本研究は、自閉症児に対する便器内排便行動の形成を標的とした保護者支援の事例報告である。対象児の排便行動に関する機能的アセスメントの結果、排便行動の弁別刺激としてリビング、オムツ、立った姿勢が機能していると思われた。適切な弁別刺激に移行するための手続きとして、再誘導手続きを実施した。介入の結果、家庭内でパンツを履かないで便器に排便できるようになり、3年にわたって維持されていた。再誘導手続きの有効性が示された一方,誘導の前提条件である対象児の監視と前兆の読み取りを促進するための手続きが今後の課題として挙げられた。