本研究は、重度知的障害を伴うASD（自閉スペクトラム症）者を対象に、TTAP（TEACCH Transition Assessment Profile）を活用し、一般企業での実習を通して、就労する（パートタイム雇用）ことを目的とした事例報告である。対象者にTTAPフォーマルアセスメントセクションを実施し、職場開拓、職場実習を行った。インフォーマルアセスメントセクションでは、実習初日及び最終日にCSAW（Community Site Assessment Worksheet）を記入することで、実習前後の自立度の相違を検証した。フォーマルアセスメントセクションから得られた情報から構造化された支援を行い、実際の本人の行動から支援を再構造化した結果、最終日にハードスキルとして職業スキルの項目はすべて合格になり、ソフトスキルも半分以上が合格になった。また、企業から求められた以上の速度によって対象者が業務をこなしたことにより、役に立ったという評価を受けた。以上のことから重度知的障害を伴うASD者へのTTAPを活用した支援の有効性について考察した。
