2021 年 18 巻 2 号 p. 69-75
高校通級とは高等学校において実施する「通級による指導」の略称である。平成30年度から高等学校及び中等教育学校後期課程において、大部分の授業を通常の学級で受けながら、一部の授業について障害に応じた特別の指導を特別な場で受ける「通級による指導」を実施できるようになった。その高校通級の指導形態において、群馬県は拠点となる指導場所を基本としながらも、通級担当者が通級指導を利用する生徒が在籍する高校へ出向いて指導する「巡回型高校通級指導」を採用している。この形態は、通級利用生徒の在籍校の教員が通級指導を行う、いわゆる「自校通級」の形態とは異なり、通級担当者が生徒の学習上、行動上の課題や日々の生活の様子など、通級利用生徒の実態が掴みづらいという課題がある。
そこで、本実践報告では、生徒の実態を中学時代の特性やその変容を含めて総合的に把握するために、通級担当者と在籍校関係者及び、中学時代の通級担当者との連携を強化し、通級指導に活かす取り組みを行った。具体的には、高校通級を利用している1 名の生徒に対して、実態把握シートを用いながら、通級利用生徒に関わる職員と連携会議を行い、得られた情報を個別の指導計画や実際の指導に活かす取り組みを行った。結果、生徒、学校職員、保護者とも、通級利用について、実態に応じた効果的な指導がされた、また、指導内容を関係者間で共有できた等、肯定的な評価を得た。さらに本実践報告では、上記の取り組みのもと行った、集団での通級指導について、その内容と成果について報告する。