2021 Volume 30 Issue 2 Pages 82-83
私は,4期理事長,新型コロナウイルス流行期における障害福祉サービスに従事する人のための心理社会的支援という厚生労働省委託事業の代表として皆様と一緒に取り組むという立場でした.
終息がみえないコロナ禍ですが,学会が初期にどのように対応したのかをまとめてみました.
学会ホームページに,最初にコロナ禍のメンタルヘルスに関する情報を掲載したのが,2020年4月16日です.精神神経学会誌に掲載されたレターの内容を紹介するということから始めた記憶があります.
このころから,私どもも含めてリモートメンタルヘルス支援に当たる会員が出てきており,活動時にガイドラインがないことがネックになっていました.それで,社会貢献委員長である安保先生に,「ガイドラインを作っていただくことは可能だろうか」と問い合わせたのが,同じく2010年4月だったと思います.
社会貢献委員会の非常に素早い,迅速な活動には目を見張るものがあり,5月18日にはガイドラインが学会ホームページに掲載できました.この間,私のほうでも内容を見せていただいたりしました.それだけでもかなり頻回なやり取りだったのですが,社会貢献委員会ではその何十倍ものやり取りをされていたと思います.
このガイドラインは,コロナ禍のリモート支援に特化し,PFA=サイコロジカル・ファースト・エイドに準拠していました.そういうガイドラインがほかになかったこともあり,多くのところにリンクや引用をしていただきました.
厚生労働省委託事業を受託は,2020年9月4日でした.受託のために,コンペティション用の膨大な書類を作るということを何カ月もかけて行いました.
9月4日に受託して,コンテンツを開発して,12月には開設をするという非常に大変な作業でした.サポートサイトの開設は,厚生労働省から各都道府県担当者にQRコードも入れて通知をしたのが,2020年12月21日でした.厚労省の委託は3月までで終了し,このポータルサイトは2021年3月から本学会のホームページに掲載されています.
開発したポータルサイトの名称は,「新型コロナ,障害のある人,ともに歩む人」です.学会のホームページには,そのほかに,新型コロナウイルス感染症に関する情報やガイドラインも掲載されています.
コロナ禍では,障害者施設の職員,あるいは,障害者施設の利用者間でクラスターの発生がいろいろな地域で起こりました.そのクラスターに対処するとともに,クラスターが起こってないところでも平時とは違う非常に大きな負荷や社会的な差別が起きていました.こういった点に注目し,委託事業は,昨年度,コロナ禍に対する国の予算の補正が何度か行われる中で,私どもの学会に,ガイドラインの作成,及び,メンタルヘルスの相談窓口を開設という委託事業が行われたのです.
もう一つ特徴的だったのが,感染予防の情報も必要という点でした.つまり,医療機関ですと,基本になるような感染予防の情報はあらかじめありますが,障害者施設等ではそれがなかったということです.
障害者施設はどういうところが当たるかと言いますと,大人から子どもまで本当に幅広い多様な施設があります.
これが組織図で,どういった方に事業を担当いただいたかということが示されています.検討委員会を開催し,委託元である厚労省とともに進めていきますが,社会福祉領域のさまざまな障害者施設の代表や施設長,社会福祉の研究者にも入っていただきました.
事業実施体制
今日の発表ですが,取組事例調査の実施を木下康仁先生にお願いしていましたが,ここを武用先生に,それから,ガイドラインの作成については安保先生に,それから,事業所従事者のための相談ガイドラインを用いた研修の部分は岡田先生,メンタルヘルス相談窓口の設置については宇佐美先生にご報告をいただきます.私たちが,多職種と協働,創造していく上で,何を得たか,そして,何が積み重ねられたのかということを話していければと思っています.