) ・中・高強度身体活動(3.0 METs以上) ・歩数 ・Screen time ・うつ ・睡眠障害 |
主要評価項目 ・介入群のsedentary behavior(SB)割合減少. 副次評価項目 ・介入群の中・高強度身体活動割合増加,歩数増加. ・その他の副次評価項目に有意差なし. |
| Ashizawa et al.(2023) | 介入:43名 対照:43名 |
50歳以上 | NIHSS ≦ 5 | 【sedentary behavior(SB)を低減させる介入】 ・教育 ・座位中心行動の改善を目的としたステッカーの配布 ・目標設定 ・身体活動計の装着,座位中心行動・歩数のセルフモニタリング ・電話支援:励まし ・フィードバック |
・教育 ・身体活動計の装着 ・歩数のセルフモニタリング ・フィードバック |
3か月間 | ・sedentary behavior(SB) ・歩数 |
身体活動計で測定,記録,理学療法士からフィードバック | 主要評価項目 ・sedentary behavior(SB)割合の変化 副次評価項目 低強度身体活動,中・高強度身体活動,歩数,Screen time,身体活動自己効力感,うつ,睡眠障害の変化 |
主要評価項目 ・介入群のsedentary behavior(SB)割合減少. 副次評価項目 介入群の低強度身体活動割合,中・高強度身体活動割合,歩数増加. 介入群のScreen time減少. 介入群の身体活動自己効力感,うつ,睡眠障害改善. |
| 【体重管理に対する介入研究:2件中RCT 1件】 | ||||||||||
| Driver et al.(2023) | 介入:33名 対照:32名 |
18~85歳 | ― | 【脳卒中患者に対する糖尿病予防プログラム】 ・プログラム目標:5~7%減量,カロリー摂取量制限,身体活動量増加. ・糖尿病予防プログラムを脳卒中患者用に改訂して提供. ・介護者による支援(交通,カロリーカウント,食事の準備など). ・専門家による支援(理学療法士,栄養士,脳卒中当事者など). ・目標設定,障壁克服の行動計画立案 ・食事摂取量,身体活動量のセルフモニタリング ・フィードバック ・支援ツール:脳卒中再発予防コンテンツ,身体活動量計 |
6か月間待機後に介入 | 6か月間 | ・食事摂取量(カロリーと脂質グラム) ・身体活動(分,内容,歩数) |
食事摂取量と身体活動量を測定し(歩数は身体活動計で測定),記録用紙または電子媒体で記録し,フィードバック. | 主要評価項目 ・体重,BMI 副次評価項目 ウエスト・上腕周囲径,血圧,HbA1c,血糖,脂質,メタボリックシンドローム重症度,糖尿病リスク,歩行試験,QOL,Health Practices scale,疼痛,生活習慣,アルコール |
主要評価項目 ・介入群の体重,BMI減少. 副次評価項目 ・6か月の介入期間における介入群の上腕周囲径,HDLコレステロール,糖尿病リスク,痛み改善. ・12か月における介入群のウエスト周囲径,HbA1c,拡張期血圧,痛み,社会的参加,食習慣,生活習慣の改善. |
| 【高血圧に対する介入研究:5件中RCT 1件】 | ||||||||||
| Mackenzie et al.(2013) | 介入:29名 対照:27名 |
18歳以上 | ― | 【高血圧に対する看護師主導のケースマネジメントプログラム】 ・専門医による血圧の評価・治療,薬剤の簡素化,服薬カウンセリング ・血圧計配布 ・薬剤の分包 ・電話相談:高度実践看護師による,脳卒中ベストプラクティスに基づく支援. |
通常ケア | 6か月間 | 血圧 | 血圧計で測定 | ・血圧 ・服薬自己効力感 ・服薬アドヒアランス |
血圧,服薬自己効力感,服薬アドヒアランスに有意差なし. |
| 【療養生活に対する包括的介入研究:16件中RCT 12件】 | ||||||||||
| Sit et al.(2007) | 介入:107名 対照:83名 |
18歳以上 | 軽症 | 【Community-based stroke prevention program】 ・教育:脳卒中,服薬管理,健康的なライフスタイル ・目標設定,計画立案,問題解決支援.専門家のフィードバック. ・セルフモニタリングスキルの獲得支援 |
・通常ケア ・教材の配布 |
8週間 | ・血圧 ・身体活動 |
血圧計,活動計で測定し,手帳に記録. | ・脳卒中に関する知識 ・血圧測定の実施率 ・健康管理行動(服薬,タバコ・アルコール摂取量,運動,食事) |
介入群の脳卒中の知識,発症時の受診行動の知識,血圧測定の実施率,服薬コンプライアンス,食習慣(減塩)改善 |
| Sit et al.(2016) | 介入:105名 対照:105名 |
― | ― | 【Health Empowerment Intervention for Stroke Self-management (HEISS)】 ・看護師とのパートナーシップの形成 ・目標設定と行動計画の立案 ・血圧,慢性症状のセルフモニタリング ・セルフマネジメントスキルの習得 ・自己効力感支援:成功体験,言語的説得,代理体験,生理学的フィードバック ・支援ツール:脳卒中セルフマネジメントワークブック ・電話フォローアップ:肯定的行動を奨励,称賛,障壁克服の問題解決スキル提供 |
通常ケア | 13週間 | ・血圧 ・慢性症状 |
血圧計,主観的評価法で測定・観察 | ・セルフマネジメント行動 ・自己効力感 ・身体機能(modified Barthel index; BI, instrumental ADL; IADL) |
介入群のセルフマネジメント行動,自己効力感,身体機能改善. |
| Chen et al.(2016) | 介入:45名 対照:48名 |
18歳以上 | NIHSS < 15 | 【退院支援におけるエンパワメント理論に基づくセルフマネジメントモデル】 ・患者・介護者の健康状態,機能状態,知識,問題,療養目標の把握,評価. ・個人教育:脳卒中に関する教育,目標設定,問題解決支援.教材配布. ・グループ教育:脳卒中とセルフマネジメントスキルに関するDVD視聴経験の共有,励まし,目標に対する誓約,肯定的なフィードバック. ・退院評価と計画立案:退院支援サービス検討会開催.目標設定と計画立案. ・コミュニティサービスへの移行支援:情報共有.リハビリテーション支援,心理的支援. ・電話支援:電話での実践状況把握,健康相談,24時間ホットライン. |
通常ケア | 病状安定後~退院後4週間 | 目標達成に向けた進捗状況 | 主観的評価法で観察し,記録. | ・自己効力感 ・セルフマネジメント行動 ・生活自立度 ・QOL ・抑うつ |
介入群の自己効力感,服薬遵守を除くセルフマネジメント行動,生活自立度,QOL,抑うつ改善. |
| Cheng et al.(2018) | 介入:204名 対照:200名 |
40歳以上 | ― | 【Systemic Use of STroke Averting Interventions (SUSTAIN)】 ・グループおよび個別のクリニック:脳卒中教育,セルフマネジメント強化 ・血圧のモニタリング:電話や個別訪問で自宅の血圧測定を追跡. ・意思決定支援:脳卒中予防ガイドライン遵守強化のデジタル意思決定支援 ・支援ツール:レポートカード,血圧計 |
・通常ケア ・米国心臓協会の教材配布 |
10か月間 | 血圧 | ― | 主要評価項目 ・収縮期血圧 副次評価項目 ・コレステロール値(LDL),抗血栓薬の服用の有無,禁煙,身体活動,新たな脳卒中・心血管イベントの発生,心血管イベント10年リスク ・医療サービス受給状況 |
主要評価項目 ・収縮期血圧に有意差なし. 副次評価項目 ・LDL <100 mg/dLのサブグループにおいて,介入群のLDLが有意に改善. ・mid-level provider受診回数は介入群が有意に高い. 全医療サービス受診回数には有意差なし. ・その他の副次評価項目に有意差なし. |
| Fukuoka et al.(2019) | 介入:156名 対照:165名 |
40~80歳 | mRS: 0~3 | 【Disease Management Program (DMP)】 ・教材とセルフマネジメント手帳を用いた脳卒中危険因子のマネジメント支援. ・手帳にライフスタイル改善目標,血圧,体重測定結果を記録. ・看護師は,対象者,医師と共同して,個々の目標達成を支援. ・セルフモニタリングデータの異常や自覚症状の発症・悪化は,直ちに医師に報告. ・診療ガイドラインに基づく治療・ケアの提供. |
・教育 :脳卒中危険因子管理の要点 ・セルフマネジメント手帳配布 ・標準的な相談支援 |
6か月間 | ・血圧 ・体重 ・自覚症状 |
血圧計,体重計を用いて測定し,セルフマネジメント手帳に記録.医療従事者とモニタリングデータの共有,治療・ケアの提供. | 主要評価項目 ・フラミンガムリスクスコア 副次評価項目 ・脳卒中再発率 ・心血管疾患発症率 ・全死因死亡率 |
主要評価項目 ・群間でフラミンガムリスクスコアに有意差なし. 副次評価項目 ・群間で脳卒中再発率,心血管疾患発症率,全死因死亡率に有意差なし. |
| Duncan et al.(2020) | 介入:2,689名 対照:3,193名 |
18歳以上 | ― | 【Comprehensive Post-Acute Stroke Services (COMPASS)】 ・教育,二次予防,リハビリテーション,コミュニティ資源紹介,介護者支援の提供 ・血圧のモニタリング ・電話支援 ・クリニック受診 ・支援ツール:教材 |
・通常ケア ・血圧に関する教材 ・血圧のモニタリング |
12か月間 | 血圧 | ― | 主要評価項目 ・機能状態(Stroke Impact Scale) 副次評価項目 ・障害の主観的評価 ・服薬アドヒアランス ・うつ ・認知機能 ・主観的健康観 ・疲労 ・ケア満足度 ・死亡率 ・血圧モニタリング実施率 ・転倒 ・身体活動 |
主要評価項目 ・群間で機能状態に有意差なし. 副次評価項目 ・介入群の血圧モニタリング実施率が高い. ・その他の副次評価項目に有意差なし. |
| Towfighi et al.(2021) | 介入:241名 対照:246名 |
40歳以上 | ― | 【Secondary Stroke Prevention by Uniting Community and Chronic Care Model Teams Early to End Disparities (SUCCEED)】 ・クリニック受診:薬剤調整,服薬アドヒアランス,セルフマネジメントスキル強化. ・家庭訪問,電話支援,危険因子管理,ケア調整 ・Chronic Disease Self-Management Program(CDSMP)ワークショップ ・支援ツール:血圧計配布,血圧のモニタリング,心血管危険因子目標管理ツール,患者情報,目標,意思決定支援,プロトコル,評価ツール,タスク,教材への即時アクセス可能なアプリケーション |
・通常ケア ・教材,血圧計配布 |
12か月間 | 血圧 | 血圧計で測定し,モバイル/ウェブアプリケーションで記録. | 主要評価項目 ・収縮期血圧の変化 副次評価項目 ・血中脂質,HbA1c,CRP,肥満度,腹囲,身体活動,果物・野菜摂取量,炭酸飲料摂取量,塩分摂取量,喫煙,抗血栓薬 ・ヘルスリテラシー,脳卒中リスク,脳卒中リテラシー,服薬アドヒアランス,血圧モニターの使用,自己効力感,禁煙の意向,ケアへのアクセス |
主要評価項目 ・群間で収縮期血圧の変化に有意差なし. 副次評価項目 ・介入群の塩分摂取量減少者割合が高い. ・介入群の血圧モニター使用,クリニック受診予約回数,スタチン使用の増加が高い. ・その他の副次評価項目に有意差なし. |
| Kam Yuet Wong et al.(2022) | 介入:58名 対照:58名 |
18歳以上 | NIHSS: 4~16 mRS: 2~4 |
【The structured 4C, home-based post-discharge program (4C-HBP)】 ・教育:血圧モニタリング,服薬,日常生活,リハビリテーション等. ・目標設定 ・問題解決支援:知識,セルフモニタリングスキル,問題解決スキルの提供. ・運動処方:1日90分,週5日のタスク型運動処方. ・血圧・症状の記録:定期的に看護師が記録を確認し,目標・行動計画を修正. ・進捗状況確認:計画の進捗状況のモニタリング ・ケースマネジメント:必要時,専門家への紹介. ・看護師管理のホットライン ・支援ツール:リハビリテーション用具,情報冊子,血圧・症状の記録ツール. |
通常ケア | 12週間 | ・血圧 ・症状 |
血圧測定,症状観察を行い,記録用紙に記録. | 主要評価項目 ・健康状態(EQ-5D-5L) 副次評価項目 ・Stroke Impact Scale(SIS),ADL,自己効力感 |
群間で,健康状態,SIS,ADL,自己効力感において有意な交互作用効果. |
| Sakakibara et al.(2022) | 介入:64名 対照:62名 |
50歳以上 | mRS: 1~4 | 【Telehealth coaching】 ・ライフスタイルコーチング,動機づけ支援,目標設定 ・支援ツール:セルフマネジメントマニュアル,セルフモニタリングキット(血圧計,歩数計,ウエスト・ヒップ測定巻尺,食事・身体活動日誌),健康レポートカード(身体活動・食事・ストレス・喫煙,血圧・空腹時血糖・コレステロールの脳卒中危険因子のグレードを記載) |
【記憶トレーニングプログラム】 ・電話での記憶コーチング ・トレーニングマニュアル配布 ・手帳の配布 |
6か月間 | ・血圧 ・身体活動 ・ウエスト・ヒップ径 ・食事 |
血圧計,歩数計,巻尺で測定,食事内容を観察し,日誌に記録. | 主要評価項目 ・ライフスタイル行動 副次評価項目 ・心血管危険因子,健康関連QOL,認知機能,抑うつ症状 |
主要評価項目 ・群間でライフスタイル行動に有意差なし. 副次評価項目 ・介入群のHbA1c,健康関連QOLが改善. その他の副次評価項目に有意差なし. |
| Lo et al.(2023a) | 介入:67名 対照:67名 |
18歳以上 | mRS ≧ 3 | 【Coaching Ongoing Momentum Building On stroKe rEcovery journeY (COMBO-KEY)】 ・家庭訪問:対象者と共に目標・行動計画立案. ・計画実践:計画実践,実践状況の記録,肯定的フィードバック. ・進捗状況確認:健康状態とプログラムの進捗状況を確認. ・電話支援:対象者の行動計画実行を支援. ・ホットライン電話 ・支援ツール:ワークブック,同病患者の体験に関するビデオなど. |
通常ケア | 8週間 | 計画の実践状況 | 計画の実践状況を自己評価して記録し,フィードバックを得る | 主要評価項目 ・自己効力感 副次評価項目 ・セルフマネジメント行動,QOL,Community Reintegration(社会復帰) |
主要評価項目 ・介入群の自己効力感向上. 副次評価項目 ・介入群のセルフマネジメント行動,QOL,Community Reintegration改善. |
| Lo et al.(2023b) | 介入:169名 対照:166名 |
18歳以上 | ― | 【Virtual Multidisciplinary Stroke Care Clinic (VMSCC)】 ・血圧モニタリング:値はアプリケーションを介して,看護師と共有. ・ビデオ支援:対象者・介護者の知識・スキル強化,介護者負担への対処. ・電話支援:対象者・介護者の感情,ニーズの表出. ・ホットライン電話:サービス調整.緊急時の医療対応. ・支援ツール:タブレット端末,ワイヤレス血圧計. |
通常ケア | 6か月間 | 血圧 | 血圧計で測定し,アプリケーションに保存,看護師と共有 | 主要評価項目 ・自己効力感 副次評価項目 ・自己管理行動 ・社会参加 ・うつ |
主要評価項目 ・介入群の自己効力感改善 副次評価項目 ・介入群の社会参加,うつ改善 ・群間で自己管理行動には有意差なし. |
| Lam et al.(2024) | 介入:141名 対照:115名 |
18歳以上 | ― | 【Virtual Multidisciplinary Stroke Care Clinic (VMSCC)】 (同上) |
通常ケア | 6か月間 | 血圧 | 血圧計で測定し,アプリケーションに保存,看護師と共有 | ・費用対効果 人件費,ビデオ通話等保守費用,ハードウェア(タブレット,血圧計),インターネット料金 |
・介入群の緊急入院回数,入院日数は減少. ・介入群は高コストとなる可能性. |
―;論文中または別に公表されているプロトコルに該当する記載なし.
RCT;randomized controlled trial.mRS;modified Rankin Scale:0;全く症候がない,1;症候はあっても明らかな障害はない,2;軽度の障害,3;中等度の障害,4;中等度から重度の障害,5;重度の障害,6;死亡.NIHSS;National Institutes of Health Stroke Scale:得点範囲0~42.高得点ほど神経学的重症度が高い.QOL;Quality of Life.
RCTで主要評価項目および副次評価項目に有意差が認められた研究においては,モニタリング項目に,生体指標,症状,身体活動,生活習慣・ライフスタイル,行動指標,心理指標が複合的に含まれた.また,測定・観察・記録方法は,測定機器,測定用具,アプリケーションを用いて測定,観察し,記録媒体に手動または自動で記録され,定期的またはリアルタイムに医療従事者と共有され,面談時やアプリケーションを通して,定期的またはリアルタイムにフィードバックを与える方法であった.アウトカムは主として,療養生活管理に関連する知識・技術・行動,身体機能,身体活動,生活習慣・ライフスタイル,心理機能,社会機能,QOL,入院回数・日数と設定されていた.
一方で,主要・副次評価項目のいずれにおいても有意差が認められなかった研究においては,1件は血圧のみを測定する方法(Mackenzie et al., 2013)であった.また,アウトカムは,血圧,服薬自己効力感,服薬アドヒアランス(Mackenzie et al., 2013),血圧,Framingham Risk Score,脳卒中再発率,心血管疾患発症率,死亡率(Fukuoka et al., 2019)と設定されていた.
主要・副次評価項目に有意差が認められた研究では,モニタリング項目が複合的であり,モニタリングデータが医療従事者と共有され,フィードバックを与える方法をとる傾向が見出された.また,アウトカムは知識・技術・行動等の生体指標以外に設定する傾向があった.一方で,有意差が認められなかった研究のうち1件については,モニタリング項目が生体指標等に限定的であり,アウトカムを生体指標に設定する傾向が見出された.
5. レビュー結果から特定された研究ギャップセルフモニタリング法単一の介入はなく,セルフモニタリング法とその結果には不均一性が認められた.このレビュー結果から,研究ギャップは,脳卒中患者を対象としたセルフモニタリング法単一の効果は不明確であること,脳卒中患者を対象としたセルフモニタリング法におけるモニタリング項目は標準化されていないこと,脳卒中患者を対象としたセルフモニタリング法のエビデンスが未確立であること,と特定された.
本研究の結果,下記が新たに明らかになった.脳卒中患者を対象とした介入研究におけるセルフモニタリング法は,包括的なセルフマネジメント介入の一部に組み込まれ,身体・活動・行動・心理指標を複合的に測定,観察,記録し,医療従事者と共有,フィードバックを与える方法であった.対象範囲は,年齢,障害の重症度ともに幅広く,介入の時期も,急性期から生活期まで幅広く適用されていた.その結果として,知識・技術・行動の獲得,身体・活動・行動・心理・社会的指標の改善,QOL向上,入院日数減少が報告されていた.また,患者アウトカムの改善が報告されたRCTにおけるセルフモニタリング法においては,モニタリング項目が複合的であり,データが医療従事者と共有され,フィードバックを与える方法をとり,アウトカムを知識・技術・行動等の生体指標以外にも設定する傾向が見出された.この知見から,脳卒中は特異的な生体指標や症状変化に乏しいものの,セルフマネジメント介入の一部として,複合的なモニタリング項目を設定し,医療従事者と共有,フィードバックを与える方法の有用性が示唆された.
研究ギャップとして,セルフモニタリング法単一の効果は不明確であること,モニタリング項目が標準化されていないこと,エビデンスが未確立であることから,今後,項目の標準化,エビデンスの構築が求められる.単一の効果については,高血圧症患者を対象とした介入研究のメタアナリシスで,既往に脳卒中をもつ者においては,セルフモニタリング法単一の効果は低いことが示されている(Tucker et al., 2017).本研究で示された研究ギャップの一つであるセルフモニタリング法単一の効果を明らかにする点においては,既知データを基に,実現可能性,必要性,重要性,研究倫理の観点を十分に検討する必要がある.
2. セルフモニタリング法におけるモニタリング項目本研究で明らかになったモニタリング項目の中には,治療ガイドライン(伊藤,2025)で示されている危険因子の管理における生理学的指標や,脳卒中に特異的な症状は含まれなかった.治療ガイドラインは2年ごとに改訂され,生理学的指標のエビデンスが更新されている.エビデンスの創出に伴う,看護ケアの開発・評価において,時間的ギャップを埋める必要があり,モニタリング項目の標準化においては,血圧に加えて,治療ガイドラインで示される生理学的指標を含むことが望ましい.また,症状については,脳卒中後に高い割合で合併する症状を特定し,モニタリング項目に含める必要がある.その症状とは,疼痛(中枢性疼痛,肩手症候群),脳卒中後うつ・不安,脳卒中後アパシー(Apathy)・意欲低下,脳卒中後疲労等が想定される(佐藤・百田,2022, 2024, 2025).また,再発・重症化予防においては,脳卒中の前駆症状を含むことが望まれる.
3. 患者アウトカムの改善に有用と考えられるセルフモニタリング法本研究結果から,セルフモニタリング法は,単一で用いるよりも,セルフマネジメント介入に組み込むことが有用と考えられた.高血圧症患者に対する降圧効果は,セルフモニタリング法単一の効果ではなく,コーチング,情報提供等の他のセルフマネジメント介入に強く影響される(Khoong et al., 2021;Tucker et al., 2017).脳卒中の最大の危険因子は高血圧であることから,この結果の脳卒中患者への適用は可能であり,血圧管理に関して,他のセルフマネジメント介入と共に行うことで,降圧効果が期待できる.
RCTで患者アウトカムの改善が報告された研究から見出された傾向からは,身体・活動・行動・心理指標等を包括的にモニタリングすること,また,患者と医療従事者間でのモニタリングデータの共有とフィードバックが,患者アウトカムの改善における重要な要素と考えられた.先の高血圧症患者を対象としたメタアナリシスでは,既往に脳卒中をもつ者においては,セルフモニタリング法単一の効果は弱いことが示されている(Tucker et al., 2017).脳卒中は身体機能の障害や,可視化困難な複数の慢性症状を併発しやすく,それらが相互に影響を及ぼし,機能低下の悪循環を招く実態がある(佐藤・百田,2024, 2025).臨床上,患者自身が悪循環に気づいて対処することは極めて困難である.また,複合的なモニタリングデータを関連付けて評価するためには,高度なスキルが必要となる.このことから,脳卒中患者におけるセルフモニタリング法単一の効果は乏しいと推察され,患者と医療従事者の協働,支援は必要不可欠である.
セルフモニタリング法を含む介入研究の結果については,健康状態とその管理状態が高まったことを示す結果であった.一部のRCTにおいては,生体指標の改善が報告されなかったが,その一因として検出力不足が挙げられた(Fukuoka et al., 2019).この結果は,セルフモニタリング法の効果を否定する結果ではなく,生体指標の改善を検証するためには,介入の強化と,大きなサンプルサイズの試験を要することを意味する.セルフモニタリング法による生体指標の改善については,現時点では十分なエビデンスがなく,知見を積み重ねる必要がある.
4. セルフモニタリング法を脳卒中患者に適用する際の留意事項と限界セルフモニタリング法を含む介入研究において,有害事象が報告されていたことから,介入が心身に負荷を与えないように,負荷を軽減する支援の提供または,セルフモニタリング法を実施しないケース選択をプロトコルに含めるなど,十分な配慮が求められる.また,課題として,モニタリング項目の信頼性・妥当性の検証,より安全・簡便・低コストの方法の確立が挙げられる.さらには,測定・観察・記録におけるデジタル機器の活用や,複合的なモニタリングデータをもとに健康状態の評価を支援する人工知能(Artificial Intelligence; AI)の活用も期待される.
5. 研究の限界文献検索においては,JBIのガイダンスに基づき,時間と資源の制約の中で最も網羅的に検索できる方法を採用し,一定の網羅性を保障する方法をとっているが,データベース選定や検索条件の限定に伴う網羅性の限界,研究者による文献解釈のバイアスの可能性,セルフモニタリング法の用語の操作的定義による文献選択および,灰色文献除外に伴う出版バイアスの可能性がある.
脳卒中患者を対象とした介入研究におけるセルフモニタリング法は,包括的なセルフマネジメント介入の一部に組み込まれ,生体指標,症状,身体活動,生活習慣・ライフスタイル,行動指標,心理指標を,測定機器・用具,アプリケーションを用いて測定・観察し,紙・電子媒体に,手動・自動で記録され,定期的・リアルタイムに医療従事者と共有,フィードバックを与える方法であった.その結果,療養生活管理に関連する知識・技術・行動の獲得,身体機能の改善,身体活動増加,生活習慣改善・ライフスタイル改善,心理機能の改善,社会機能の改善,生体指標の改善,症状の改善,QOLの向上,入院回数・日数の減少が報告されていた.RCTで患者アウトカムの改善が報告された研究において,モニタリング項目は複合的で,モニタリングデータが医療従事者と共有され,フィードバックを与える方法をとる傾向が見出された.ただし,研究のフェーズや研究デザインは様々で,研究結果の不均一性が認められた.また,モニタリング項目に脳卒中に特異的な生理学的指標や症状は含まれなかった.
セルフマネジメント介入の一部として,身体・活動・行動・心理指標を複合的に測定・観察・記録し,医療従事者と共有,フィードバックを与える方法の有用性が示唆された.一方で,研究ギャップは,脳卒中患者を対象としたセルフモニタリング法単一の効果は不明確であること,脳卒中患者を対象としたセルフモニタリング法におけるモニタリング項目は標準化されていないこと,脳卒中患者を対象としたセルフモニタリング法のエビデンスが未確立であること,と特定された.
セルフモニタリング法単一の効果については,既知データを踏まえて,実現可能性,必要性,重要性,研究倫理の観点を十分に検討の上で明らかにする必要がある.また,最新の知見を踏まえたモニタリング項目の標準化,エビデンスの確立に向けた介入研究等の知見を積み重ねる必要がある.
付記:本論文の内容の一部は,日本看護研究学会第51回学術集会において発表した.
謝辞:本研究はJSPS科研費JP24K13842の助成を受けたものです.
利益相反:本研究における利益相反は存在しない.
著者資格:佐藤美紀子は研究の着想から原稿作成までの全ての研究プロセスを実施した.百田武司は研究の着想から分析までの研究プロセスを実施し,原稿への示唆および研究プロセス全体への助言を行った.すべての著者は最終原稿を読み,承認した.